21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

キューバ危機

2010年05月01日 22時53分25秒 | Weblog
 アメリカのヒーロー物の小説や映画で紹介される「キューバ危機」は、第三次世界大戦を起こそうとするソビエト連邦を、勇敢なケネディ大統領が外交的手段で平和的に屈服させる。って話に仕上がっている。

 現実には、支持率上昇を狙ったケネディ大統領が、意図的に演出した危機だったと、私は思っている。

ウィキペディアの「キューバ危機」の項目は、この中間のような見方が出ている。


よく見る世界地図だと、アメリカとソ連は離れているように見えるが、北極点を中心にした世界地図で見ると、アメリカとソ連は隣り合っている国だということが分かる。キューバはアメリカの裏庭にあって、トルコはソ連の裏庭にある。

危機の発端は、アメリカがトルコにミサイル基地を建設したこと。また、キューバに親米政権を作ろうとして、内政に過剰に干渉したことに始まる。
それに危機感を抱いたソ連側がキューバにミサイル基地を建設し、核兵器を配備した。

映画や小説では、ケネディ大統領が「核兵器の配備を阻止した」かのように描かれることが多いが、現実にはキューバへの核兵器配備はすでに終わっていた。


大統領選後、支持率の上昇を目指していたケネディ大統領が、キューバに向かっているソ連のミサイル資材を積んだ船を見つけ、マスコミに公表したことで、「キューバ危機」となったわけだ。


「13日間」って映画の中では、ケネディ大統領が果敢に外交交渉を進めた結果、「平和的に危機を回避した」的なストーリーになっているけど。
現実には、ソ連のフルシチョフ総書記が世界平和のために自身のキャリアを犠牲にしたことが大きい、と考えられる。アメリカ相手に外交交渉で譲歩したら、権力の座からは引きずり下ろされる。それにもかかわらず、自分自身の保身は考えずに、平和のために動いた行動力がスバラシイ。

ケネディ大統領側は、選挙戦で負けることを恐れて、譲歩をしなかった。
その点は、ブッシュ大統領と同じだ。対テロ戦争で、アメリカの国力が浪費されることよりも、支持率が落ちることが懸念材料になる。



話が横にそれるが、リーマンショックに代表される金融危機も同じ性格から引き起こされている。
1.金融商品を他の人が買わないときは、バブルにならないから、買った人が得をする。買わなかった人は損をする。
2.金融表品を他の人も買い始めたら、バブルになるから、みんなが損をする。
と言うゲームの中で、「自分だけ損はしたくない」と全員が考えることで、②の状況が起きて、金融危機が起きたわけだ。


現状の社会でキューバ危機が起きれば、両国の政治家が国民からの支持を失わないために、第三次世界大戦に突入することを選ぶだろう。

「合成の誤謬」が起きるとき、民主主義という制度は戦争と大量虐殺を引き起こす。