宮崎県のアンテナショップの名前は「KONNE」(こんね)
舞の起業祝いに五島のばんばからメジナ(魚)がぎょうさん送られてきたので、御園・久留美を交えてお祝いすることになった。舞はまだ、設立するいい新しい会社(町工場と町工場を繋げて新しい製品を消費者に伝える)の名前が思い浮かばない。ただ、デラシネに通う大樹からは、英語にしたらカッコいいのではと言われている。 ○<御園> あ.これ、メジナですか。 ○<めぐみ> 五島ではクロっていうねん。よう、メジナってわかったな。 ○<御園> この間、五島の取材で見たばかりなんです。 ◆それを聞いていた舞が「あっ」と声をあげるが、すかさず貴司が「何」と問いかける。 ○<舞> 会社の名前「こんねくと」はどうですか。「こんね」は五島弁で「おいで」という意味なんです。
○<舞> そやから、おいで(こんね)→つなげる(英語のコネクト)で「こんねくと」 ○<御園> 変わっていていいと思う。 ○<舞> ホンマですか。 ○<御園> うん。
これで会社の名前は決まったが、会社名は、起業する際においても「すべてが、その名前に凝縮」されたものであり、社員が日常口にするものであり、これによって相手の受ける印象も違って来るし、ことの他、大事にしたいものである。看板や名刺に記載するものであるし、「名は体を表す」という。
しかし、「こんね」の方言元である五島は、東大阪市に住む人とは、関係ない「ことば」になるのだろう。五島は、舞のおばあちゃんの住む場所 めぐみのお母さんの故郷である。舞にとっては彼女の今の精神的な支柱が形成されたところといえる。舞は小さいころ、すぐに熱を出すような弱い子であったが、ばんばの養育のおかげで、最後はバラモン凧のような風に向かって耐える精神が育ったのだ。ゆえに、相手に、なんで「こんねくと」と聞かれたら、舞社長自身にとっては、そのバラモン凧の精神を聞かれることになるのだろう。
一般には、おいで(五島弁)+コネクトの合成語ということで、理解してもらえるし、「こんねくと」の言葉のひびきがいいので、覚えやすいとおもわれる。御園の「変わっていい」というのは、東京から来た一般的な人である者から出た感想であり、「社名、変わってますね」から話が発展する可能性もある。
さて、この五島弁の「こんね」ということであったが、ここ宮崎県でも使う。私の知っている限りであるが、宮崎だけでなく福岡でも使うとのことなので、すくなくとも、長崎・福岡・宮崎・・・九州内では、使っているところはあるようだ。宮崎県では、県産品を売り出す「アンテナショップ」<※※※>の名前として、<こんね>をローマ字にした「KONNE」(宮崎市、新宿、堺市、博多市、香港に開設)を使用しているのを紹介しておきたい。私としては、この方言ともいうべき「こんね」は、「来(こ)んね」から来たものと思っていたがどうだろう。その意味では、地方に育った私としては、全国に通用することばだぞと言いたい。
会社名が五島弁の語源から来ているころから、作者としては、話がもう一度五島に帰り、会社が五島をつなぐ架け橋になるようなことを考えているのかもしれないが、どうなるのだろう。この意味での伏線回収となるのか?
<※※※> このアンテナショップは、宮崎市の「宮崎物産館KONNE」の他「新宿みやざき館KONNE」、「堺みやざき館KONNE」*、「博多みやざき館KONNE」*、さらには海外店舗として香港に「香港みやざき館KONNE」*がオープン。(宮崎の県産品・食材をご覧出来るので、一度足をお運びください。) *民間の店舗について宮崎県がこれを認定する「特約店方式」という運営形態