モルゴーア・クァルテットの「原子心母の危機」を聴いて「久々にオリジナルの方も聴いてみようか…。」と言う気分になり、ピンク・フロイドの「原子心母」とイエスの「危機」を取り出して聴いてみる。(ともに最新リマスター&リミックス盤。ちなみに「原子心母」はLPを含め3枚、「危機」の方は5枚所有。)
両アルバムとも名盤中の名盤、もう何百回聴いたか分からない所謂「耳たこアルバム」なのだが、改めて聴いてみると「やっぱり凄いな…。」「名盤だと言われるだけあるわ…。」と驚嘆の連続。
とりわけ、ポーキュパイン・ツリーのスティーヴ・ウィルソンの手によりリミックスされた最新版「危機」(2013 ブルーレイ・オーディオ)は素晴らしく音が良くなっており、感動もひとしお…。(できれば、「海洋地形学の物語」と「リレイヤー」についてもスティーヴ・ウィルソンにリミックスをお願いしたい。)
先前項でちょっとモルゴーア・クァルテットのことを手厳しく書いてしまったが、これはもうオリジナルがあまりも凄すぎる…ということなのだろう。
両アルバムともSEを含めて1音1音がこれしか考えられない…というほど完成されていながら、そのような細かいことを意識することなく素直に音楽的に感動させてしまうパワーに溢れている。
プログレッシヴ・ロックを聴き始めて37年余り、一時は「こんなアナクロな音楽を聴いていて良いのかな…。」「いつまでこんな音楽聴いているんだろ、俺。」と思ったこともあったのだが、ジャズやクラシック、それにいろいろな周辺音楽を一通り聴いてみて、改めてそれらの音楽的エッセンスを貪欲に取り入れ、巧みに昇華させたプログレッシヴ・ロックの凄さを感じる今日この頃。(まぁ、そういう私みたいな人が一定程度いるからリマスター版がバカスカリリースされるんだろう。)
今やLPからCD時代を経て、ダウンロード、そしてユーチューブでいくらでも無料で音楽が楽しめる時代。それゆえ、ミュージシャンはレコーディングにお金や時間を掛ける…などと言うことは許されず、結果、音楽ファイル化している音楽ばかり氾濫している今のポピュラーミュージック界。
そう考えると、レコーディングに手間暇かけ、アート・ワークを含めたコンセプト・アルバムとして作品を発表することが許された70年代というのは本当に幸福な時代だったのかもしれない。そして、そのようなマスターピースを聴くことができた我々も…。
ここでいつものパターンになってしまうのだが、「早くリタイアして、一日中、酒を飲みながら音楽を聴いていたい…。」と改めて思った次第である。(「今日は一日クリムゾン三昧!」、「3日間掛けて年代順にイエスを聴きまくる!!」、「今週はブラフォード強化週間。参加作品をコンプリート!!!」、「今月はカンタベリー強化月間!!!!」、あぁ、考えただけでも素晴らしい。)