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辻村深月 『凍りのくじら』

2010年02月22日 | 読書
辻村深月著 『凍りのくじら』

前にも書いたけど、最近はまっている辻村深月さん。
続けて同じ作家さんの作品を読まないようにして、なるべく期間をあけているのですが、
この作品は特に気になっていて、我慢できずに読んでしまいました。
若い作家さんなので、文庫化されている作品で未だ読んでいないのは、恐らくあと1冊。
(上下巻なので2冊だけど)
もっと色々読んでみたいと思わせてくれます。

主人公芹沢理帆子の父親はカメラマンで、藤子・F・不二雄が大好きで、特に好きな作品がドラえもん。
その影響で理帆子も尊敬し、ドラえもんの漫画本を読み、アニメも読んでいる。
その不二雄先生が、SFのことを「Sukoshi Fushigi(すこし ふしぎ)」とも言葉を遺している。
そのこともあり、理帆子は周りの人たちに対して、「スコシ・ナントカ」と頭の中で付けていて、
友人、恋人、家族に対して、ちょっと距離を置いて彼らを見ていて、覚めている女の子。

自分のことは「すこし 不在」。
元恋人の若尾のことは「すこし 腐敗」。
まあこのどうしようもない若尾に対しては納得…

そんななか現れたのは、同じ高校の3年生にいる新聞部の別所あきら。
近々応募する写真コンテストのモデルになってほしいと頼まれる。
彼と接していくうちに、少しずつ理帆子も変わっていくのだが。

ドラえもんを上手ーく使っていて、面白いし、すごいと思う。
道具の名前が章題(っていうのかな?)になっていて、妙に感心。
ドラえもんを改めて見たくなりました。

今から思うと、ちょっとおかしいな?と思う箇所がいくつかあり、
それがラストで明らかになる。
あれ?って思うけれど、すぐにスルーしていたので、流石。

「ぼくのメジャースプーン」を先に読んでいたので、ふみちゃんのこともすぐに気づきました。
この作品の後ですよね、「ぼくのメジャースプーン」は。
少しリンクしてて、それも凄い。

本当に「すこし 不思議」な素敵なお話で、とても良かった。