立派な森だな。
三井倶楽部の森よ。
夏にはさぞ、せみの声もにぎやかだったんだろうな。
いまはもう九月だからね。
せみも消えて、「うつせみ」だけが残るか・・・。
って、まさかキム・ギドクの「うつせみ」の話をしようとしてるんじゃないでしょうね。
いけないか?
昨日、「弓」の話をしたばかりなのに、またキム・ギドクの映画の話をするわけ?
しょうがないだろ、天才なんだから。
そりゃ、泥棒でもないのに留守中の家に入るのが趣味の青年が、たまたまあるお屋敷にいた主婦と恋に落ちるなんておかしな話をこれだけ魅力的な映画にできちゃうのはキム・ギドクくらいしかいないとは思うけど。
いったいどうしてこういう話を思いつくのか、といつもあきれちゃうんだけど、今回もまったく期待を裏切らないというか、期待を上回った怪作というか、もう、恐れ入りましたというしかないよな。
「弓」の前につくった映画なんでしょ。
ああ。この映画の主人公たちもほとんど言葉を喋らない。それでいて感情は十分に伝わってくるんだからたいしたもんだ。
でも、とくに後半、そんなのあり?って展開になってくるけど。
いつもそうだろ。「弓」だって、そんなのあり?って展開になってくる。凄いのは、どうみても思いつきでそうなったような話なのに、見てると妙に納得しちゃうんだよな。
理性というより感情が画面を支配しているからかしら。
そこが説明しずらいところなんだけど、理性も感情もひっくるめて頭が納得しちゃうみたいな、不思議な映画になっているんだ、いつも。
天から降ってきた映画としか思えないわね。
つまり、天才なんだよ、この監督は。秀才の映画監督というのはたくさんいるけど、天才の映画監督っていうのは、ほんとに数えるほどしかいないからね。
たとえば?
「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリックとか、「花様年華」のウォン・カーワァイとか。
たしかに私たち凡人の頭脳を超えてるもんね。
こういう天才系の映画には、俺たち凡人はなんにも考えないで、ただ身を浸すしかなんだよ。
なにも考えないで?
そ、なにも考えないで。
なにも考えないでいいなんて、怠惰なあなたにぴったりの映画ね。
そういうこと・・・て、おいおい。
ふたりが乗ったのは、都バス<田87系統>
渋谷駅前⇒並木橋⇒渋谷車庫前⇒東二丁目⇒東三丁目⇒恵比寿駅前⇒恵比寿一丁目⇒恵比寿四丁目⇒恵比寿二丁目⇒恵比寿三丁目⇒北里研究所前⇒三光坂下⇒白金高輪駅前⇒魚籃坂下⇒三田五丁目⇒慶応義塾大前⇒田町駅前
ブログランキング参加中。よろしければ「降車ボタン」を押す代わりにワンクリックを。