21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

個人消費の活性化

2010年07月17日 23時47分45秒 | Weblog
直前のブログ記事に続き、消費税率の引き上げが個人消費へ与える影響について考察する。

消費税率の単純な引き上げが「駆け込み消費」を生み出し、その後の個人消費の低迷を招くことは各国の例で知られている。

では、消費税を段階的に数年にわたって1%ずつ引き上げた場合どうなるか? と言う推考が「消費税の段階的引き上げ論」だ。


机上の論理としては、
消費税が引き上げられることによって個人消費は低迷するが、翌年の引上げに対する「駆け込み需要」が消費全体の冷え込みを防止してくれるはずだ。と言う空想がある。これが、2002年の日本経済新聞に初めて登場した時の論理である。

これが成り立つのかどうか、行動経済学的な実験を通して証明を行ってみる必要がある。

参考; http://blog.goo.ne.jp/fu-chine/d/20100502




2006年にこのブログに「消費税の段階的引き上げ論」が登場した背景には、1980年からの欧米での住宅バブルがある。

中央銀行がバブル退治として、政策金利を引き上げると、住宅ローンの貸出金利の上昇といった形で、個人の住宅購入意欲は減退する。はずである。

しかし、現実には中央銀行が数年にわたって政策金利を「段階的に引き上げ」続けたために、住宅ローンの金利が「段階的に上昇」し、住宅購入希望者の駆け込み需要「より金利が上がり家がより買いにくくなる前に買おう。という気持ち」が刺激されつづけ、住宅バブルは膨らみ続けた。

中央銀行が政策金利を引き上げる期待値が高いオーストラリアなどでは、住宅バブルはまだ破裂してない。需要に対する供給不足であり、バブルとは呼べないのかもしれない。


この住宅バブルと政策金利の関連に関する社会学的ミクロ経済の推察を通して、「消費税を毎年引き上げ続ければ(3カ月に一回0.25%ずつ)、個人消費が刺激され続けて、経済が回復するのではないか」と言う、2006年の消費税の段階的引き上げ論が生まれた。



段階的に政策金利を引き上げることが経済成長に役に立つのか?と言う質問への答えはない。
同じように、
段階的に消費税を引き上げることで消費は活性化されるのか?と言う質問への答えもない。

十分な検証がされる必要がある。

IMF:消費税段階的引き上げ論

2010年07月17日 23時33分25秒 | Weblog
IMFが報告書の中で「消費税の段階的引き上げ」に言及したらしい。私は「報告書」そのものは読んでない。

とは言え、毎日新聞の情報によると「今後10年間で10%上げる」とだけ書かれており、毎年何%と言った具体的な数字は出てない。読み方によっては、2020年に一気に10%上げるのもあり、と読める。

一気に消費税を引き上げる場合、駆け込み消費を引き起こして、その後の個人消費の低迷が経済の活性力を失わせる。そのため、毎年1%ずつ、数年にわたって数%上げるのが良いのではないか? と言うのが「消費税の段階的引き上げ論」だ。

これについては「消費税の段階的引き上げ」(http://blog.goo.ne.jp/fu-chine/d/20100502)

という過去の記事がある。





以下、「毎日新聞(mainichi.jp)2010年7月15日」より抜粋

IMF:「日本の財政に不安」 消費税15%例示--年次報告書

 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に関する年次審査報告書を発表し、「欧州での財政危機の深刻化で日本の財政に対する不安が高まっている」と指摘した。そのうえで、11年度からの財政再建の開始を求め、現在5%の消費税を今後10年で15%まで引き上げることを例示した。国内の税制論議に影響を与える可能性もありそうだ。

 IMFは中期的な課題として、消費税の増税と社会保障費を除く歳出削減、社会保障制度改革に言及。「景気回復への道筋を確かなものとした上で、公的債務残高を持続可能な水準に引き下げる必要がある」と強調した。国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率を安定的に引き下げるため、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を設定することも重要になると指摘。財政健全化に向けた着実な政策実現を求めた。

 また、財政健全化に向けて「景気減速やデフレに対処するための一層の金融緩和策が求められる可能性がある」と日銀の金融政策にも注文をつけた。

 一方、日本経済の現状については「アジアの旺盛な需要に支えられて輸出が好調なことに加えて、政府の支援策による下支えもあり、力強さを増している」とし、今後も緩やかに回復を続けるとの見通しを示した。