21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

墾田永年私財法

2008年06月01日 11時29分59秒 | Weblog
 墾田永年私財法は745年に制定された「相続税」を廃止する法律である。

条文によると、農民の開墾意欲を刺激するために、開墾者本人の死後、開墾地を没収する制度を廃止すると書かれている。

一説によると、荘園主(貴族・寺社)が意欲的に土地の開墾をするようにするための法律ともされているが、どちらの節でも「総生産の増加が目的」と言う点には違いがない。

 そしてその後、「相続に関する法律」が制定されたのは、社会主義運動が力を持った1950年に入ってからである。いろいろな時代を越えて千年以上は日本にも相続税のない世界が存在したのである。その上、2008年現在すでに相続税を廃止する動きが世界中で起こっている。

一見、相続税の歴史は60年と見えるかもしれないが、事実上、相続税の対象になってきたのは、松下幸之助を除けば、中流階級の人間だけである。真の上流階級・超資産家たちは金融・法律の専門家を雇って、相続税を逃れてきた。そごう・西武鉄道の大株主は代々創業者一族が付いてきたことからそれが分かるだろう。相続税は貧富の格差の解消に明確な影響力を持たない。

倫理的にも、「裕福者層の資産を没収すること」によって、下のレベル(全員が貧しい)で貧富の格差を解消することは間違っている。「貧困層に支援を行うこと」によって、上のレベル(全員が豊か)で貧困を解消するように努力するべきなのだ。

 相続税の廃止は、長期的視点を持った投資を行い、経済成長に貢献するように、企業・個人を仕向ける最適の手段である。


付け足させてもらうと、兄弟姉妹が同率づつ財産を受け取る「財産の等分割相続」の歴史も意外と短い。戦後に制定された民法の中と、鎌倉時代初期の律法の中だけである。財産を分割してしまうと、「資本の集約」が起きにくくなって、経済成長を妨げるのである。