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個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

「電力買い取り政策」の「富の再分配機能」

2009年03月02日 15時17分07秒 | Weblog
 家庭用太陽電池で発電された電力を、電力会社が買い取る政策には、市民間で富を再分配する機能がある。

 分かりやすいお金の動きは「電力会社→太陽電池保有者」だが、この裏に電力会社への資金の流れがある。

 当然の話だが、電力の買い取り資金がなければ、電力会社は経営が立ち行かなくなる。強制的に電力を買い取らせるためには、電力会社にその資金源を与える必要がある。

 その「資金源」とは何か?

 ドイツの場合、電力会社は販売する電力価格を引き上げることで収益を上げ、買い取りに必要な資金を準備した。つまり、「太陽電池を設置していない世帯」から資金を吸い上げることで、「太陽電池を所有する世帯」への支払資金を確保したわけである。
 では、太陽電池を「持つ世帯」「持たない世帯」とは何だろうか?
太陽電池を設置するためには、補助金が出ると言っても、数百万規模の初期投資が必要なる。その上、設置するための土地・建物を所有していなければならない。つまり、「持つ世帯」とはその資金を準備できる裕福者層と言うことになる。
 逆に「持たない世帯」とは借家世帯・貧困層と言うことになる。

日本に同じ電力買い取り制度を導入するとすると、太陽電池を持つことができる「持家層・資産家」へ、電力会社から電力を購入しなければいけない「借家層・貧困層」から、資金の移動が起こることになる。
 当然、アパートに住んでいるワーキング・プアの若者から、持ち家に住んでいる年金生活者へも富が移動することになる。もちろん、太陽光発電所を設置できるだけの資産を持つ企業群へも、一般家庭から富が移動することになる。

 つまり、持つ者が富み、持たざる者が貧する制度、がドイツ式の電力買い取り制度である。一般家庭への電力料金が引き上げられれば、個人消費がより冷え込むことだろう。


 これを防ぐために必要なシステムは、国が買い取り資産を補助する制度である。しかも、高額所得者・大企業の支払額が大きい消費税・所得税・法人税収入を財源として、電力会社へ補助金を支給する必要がある。