風竿の「人生の達人」烈伝

愛すべき友、仕事・趣味の磯釣り・ゴルフ・音楽、少しの読書などにまつわるあくまで「ヒト」に重点をおいたブログです

真夜中の散歩

2013年06月02日 18時06分14秒 | 風竿日記

武雄温泉保養村にほたるを観に行った。

夜11時頃だから、もう眠っているかもと思っていたのだが、

いやー中々、宵っぱりの蛍もいるようで、ステキな光のショーを堪能したのであった。

 

つい先日はほたる祭りコンサートでお世話になったのだが、

その際には演奏と片付けに追われて、

肝心のホタル鑑賞をしていなかったので、思い立った訳である。

誰もいない小川で、せせらぎを聞きながら飛び交うホタルに浸った。

ホタルはやはり幼い頃の記憶と直結している。

蚊帳を張って寝ていた頃は

近くの小川から捕まえてきたホタルを蚊帳の中に入れて、優雅な航空ショーを愉しみながら眠ったものであった。

父が宿直の時など、4キロほども遠い北鹿島中学校まで歩いて、母と一緒に夕食のお弁当を届けに行ったものだが、

その帰りに、正面玄関にあったソテツの木の周りに、無数のホタルが飛び交っていた。

乱舞といった方が的を得ているように思う。

しばし母と立ち止まり、見とれていた。

「ター坊、一匹一匹、みんな光るのよ。凄いねぇ。」

母は短く呟くように私に囁いた。

「母ちゃん、なんで人間は光らんとぉ・・・・。」

不満そうに返した私の言葉に母は何も応えずに、ただ黙って蛍に見とれていた。

 

「早よ、帰らんと遅そうなっぞぉ・・・・。」

職員室の方から父の声がした。

 

 

母と一緒に観たホタルはその年で終わりになった。

その時、既に病魔に侵されていて

翌年、32歳の若さで逝ってしまった母は・・・・、

優しく、しかしどこか淋しそうなホタルの奏でる光をを観て、

一体、何を思っていたのだろう。