奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2032)

2022-03-17 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「弥生国家論~国家はこうして生まれた(寺沢薫著・敬文舎2021刊)」を読んだ。寺沢薫(てらさわかおる1950生れ)氏は、同志社大学(文学部)卒、奈良県立/橿原考古学研究所に務めた。現在は桜井市/巻向学研究センター所長である。専門は日本考古学。考古学から国家形成論/王権論/都市形成史/東アジア農業史/比較文化論に取り組んでいる。-------

この本「弥生国家論」の目次は次の通り。“国家とは何か”、“日本史の中の国家論”、“北部九州の部族的国家形成”、“部族的国家の重層性と倭国の成立”、“北部九州以外の地域の部族的国家形成”、“王国への道/王権誕生前夜の倭国”、“王国の誕生”-------

この本「弥生国家論」の内容紹介文は次の通り。国家が誕生する契機は戦争にあった。戦争考古学をはじめあらゆる情報を駆使して、倭国とは何か/ヤマト王権とは何か/そして邪馬台国はどこか/など、古代史最大の謎に迫る。--------

寺沢薫氏の経歴を見れば、この本「弥生国家論」のような大上段の論文をもっと若いうちにお書きになるべきだったと思うのだが、それでも今になったにしてもお書きになったことには敬意を表したいと思った。考古学者が文献史学の学者の領分と思われている古代国家成立論を物するのは、億劫(おっくう)だったに違いない。一般に考古学は理系の学問であり、文献史学は文系の最たる学問と云える。だから両者の意見が噛み合うことは、滅多にない。でも、考古学の進展は可なりの物的証拠を提示して、文献史学に斬り込んでいる。寺沢薫氏は、今やその第一人者として、活躍して来られた訳であり、これまでの研究の集大成をこの本「弥生国家論」として纏められたことは、後学のために必須で貴重だと思った。

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