奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2041)

2022-03-26 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「虚構の森(田中淳夫著・新泉社2021.11刊)」を読んだ。田中淳夫(たなかあつお1959生れ)氏は、静岡大学(農学部)卒、出版社/新聞社を経て、フリーの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆活動を続けている。--------

この本「虚構の森」の目次は次の通り。“虚構のカーボンニュ―トラル(地球上の森林面積は減少している/アマゾンは酸素を出す地球の肺/間伐した森は吸収源になる/森林を増やせば気候変動は防げる/老木は生長しないから伐るべき/温暖化によって島国は水没する/砂漠に木を植えて森を作ろう)”、“間違いだらけの森と水と土(緑のダムがあると渇水しない/緑のダムがあると洪水は起きない/木の根のお陰で山は崩れにくい/森は降雨から土壌を守ってくれる/黄砂は昔から親しまれる気象現象/植物もパンデミックに襲われる)”、“日本の森を巡る幻想(松茸が採れないのは森が荒れたから/古墳と神社の森は昔から手付かず/日本の本物の植生は照葉樹林/日本の森は開発が進み劣化した/生物多様性は安定した環境で高まる)”、“フェイクに化ける里山の自然(ソメイヨシノにサクランボは実るか/外来草花が日本の自然を浸食する/街路樹は都会のオアシスになる/蜜蜂の価値は蜂蜜にあり/外来生物は在来種を駆逐する)”、“花粉症の不都合な真実(杉を減らせば花粉も減る/花粉症は杉が齎す日本だけの病/マイクロプラスチィックは花粉症より危険)”、“SDGsの裏に潜む危うさ(桜樹は日本人の心だから保護すべし/和紙も漆も自然に優しい伝統工芸/再生可能エネルギーこそ地球を救う/農薬や除草剤は人にも環境にも危険/人口爆発のため食糧危機になる)”、“終わりに(行列の後ろを見るために)”--------

この本「虚構の森」の内容紹介文は次の通り。環境問題なんて自分には関係ないと考えていた私たちが直面したのが、新型コロナ感染症のパンデミックでした。世界中の科学者たちが必死い地球環境について予測し、警告を発している。信じたくない予測が多いが、全体としては想定通りに危険が進行している。未来を生きる若い世代のためにこそ、今考えるべき問題なのです。SDGsの落とし穴に嵌(はま)らない為にも、森林環境の情報リテラシーを磨きましょう。-------

田中淳夫氏は、自身の森林学の知識/知見を杖/梃子(テコ)にして、SDGsの真贋(しんがん)を論じている。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2040)

2022-03-25 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「タリバンの眼~戦場で考えた(佐藤和孝著・PHP新書2021刊)」を読んだ。佐藤和孝(さとうかずたか1956生れ)氏は、東京写真専門学校中退し、1980(24歳)アフガニスタン紛争の取材を開始。その後、ボスニアヘルツェゴビナ紛争/アメリカ同時多発テロ/イラク戦争などの取材を続けている。戦場ジャーナリスト/ジャパンプレス主宰。-------

この本「タリバンの眼」の目次は次の通り。“コロナとアフガニスタン(歴史の変わり目を見たい/イスラム教は清潔教/タリバンの人権抑圧/女性排除は何時か来た道/ハイヒールを禁止する理由)”、“タリバンとは何か(市街戦の幻/もしタリバンに1ヶ月間同行したら/両方の立場を知りたい/つまりは銭/タリバンとアルカイダとISの違い/実は世直し運動だったタリバン/ああ疲れた/ライオンが死んだ/棚からボタ餅だった9.11同時多発テロ/パシュトゥン人でなければ国が治まらない/アルカイダはアメリカが生み出した/ザン女/ザルお金/ザミン土地/資源も産業も無い/一帯一路とソ連の南下政策/ロシアでリストラされた兵士たち)”、“ソ連侵攻から40年/アメリカは何を間違えたのか(ベトナム戦争以来の完全敗北/未だに理解不能のイラク戦争/直線の国境線に対する恨み/人は大惨事が起こるまで何もしない/他人の国に土足で入り込んではいけない)”、“中東は100年前の日本と同じ(検問は強気で行く/江戸時代の刑罰とどこが違う/ムラ社会と女性差別/洗脳と神風特攻隊/国民を守らない国/世界は武力で成立している)”、“ジャーナリストは抑止力である(何故戦場に向かうのか/すべては確認/今日生まれたと思え/反啓蒙主義に陥ってはならない/世界のジャーナリストたちの言葉)”-------

この本「タリバンの眼」の裏表紙の抜き刷り文は次の通り。2021イスラム主義組織のタリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧した。アメリカ軍が撤退し、暫定政権が発足すると欧米のメディアは女性差別/人権侵害を報じ、タリバンを前近代の遅れた存在と見なした。戦場の現場を見て、考え抜いたジャーナリストの目が、コロナ禍の鎖国に慣れた日本人を覚醒させる。------

佐藤和孝氏は、シリアで銃撃に斃れた同僚(事実婚のパートナー)/二人三脚の戦場ジャーナリスト/山本美香(1967~2012)にこの本を捧げている。ロシアウクライナ紛争の報道に接する昨今、この本の意味合いが重いと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2039)

2022-03-24 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「肥満糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか~糖質過剰症候群(清水泰行著・光文社新書2021.11刊)」を読んだ。清水泰行(しみずやすゆき1967生れ)氏は、北大(医学部)卒、麻酔/ペインクリニック/漢方内科が専門。仁陽会/西岡第一病院勤務の医師。--------

この本「肥満糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか」の目次は次の通り。“新型コロナウイルスパンデミックと糖質過剰症候群”、“糖化パンデミック”、“糖質過剰摂取と疾患の関係”、“糖質過剰摂取による有害性のメカニズム”、“世界の動き”-------

この本「肥満糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか」の内容紹介文は次の通り。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの裏には、実は糖質の過剰摂取が関係している。糖質過剰症候群の代表である糖尿病/肥満の人を中心に、重症者/死亡の割合が非常に高い。重症化の多くは血栓症によると考えられるが、糖質過剰摂取は血栓のリスクを高める。更に糖質過剰摂取による高血糖は免疫力を低下させ、炎症を促進する。しかし、新型コロナは恐れても、平気で糖質過剰摂取を行い、コロナ太りまで招いている。肥満は重症化リスクを高くするのに、そこには恐怖を感じていないのは不思議だ。-------

清水泰行氏は、医者稼業のメインストリームではなくて、麻酔専門医である。その立ち位置を生かしてこの本「肥満糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか」をお書きになったようだ。何れにしても、基礎疾患がある場合は免疫不全となり易いと巷間当初から言われていて、否定することもないだろうが、無理やり清水泰行氏の土俵に引っ張り込む論法に強引さを感じた。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2038)

2022-03-23 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「本当はこわくない新型コロナウイルス~最新科学情報から解明する日本コロナの真実(井上正康著・方丈社2020.10刊)」を読んだ。井上正康(いのうえまさやす1945生れ)氏は、1974岡山大学大学院(病理学)修了。インド/ペルシャ湾航路船医/アルバートアインシュタイン医科大学准教授/タフツ大学教授/大阪市立大学(医学部)教授(2011同名誉教授)を務めた。-------

この本「本当はこわくない新型コロナウイルス」の目次は次の通り。“新型コロナウイルスが齎したもの(未知のウイルスとの出会い/蔓延したのは過剰反応と思考停止だった/教訓を生かして次の波に正しく備えよう)”、“人類と感染症(人類最大の敵は感染症/ウイルスには抗生物質が効かない/ウイルスに対抗する免疫の力/感染拡大を防ぐ集団免疫)”、“コロナウイルスとは(変わり身が速いRNAウイルス/新型コロナは7番目の新参ウイルス/突然変異し易いRNA遺伝子を持つ/コロナはどのように感染するのか/子供の感染率が少なく重症化しない理由)”、“世界と日本の新型コロナの感染状況(新型コロナウイルスは何時日本に来たのか/感染はどのように世界に広がったのか/新型弱毒株と強毒株はどのように世界に広がったのか/コロナの波は日本に2回来ていた/PCR陽性=感染者ではない)”、“死者数から見た日本と東南アジアの特異性(死者数が少なかった日本/効果が見えないロックダウン/効果が見えない3密回避と接触8割減/土着のコロナと新型コロナの交差免疫/弱毒株→強毒株の順序が本土を防衛した神風)”、“コロナウイルスと免疫(標的は免疫弱者/細胞性免疫が重要/民族特有の遺伝子特性)”、“次の波に向けての処方箋(新型コロナは感染力の強い風邪ウイルス/ワクチン幻想を疑え/治療薬開発の目処は)”、“失敗の本質と日本人の死生観(グローバル社会の新しい感染症/指定感染症からの格下げがコロナ禍解消の鍵/成熟国家スウェーデンの国策とトレードオフ)”---------

井上正康氏は、その経歴に見る通り、感染症の専門家として日本の第1人者である。刻々とコロナ禍の実際が揺れ動いていく中で、1年半を経過した現時点で見ても、優れた予測となっているし、定点観測的に良い本だと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2037)

2022-03-22 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「鉄学概論~車窓から眺める日本近現代史(原武史著・新潮文庫2011.1刊/NHK鉄道から見える日本(2009.6)テキストの文庫化)」を読んだ。原武史(はらたけし1962生れ)氏は、早大(政経学部)卒、国会図書館/日経新聞勤務を経て、東大大学院博士課程中退、現在は放送大学教授/2016.5明治学院大学名誉教授。専攻は日本政治思想史。--------

この本「鉄学概論」の目次は次の通り。“鉄道紀行文学の巨人たち”、“沿線が生んだ思想”、“鉄道に乗る天皇”、“西の阪急/東の東急”、“私鉄沿線に現れた住宅”、“都電が消えた日”、“新宿駅1968/1974”、“乗客たちの反乱”、“解説/宮部みゆき”-------

この本「鉄学概論」の裏表紙の抜き刷り文は次の通り。開業から140年、鉄道は最早、日本人と切っても切れない存在になった。その発達は都市の形成に影響を与え、文学の一ジャンルを生み、沿線に特有の思想を育てた。また天皇制支配を視覚的に浸透させる目的で活用されたお召列車での行幸啓など、国家/政治とも密接な関わりがあった。鉄道を媒介にして時代を俯瞰する、知的で刺激的な“鉄学”入門。--------

原武史氏は、教授/研究者としての専門領域/日本近現代史を、鉄道ファンと同じ目線で、格調高く論じて見せた。そして、巻頭の内田百閒/阿川弘之/宮脇俊三に続く鉄道紀行文学の作家の不在を嘆いている。原武史氏自身に文学的素養があれば、そのポジションに迫りたい処だろう。それは無理と感じたのに違いなく、白羽の矢として解説に宮部みゆきを頼んでいる。さて女史が1~2編でも鉄道紀行文を書いてくれるだろうか。この本「鉄学概論」出版直後に東日本大震災(2011,3.11)があり、気落ちされたようだが、今では立ち直っておられる。

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