ホンダ・シビックの国内販売が終了するというニュースを聞く。シトロエンに乗る前はホンダ車を4台乗り継いできた元ホンダ党としては、時代の流れとは言え、一抹の寂しさを禁じえない。
私がホンダ車に乗っていたのは80年代後半から90年代中盤まで。この頃のホンダ車は本当にイケていた。初代シティ、ワンダー・シビックに始まって、3代目アコードをピークとしてコンチェルトぐらいまでは、ボディ剛性の不足、質感の低さという欠点はあったものの、先進的なデザインとエンジンの良さで、他の日本車を大きく引き離していた思う。この時期、F1での活躍と相まって、おそらくホンダ車が輝いていた時期ではないだろうか。
それが、4代目アコードあたりからデザイン的に混迷しだし、その後はアコード・ワゴンなど一部秀逸な車もあったものの、オデッセイの成功を機にステップ・ワゴンやら何やら段ボール箱みたいな1ボックス・カー主体のメーカーになってしまい、私は完全にホンダ車への興味を失ってしまった。
私が乗り継いだホンダ車は初代シティ、初代トゥディ、コンチェルト5HB、シビック・フェリオの4台。
初代シティは大ヒットしたトール・ボーイ型。思いっきり背を高くしたコンセプトはその後軽自動車に引き継がれた秀逸なもの。乗り心地が固く、ボディ剛性も低いなど、車としての完成度は低かったが、ターボ・モデル、カブリオレなど意欲的なモデルも投入され、いかにもホンダらしいモデルだったと思う。その後、2代目シティであっさりとトール・ボーイ型を捨て去ってミニ・シビックになってしまったのは残念。そのままのコンセプトで是非熟成してもらいたかった1台である。
次のトゥディは駐車場の関係から乗ることになった軽自動車だったが、個人的には日本自動車史の中でベスト・デザイン車だと思っている。(次点はアコード・エアロデッキ)とりわけデビュー直後の丸ライトのデザインは素晴らしいの一言。後にルノー・トゥインゴがモロにパクッていたが、デザインをパクられる日本車は今後現れないのではないだろうか。乗り心地、質感ともにシティよりも良く、満足のいく1台だった。
次のコンチェルト5HBも素晴らしい1台。低い車高が売りだった当時のホンダ車の中で、高い車高を採用し、実用性を重視したヨーロッパ寄りの作りで(実際ローバーと共同開発)、NAVIなど評論家筋には絶賛されたモデル。ただし、商業的には惨敗、全く売れず、自分の乗っていた5HBはまず見かけることはなかった。市場では評価されなかったが、高いボディ剛性、考えられたパッケージングなど、良く出来た車だったと思う。1代限りで終わってしまったのは残念。
最後のシビック・フェリオは前のコンチェルトが10万kmオーバーにより限界を迎え、乗り換えた1台。トルク重視に振った1600ccVTECエンジンは流石ホンダと思わせるものがあったが、ボディ剛性は低く、内装もプラスチッキーで、1600ccという排気量同様、中途半端な感じで、今ひとつ愛着が持てず、2年あまりでシトロエンXantiaに乗り換えることになってしまった。
ホンダ車の中で一番欲しかったモデルは3代目のワンダー・シビックの3HB。結局、手に入れることは出来なかったが、いまでもそのデザインは色褪せてはいないと思っている。「シビック、長い事お疲れ様でした。」と言いたい。