フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が来日して講演、著書『21世紀の資本』も経済学書として異例の13万部突破!との記事を読む。
『21世紀の資本』は700頁もの大著、お値段も5800円…ということで、私はNHK Eテレでやっていた「パリ白熱教室」を観てお茶を濁したのだが、やはり、このような本がヒットしているというのは、「世界全体で約4割の富をたった1%の富裕層が保有している」…という現状に対して「おかしいだろ、それ。」と思っている人が多い現れなのではないだろうか。
新聞記事によると、トマ・ピケティ氏は日本での講演において「人口が減り、低成長が続くため、相続で引き継がれる資産の価値がより高まりやすい」と述べたというが、「全く同感…。」という感じ。
実際のところ、私などは「今の日本、相続と親の死に方で人生が決まる世の中になっているんじゃないかな…。」という気がしてならないのだ。
私は昭和40年(1965年)生まれだが、高校受験、大学受験あたりの頃は「勉強して良い学校出て、良い会社へ就職すれば、良い生活が送れる。」と言う漠然とした(昭和的)イメージが残っていたような気がするが、大学まではともかく、まじめにコツコツ勉強していれば良い会社に入れる…という時代じゃないし、今の高校生は「努力すれば報われる。」的な感覚はほとんど持っていないのではないだろうか?(国立医学部受験だけがやたら盛り上がっているが、これは、大学に入れば医者になれる…というコースが未だ保持されているからだろう。文化系の場合、司法試験や公認会計士試験などにを受かってもワープア状態の人が続出しているし、まじめコース絶賛崩壊中…という感じである。)
50年近く生きてきた実感だが、ぶっちゃけ、どんな親の元で産まれ、どんな環境で育つか…で人生8割方決まってしまう…と個人的には思う。
ただ、あまりに人生の早い段階で、このような気分になってしまうと、「人生、所詮は運だ…。」と言う投げやり人生になってしまうし、努力する気が起こらなくなってしまうだろう。やはり、健全な資本主義社会を持続させていく為には「まじめにやっていれば報われる。」という幻想を普通の人が共有する必要があるのではないか?という気がする。
今の安倍政権、ほとんど格差是正に取り組む気がないようだし、格差是正政策を主張すべきは民主党なのだろうが、代表に岡田克也を選んでしまうと言うていたらくぶり。
格差是正に絞って、ちゃんと実務的な政策を打ち出していけば、それなりに国民の支持を得られると思うのだが…。
10年程前、日本でも一時盛り上がった格差論だが、その後、うやむやになって、格差は拡大、経済は停滞する一方。せっかくピケティ・ブームが起きているので、しっかりと議論してもらい政策に反映して欲しい…と思う次第である。