青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

発見!近所に世界の「黒澤明」が!

2009-08-17 | ぶらり散歩

僕の好きなもの・・・映画。特技・・・柔道4段

「灯台下暗し」と言いますが。これは本当です。

僕は大阪から出て来て、まだ数年。家と会社の往復だけの生活だったので、ご近所のことなど何も知りません。マンションから横浜駅まで歩くだけ・・・。その途中に神社があります。と言っても、境内は丘の上なので、通るのは写真のように階段の前だけです。

ところが!この神社・・・何とあの世界の黒澤明監督が、監督デビュー作品「姿三四郎」のロケをした浅間神社なのです!横浜駅と三沢公園(サッカー場もある大きな運動公園)との、ちょうど中間くらいに位置していて、駅から歩くと15~20分の場所にあります。神社は小高い岡の上にあり、街中の喧騒とは一線を画しています。ロケはその裏参道の石段付近で行われたそうです。

昭和17年、講道館の矢野正五郎と三四郎が参詣にゆく場面を。そして三四郎とヒロイン乙美の出会いで、切れた下駄の鼻緒をすげ替えてやる場面などをここで撮影したのです。戦時下にありながらも、男女のふれあいをきめ細かく描いた作品でした。

あれから60余年、現在の神社境内にはロケ当時にはなかった保育園が出来て、境内から横浜駅を見下ろす景観もずいぶん変わっています。しかし神社の祭神の木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)は、何と千年近い歴史があり毎年6月初めには祭礼で大賑わいになります。

しかし、話はこれで終わりません。黒澤監督は横浜が好きらしく戦後「天国と地獄」のロケも横浜で行っています。映画が製作された昭和30年代後半当時の「江ノ島」や「中華街」、「山下公園」、「伊勢崎町」、「黄金町(=当時、あんなにすさんだ町だったかどうかは知らないが)」等が次々と出て来ます。

「浅間町(せんげんちょう)」。横浜市西区浅間台という場所に黒澤はこだわっています。「姿三四郎」は浅間神社、「天国と地獄」の権藤邸は、そのすぐ近くの浅間台にセットを作りました。(この地は横浜開港時に、東海道から横浜道を分岐した場所で、歴史上重要なポイントでもあります。)

見晴らしは映画で見ての通り絶景。権藤邸の場所は、今はマンションが建つばかりで、記念碑も何も見当たらないのは残念ですが、多くの人が、横浜の花火大会はここから見物します。映画で権藤が見下ろすのは浅間町だが、犯人が住んでいる所は、実は浅間町では撮影されていません。そのセットは黄金町に作られ、権藤邸を見上げるシーンは、黄金町から見た南太田の山なのです。黄金町は本作では悪の巣窟として描かれています。黄金町は横浜大空襲のときに、電車の利用者など600人以上が駅の階段付近で焼死していると言います。

しかし身近な所で、世界に誇る名作が撮影されていたことには、ただただ驚きました。



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