青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

BCL、ベリーカード ~ラジオの思い出

2021-01-03 | 昭和・思い出は色褪せない

僕が中学~高校生だった1970年代には、“BCL”という趣味が流行していたのです。日本から遠く離れた海外のラジオ放送を受信し、受信レポートを書いて国際便で送れば、その放送局からベリーカードと呼ばれる絵葉書のようなものが送ってもらえる。これをコレクションするのです。

こういう趣味は、自分で動かないと楽しめないし、いろいろな知識が必要です。英語だけではなく、国際郵便のシステムや送金方法についても知っておかないといけない。ラジオはテレビのようにチャンネルを回せば聞けるのではなく、アンテナも工夫し、周波数を自分で合わせなければなりません。楽しいだけのゲームと違い、根気も要りました

ベリーカードは和製英語で、“Verification Card”のこと。放送局の放送を受信したと証明する受信確認証です。BCLとは、“Broadcasting Listening”のことで、短波による国際放送を受信して楽しむ趣味のことです。ワライカワセミの声で有名な、ラジオオーストラリアの放送は、僕でも聴きました。

 

 

友人がこれに熱心で、カラフルなベリーカードを見せてくれたものです。そもそも受信する放送は英語受信レポートも英語で書かなければなりません。更に受信にはFM / AMではなく、短波放送を受信できるラジオが必要だし、教養が無いとできない趣味です。

ベリーカードを貰うには、返信用の郵便小為替を同封しないといけないし、エアメールは少しでも軽くしないと郵送料が高くなるので、便箋も薄いものを使用します。帰って来たベリーカード以外にも、海外の切手などを目にする機会もできます。友人は学校の成績も優秀だしスポーツは剣道部。いくら好きでやっている趣味でも、正直すごいな~と思いました。同学年ではそういう趣味の友人はほとんどいませんでしたが、今で言う「オタク」的な趣味ではなく、大人を含めたブームだったと記憶しています。

僕もBCLが可能なソニーの「スカイセンサー」、AIWAの「録音できるBCL」、ナショナルの「MAC for BCL」、パイオニアのラジカセ、日立のパディスコ55等、ステレオラジカセ発売の1歩手前のラジカセの広告を見ては、何とか手に入れたいと腕組みをしたものです。

ただ僕が使っていたのは、このナショナルのマックFFでした。

この頃ラジオで聴いて気に入ったのが、ジャクソン・ブラウンの“レイトフォー・ザ・スカイ”です。

ラジオから流れ出て来たメロデイ、声、英語歌詞の音楽のような流れ。ビートルズを初めとするこれまで聴いてきた音楽とは、一線を課す心に響く音楽でした。この日から今日まで、僕は彼が大好きで、彼を追いかけることによって、イーグルス、リンダ・ロンシュタット、J.D.サウザー、カーラ・ボノフといった素晴らしいミュージシャンたちの音楽に出逢うことができたのです!

浜田省吾のアルバム「愛の世代の前に」(1981年)のジャケットは、このアルバムをモチーフにして作られています。ルネ・マグリットの作品を彷彿させるジャケットも美しく、歌手やアイドルの顔や姿を前面に押し出す歌謡曲のレコードジャケットと違い、洋楽ジャケットの芸術性にも、僕は益々惹かれて行きました。

何でもいいから、子供たちには海の向こうに目を向けて欲しい。手元のスマホを覗いているだけでは、小さな自分の世界でしか生きることができないと思います。携帯電話は便利でも、子供の頃からそんなものを触っていると、夢の持てない大人になると僕は考えます!



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