青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

とにかく暗かった映画、“ラスト・ショー”

2020-05-27 | 青春・名画劇場

これまでに何千本という洋画を見てきた中で、何とも形容し難い感想を持った映画が何本かあります。面白くないと言えば面白くないし、名作と言えば名作。評論家の受けは日米で共に最高で、アカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞に2人、助演女優賞に2人、脚色賞、撮影賞、合計8つにノミネートされた程の作品です。(結果はベン・ジョンソンが助演男優賞、クロリス・リーチマンが助演女優賞を受賞。)

その作品は、1971年公開の「ラスト・ショー」、原題“The Last Picture Show”です。とにかく物語が暗い、画面が暗い、おまけに白黒映画!しかし、出演者を見ると、オスカーを獲得した2人以外にも、ティモシー・ボトムズ、ジェフ・ブリッジス、シビル・シェパードと、後に有名になった顔ぶればかり。1990年には同じ監督、同じ俳優たちで続編まで作られたほどの作品です。

しかし、この映画のチラシを見ても分かるように、当時の配給会社もどう宣伝すれば良いのか迷ったのでしょう。文字だらけの「読ませるチラシ」になってしまっています。「青春映画」だと僕は思いますが、そう煽ればクレームになりそうな内容です。

描かれているのは1つの時代、1つの町、主人公の青春の終わり。そして、朝鮮戦争に突入したアメリカの栄光の終わり。テキサスの架空の町アナリーンにある唯一の映画館の閉館が、この作品の締めくくりであり、最後に上映されるのがジョン・ウェインの「赤い河」であるところも、アメリカ人にとっては深い意味がある。

映画の中での若者たち、かつて若者だった大人達。いろいろなものの「喪失」が映画の中では描かれます。中学生でこれを観た時、とにかく暗い!という感想と、シビル・シェパード(タクシー・ドライバーにも出演。テレビドラマ「ブルームーン探偵社」でブルース・ウィルスと共演した時は、彼女の方が有名で、しかも彼女はプロのジャズ・ボーカリストとしてレコードを数枚出しています。スタン・ゲッツと共演して、ボサノバのアルバムまであり!)の美しさしか記憶に残りませんでした。ジョン・フォードの西部劇で有名な名優ベン・ジョンソンの出演は嬉しかったけど。

そして、今この作品を観ても、どこが面白いのかは分からないけれど、何かが生々しく心に突き刺さってくる作品です。僕が高校~大学生だった時には、毎年年末の深夜に、必ずテレビで放送されていました。監督はピーター・ボグダノビッチ。名作「ペーパー・ムーン」の監督です。

 



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