奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2147)

2022-07-10 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「スマートな悪~技術と暴力について(戸谷洋志著・講談社2022刊)」を読んだ。戸谷洋志(とやひろし1988生まれ)氏は、法政大学(文学部/哲学科)卒、阪大大学院(文学研究科/文化形態論専攻)博士課程満期取得退学、博士(文学)。現在は関西外国語大学(英語国際学部)准教授。専攻は哲学/現代ドイツ思想/テクノロジーと社会の関係を研究/哲学の社会的実践にも取り組んでいる。---------

この本「スマートな悪」の目次は次の通り。“超スマート社会の倫理”、“スマートさ/の定義”、“駆り立てる最適化”、“アイヒマンのロジスティクス”、“良心の最適化”、“機械への同調”、“満員電車の暴力性”、“システムの複数性”、“ガジェットとしての生”----------

この本「スマートな悪」の内容紹介文は次の通り。私たちの日常生活には多くのスマートなものが浸食している。確実に全体としてスマート化し始めている。社会がスマート化することにより生活が便利になるのは事実だろう。これまで放置されてきた社会課題が解決され、人々の豊かな暮らしが実現されるのなら、歓迎されるべきことだ。しかし、スマートさに内在的な倫理的価値を認めることは、性急であると思える。スマートさが齎し得るネガティブな側面が覆い隠されるからである。本書は“技術の哲学”として議論される。技術の哲学は20世紀半ばから論じられるようになった現代思想の一つの潮流である。これまで主題的に論じられてこなかった“スマートさ”という概念にこれを応用することで/日本における技術の哲学の議論に新しい論点を導入したい。-----------

戸谷洋志氏は、新進気鋭の哲学者であり、法政/阪大と歩を進め、文系/学術の世界で哲学研究者のポジションを獲得してきておられる数少ない人の一人だろう。哲学は産業革命以降、科学哲学に堕して以来、元気がない。戸谷洋志氏は、その科学哲学の分派であるかの“技術哲学”を標榜して斯界の喝采(かっさい)を得ようとなさっているかのようだ。お若いので、何とか形の残る仕事をなさって欲しいと思った。

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