【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ソーシャル・ネットワーク」

2011-01-15 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの「facebook」創設者をこんな風に軽佻浮薄なヤツに描いてよく本人のオーケーが出たな。
まだ生きているだけじゃなくて、いまがいちばん絶頂の人物をこんな風にだらしなく描いちゃっていいわけ?って思っちゃうわよね。
日本でいえば、孫正義を軽佻浮薄に描くようなもんだからな。
人間として壊れてる。
「facebook」みたいな仕組みを考えるヤツって、友達になんかなりたくないタイプなんだろうなあ、と思っていたら、やっぱりその通りだった。
それをその通りに描いても文句が出ないなんて、アメリカ映画というか、アメリカ社会も懐が深いわねえ。
「ナップスター」の創設者も出てくるんだけど、こいつがまた輪をかけて軽佻浮薄に描かれている。
これはこれで、こういう人がああいうシステムを考えるんだろうなあ、って納得できるような壊れたキャラクター。
つまり、アメリカのような社会では、これくらいじゃあ名誉棄損にも何にもならない、かえって箔がつくくらいのことだっていうことなのかな。
一方で、「The facebook」の「The」を取れ、なんて的確なアドバイスはちゃんとするしね。
クラシックでいえば、モーツァルトのような人間が名曲をつくるようなものか。
「アマデウス」ね。サリエリのように普通の感覚を持った友人も出てくる。
でも、彼は常識が邪魔をして、ある一線以上は上に行けない。
それが天才と凡人の違いかな。
それだけに、映画は上辺だけのきれいごとに終わらずに、みごとにある時代の一面を切り取ることに成功している。
どうして「facebook」にそんなに魅力があるのか、やってない人間には結局よくわからなかったけど、そういうものが流行する裏側の人間ドラマは、誰もがわかる普遍的な描き方をしているんで、見入っちゃったわ。
「セブン」をはじめとする映像派デビッド・フィンチャー監督にしては、びっくりするくらい正攻法の人間ドラマだった。映像的な冒険はあまりないんだけど、そのぶん、人間の欲望とか才能の在り方をきっちり描いていて感心する。
「ソーシャル・ネットワーク」というシステムを知る、というより、人間社会を知るという意味での、ソーシャル・ネットワーク映画だったのね。







最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (ミスト (MOVIE レビュー))
2011-01-21 17:25:13
>クラシックでいえば、モーツァルトのような人間が名曲をつくるようなものか。
>「アマデウス」ね。サリエリのように普通の感覚を持った友人も出てくる。

★そうですね、「アマデウス」のモーツアルトの様に、人を小馬鹿にしたような天才の持つ独善的な振る舞いに似ていますね。(^^ゞ
返信する
■ミストさんへ (ジョー)
2011-01-22 18:00:28
>人を小馬鹿にしたような

まったくそんな印象ですね。
一般庶民とは遠くかけ離れた世界ですが、その割に親近感も抱くのは
天才の醜さも人間的な醜さだっていう点を押さえているからかもしれませんね。
返信する
Unknown (タニプロ)
2011-01-25 00:08:56
ブログにいただいたコメントで興味深いことを聞きました。

ラストの女性のセリフ、字幕版と吹替え版でニュアンスが違うそうです。

僕は吹替え版で観たのですが、吹替え版は「そういう生き方をしている」でした。

なんでも字幕版では「そう振舞ってるだけ」なんだとか。
返信する
■タニプロさんへ (ジョー)
2011-01-25 20:04:54
ほんとは何て言ってるんでしょうね。
「そういう生き方をしているように振舞ってるだけ」なんてね。
返信する
Unknown (vic)
2011-01-28 23:07:26
私のまわりでも、この映画観てフェイスブックに登録した人いるから、マークは、宣伝効果を期待する計算もあったのかも知れませんね。

脚本の段階から、本人が修正を要求することが出来たのかどうか、気になりました。
返信する
■vicさんへ (ジョー)
2011-01-29 11:49:18
まさしく、facebookを広めるためなら、話題になればいいのであって、自身が他人からどう見られようが、そんなこと関心ないのかもしれませんね。
でも、それって、この映画の中のキャラクターそのまま?
返信する