【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「カラフル」

2010-10-21 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

エンドクレジットに主題歌が流れる映画って多いけど、ほとんど映画と関係ないような耳触りがいいだけの曲ばかりの中で、この映画の主題歌は今年ピカいちだな。
既製曲よ。ブルーハーツの「青空」のカバー。
だから、その選曲がいいんだ。「運転手さんそのバスに僕を乗っけてくれないか。行先ならどこでもいい」なんて、まるで俺たちのブログの主題歌みたいじゃないか。
もうバスからは降りちゃったけどね。
精神的な問題だよ。行先なんかどこだっていい。ここじゃないどこかへ行ってみることが大切なんだ、世界はそこから広がるんだ、っていうのは映画「カラフル」のテーマでもあり、それはそのまま映画を観ることの意味でもあり、俺たちのブログのテーマでもある。
いつから、そんな高尚なテーマのブログになったの?
今から。
「カラフル」の中にバスは出てこないけど。
その代わり、バスのような路面電車が出てくる。
いまはなき、懐かしの玉電。主人公の少年は、その玉電の線路跡を歩く。
まさしく、行先なんかどこでもいい。とにかく行ってみる。その中で彼の心の中の何かが変わっていく。少年よ、書を捨てよ、街に出よう。
そこまで言うか。
でも、原作にはない玉電のエピソードを入れただけで、この映画が限りない豊かさを獲得しているのはたしかだ。
それより私は、一緒に歩いた友だちのほうが心に残るけどね。
ひょうひょうとして主人公の少年を受け入れる同級生の早乙女君。一緒にいるだけで癒されそうで、彼こそ理想の友だちだな。
森絵都の原作とはいえ、天使なんていういかにもアニメっぽいキャラクターが出てくるから、浮ついたファンタジーになるのかと思ったら、とんでもなく地に足がついた映画だった。
学校の壁の向こうから聞こえてくる合唱の声とか鍋を囲んだ家族の会話とか、アニメにしては実に日常の生活感を大事にしている。
そういう誠実さがあるのよ、原恵一監督には。
なんとなく早乙女君みたいな風貌してるしな。
それって誉め言葉?
精神的にはな。





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