スティービー・ニックス ~ フリードウッド・マックの看板ヴォーカルとして活躍し、グループ在籍中にソロ活動を開始。81年の初ソロ・アルバム「麗しのベラドンナ」がいきなり全米No.1を獲得。MTV世代なら憶えていると思います。プロモーション・ビデオの中での妖艶さや、酒やけしたようなダミ声、そして全身総レースの服を着て歌い舞う、あの姿を。僕も「エッジ・オブ・セブンティーン」の彼女の長いプロモーション・ビデオを、TV番組「ベストヒットUSA」の中で見た時は、彼女のセクシーさにノックアウトされました。僕が彼女に会い、本人の口から今日ここに書く情報を聞いたのは、2001年のことです。当時彼女は53歳だったのですが、もしその時あなたが一緒にいたら、皆さんも彼女の年齢が信じられなかったと思います。
彼女に話を聞けたのは、ボストンで。僕のアメリカ人の友人がクリスマスパーティを開き、そこにスティービー・ニックスがいた!からです。個人的なディナーショーを想像して下さい。それでも、「スティービーがなぜここにいるの?」と尋ねると、何と僕の友人の友達だったのです。アメリカ人の交友関係やネットワークには何十年付き合っていても、今でも驚くことが多い。ちょっとしたことから知り合い、きちんとフォローしていれば、お金持ちかどうかや職業や国籍を問わず、自分に必要だと思われたら友人になれ、そこからいろんな人を紹介してもらえたりして人生のチャンスが広がります。
それほど長い時間はありませんでしたが、「リアノン」「嘆きの天使」「スタンド・バック」「エッジ・オブ・セブンティーン」をパーティ会場では生で聴くことが出来ました。その日の会話の中身をご紹介しましょう。
彼女の私生活は波乱万丈と聞いていましたが、まずは彼女の成功までの軌跡。本名Stephanie Lynn Nicks、1948年5月26日に、アリゾナ州フェニックスに生まれる。
「音楽は高校時代にバンドを始めたの。始めて2年後にリンジー・バッキンガムと出逢ってバンドを組み、ジミー・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンのオープニングをしたりして3年間くらい活動をしたわ。LAを中心にね。」既に高校生の時に、恋人リンジーと出逢っていたのです。しかも伝説のシンガーの前座を勤めていました。
「そのグループを解散した後リンジーと、バッキンガム・ニックスというデュオを組んだわ。レコードも出したけど、録音はどこだったと思う?コーヒー工場の中よ。しかも全く売れなかったの。(*これはポリドールレコードからリリースされた。)26歳くらいまでウエイトレス、歯科医の助手、ハウスキーパーと転々としていた。その後よ。ミック・フリートウッドがリンジーをギターリストとしてフリートウッド・マックに迎えたいと言って来たのは。その時彼が、私も一緒に参加させてくれるならと言ってくれたわ。あの電話1本と彼の一言で私の人生は決まったの。」こうしてリンジー・バッキンガムとスティービー・ニックスを加えたフリートウッド・マックは大成功を収めます。1975年にアルバム「ファンタスティック・マック」で彼女は「リアノン」を大ヒットさせ、1977年のアルバム「噂」は全米アルバムチャート1位を31週連続でキープ、全世界で2,500万枚を売りました。リアノンの意味を知らなかったので訊くと、「リアノンはイギリスの中世・ウェールズの神話に出てくる女神の名前よ。」と、日本人なら知らなくても当然だと、笑顔で教えてくれました。
彼女の結婚歴があまり知られていないので、思い切って訊きました。「1983年1月にキム・アンダーソンと結婚したことがあるの。とても短い期間だけ。ウエディングドレスは黒だった。私が15歳の時からの親友がいたわ。そう。いたの。もう亡くなったから。名前はロビン・アンダーソン。彼女は結婚して子供を産んで、1982年に白血病で亡くなったわ。彼女は私の親友でセラピストでもあったの。彼女の死の後、彼女の夫のキムを慰め、彼女の赤ん坊の世話をしなくてはと思って結婚したけど、無理だった。あなた方にお願いがあるの。もし私に贈り物をするなら、寄付をお願いしたいの。」彼女が世界中の人形をコレクションしていることは有名で、いろんな贈り物が来ます。もしそのお金があれば寄付をして欲しいということです。
寄付の先は「City of Hope」と言う、ガンや難病のセンターです。http://www.cityofhope.org のURLからオンラインで寄付(donation)も出来ます。また彼女のこういうボランティア精神は、自身の体験からによるものかも知れません。「私は1986年11月に、コカインを10年間使って来たことを克服したの。1か月掛かったけれど、もし止めていなければ恐ろしいことになったと思う。」
噂に上ったボーイフレンドとの交際については、「噂の中の男性で、誰が私とデートしていないかを尋ねる方が早いと思うわ。リンジー・バッキンガム、ドン・ヘンリー、ミック・フリートウッド、ジョー・ウォルシュ、J.D.サウザー? みんな素敵だった。」そして最後に彼女はこう言いました。
「恋とは楽しむこと。それが分かれば、あなたは恋の勝者よ。」