北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「虚構の森(田中淳夫著・新泉社2021.11刊)」を読んだ。田中淳夫(たなかあつお1959生れ)氏は、静岡大学(農学部)卒、出版社/新聞社を経て、フリーの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆活動を続けている。--------
この本「虚構の森」の目次は次の通り。“虚構のカーボンニュ―トラル(地球上の森林面積は減少している/アマゾンは酸素を出す地球の肺/間伐した森は吸収源になる/森林を増やせば気候変動は防げる/老木は生長しないから伐るべき/温暖化によって島国は水没する/砂漠に木を植えて森を作ろう)”、“間違いだらけの森と水と土(緑のダムがあると渇水しない/緑のダムがあると洪水は起きない/木の根のお陰で山は崩れにくい/森は降雨から土壌を守ってくれる/黄砂は昔から親しまれる気象現象/植物もパンデミックに襲われる)”、“日本の森を巡る幻想(松茸が採れないのは森が荒れたから/古墳と神社の森は昔から手付かず/日本の本物の植生は照葉樹林/日本の森は開発が進み劣化した/生物多様性は安定した環境で高まる)”、“フェイクに化ける里山の自然(ソメイヨシノにサクランボは実るか/外来草花が日本の自然を浸食する/街路樹は都会のオアシスになる/蜜蜂の価値は蜂蜜にあり/外来生物は在来種を駆逐する)”、“花粉症の不都合な真実(杉を減らせば花粉も減る/花粉症は杉が齎す日本だけの病/マイクロプラスチィックは花粉症より危険)”、“SDGsの裏に潜む危うさ(桜樹は日本人の心だから保護すべし/和紙も漆も自然に優しい伝統工芸/再生可能エネルギーこそ地球を救う/農薬や除草剤は人にも環境にも危険/人口爆発のため食糧危機になる)”、“終わりに(行列の後ろを見るために)”--------
この本「虚構の森」の内容紹介文は次の通り。環境問題なんて自分には関係ないと考えていた私たちが直面したのが、新型コロナ感染症のパンデミックでした。世界中の科学者たちが必死い地球環境について予測し、警告を発している。信じたくない予測が多いが、全体としては想定通りに危険が進行している。未来を生きる若い世代のためにこそ、今考えるべき問題なのです。SDGsの落とし穴に嵌(はま)らない為にも、森林環境の情報リテラシーを磨きましょう。-------
田中淳夫氏は、自身の森林学の知識/知見を杖/梃子(テコ)にして、SDGsの真贋(しんがん)を論じている。