「人を轢く」という時は、ああなのだな。
昨日の夕方だ。
青森大学前を通過中、
学生が乗った自転車が突然横切った。
その距離、10mも無い。
私の速度は60km/h位だろうか。
前方には車は無く、見通しも良かった。
歩道を自転車に乗った女子大生が、同方向に走っていた。
それが、
後方確認もせずに、そのまま道路を横切った。
漕ぎながら、一気に渡ったのではなく、
惰性で、ゆらゆらと私の前に躍り出る。
ああ、絶対に間に合わない。
自転車までの距離と、それが横切る速度、
自分の車の速度と制動距離を考えると、
間違いなくぶつかる。
接触というよりも、跳ね飛ばすだろう。
ああ、
生まれて初めて人身事故を起こすのだな。
そんな事を冷静に考えていた。
驚くほどに、冷静に考えていた。
それでも、
とっさに踏んだブレーキペダルをロックさせまいと、
右脚の筋肉は、それが独立した思考を持っているかの様にコントロールをしていた。
ABSが作動しない?
という事はロックしていないのだ。
ゆらゆらと、
その距離を狭めていく彼女の姿が、
ふと、幻想的に見えた。
スタッドレスの低音質なスキール音が残るのと、
一瞬、横に並んだ彼女と目が合うのが同時だった。
ヤバっ、って顔をしていた。
窓を開けて叫ぼうかと思った。
ブレーキを踏みながら、
クラクションでも鳴らせば良かったとも思った。
しかし、まあ、
何事も無かったから思い付く事だ。
仕事中も、住宅街なんかを通る時は、
子供に充分に注意してたつもりだ。
小さな交差点でも一時停止するし。
まさか、ここで・・・
こういうのが、隙ななんだろうな。
いやはや、クルマの運転が怖くなる。