【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「ユナイテッド93」:北里研究所前バス停付近の会話

2006-09-11 | ★田87系統(渋谷駅~田町駅)

ここは北里病院か。
あの日、もし日本が標的になっていたらこの病院にもたくさんの負傷者が収容されたのかしら。
あの日って?
9月11日よ。5年前の今日。
そんな物騒な話はやめろよ。
でも、アメリカだからワールド・トレード・センターが狙われたけど、日本だったらきっと六本木ヒルズが狙われるわ。そしたら、六本木に近いこの病院にだって負傷者が来るわ。
だから、そんな縁起でもないこと言うなよ。
でも、現についこの間も新たなテロの計画が発覚したのよ。
そうなったら戦うしかないだろう。
「ユナイテッド93」の乗客みたいに?
ああ。
テロでハイジャックされた飛行機で1機だけ標的に達せず地上に堕ちた飛行機の映画ね。でも、あの映画を見てびっくりしたわ。地上の官制室って飛行機の動きをまったく把握していないのね。窓越しにワールドトレードセンターが炎上するのを見て始めて自分たちが官制している飛行機が突っ込んだのかもしれないって知るなんて。
まあ、あんなことが起きるなんて、誰も想像できなかったしな。
管制室のすごい混乱ぶり。リアルだったなあ。
ユナイテッド93の機内の描写もリアルだったぜ。生存者がいなくて機内がどうだったかなんてわからないのに、きっとこうだったんだろうって納得させちゃう。
ヒーローなんていないのよね。みんなでなんとなく犯人を追いつめていく。でも、間に合わなくて飛行機は墜落しちゃうの。
犯人もまた、震えながら迷いながら行動する。実は、乗客と同じ、ふつうの人間なんだよな。
そうなのよ。1対1でつきあえば、きっといい人たちなのに、立場が違うばかりに悲劇が起きてしまうという状況。
そう、ひとりひとりと話せば信条の違いも乗り越えられるだろうに、それを世界の状況は許さないんだよな。
ほんとはね、乗客の誰かひとりでも犯人を説得する人が出てくるかと期待したんだけど、そんな余裕もなかったわね。世界の状況の縮図だわね。
ほんとだな。「話し合おうじゃないか」って言う人がいてほしかったな。無駄でもいいから言ってほしかったな。
あんな状況で、そんな余裕あるわけないのは十分承知してるけどね。
ああ。彼らはあの状況の中でできる限りのことはやった。立派だった。あの勇気には感動するよ。
やっぱり、戦うしかないのよ。テロには屈しないって言って。
いいや、やはりあの犯人の人間臭さを見てると、同じ血が流れている人間なんだから、どこかでわかりあえるっていう希望は捨てきれない。
あら、戦うしかないって言ったのはあなたよ。
ああ。でも、「ユナイテッド93」という映画には、わかりあえるかもしれないって思わせてくれるところがあるんだよ。そんなシーンはまったくないのに。悲劇を忠実に描いているのに、どこか、かすかな希望の光が見えるんだ。
その希望の光を消さないように私たちも努力しなくちゃだめね、犠牲になった彼らのためにも。
ああ、ほんとうだ・・・。じゃあ、映画の話はこれくらいにして、今夜は奮発して六本木ヒルズのレストランでフレンチなんてどうだ?
ああ、これが日本の現実なのね・・・。


ふたりが乗ったのは、都バス<田87系統>
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