元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

フレックス休暇は労働者が自由に休暇日程を決定(法的な制度ではなく会社独自のもの)

2021-08-08 09:40:44 | 社会保険労務士
 フレックス休暇は休暇の拡大と捉えるので就業規則の変更は不利益変更には当たらず

  まだ聞きなれないことばだと思いますが「フレックス休暇」というのがあります。これは英語の「flex(曲げること、柔軟性)」から来たことばです。労働基準法には「フレックスタイム」というものがあり、これは労働者の方(ほう)で始業時間および終業時間を自由に決めることができる制度ですが、「フレックス休暇」というのは法的に定められたものではなく、会社で独自に定めるものです。

 ですので、実は一定の決められたルールというのは存在しません。ただ、「flex(曲げること、柔軟性)」からいえるように、労働者の方(ほう)で休暇を自由に決めることができるという制度だと考えていただくといいと思います。

 たとえば、お盆の休暇として8月13日~15日の3日間を休暇としている会社は多いのですが、サービス業などはこの時期に必ずしも店自体は休んでいないので、この3日間を休暇とする必要もないと思われます。もっと休暇の枠を広げて、各労働者で7月、8月、9月の3か月の間で3日間の連続の休暇を取るような制度として、会社の就業規則に決めることが可能です。正月3が日も同様です。

 このように、業態によっては会社の方にもメリットがあるのですが、労働者の方に大いにメリットがあります。労働者が休暇日を自由に選択できることになり、お盆以外の混まない時期を休暇にできます。土日と組み合わせて休める、旅行代金の安い時期に休める、夫婦で合わせて休めるなど、ワークライフバランスの促進に活用することができます。

 なお、就業規則で夏休みをすでにお盆の8月13日~15日に決めている場合は、これを変更する場合は不利益変更ではありません。むしろ、休暇の弾力的な運用に変更することですので労働者の利益になることです。一般の手続きである労働組合等に意見を聴かなければなりませんが、普通に就業規則を変更することで事足ります。

<就業規則の例> 労働時間管理の法的対応と実務(中央経済社発行 弁護士法人ディライト法律事務所著)p149より
第◯条(休日)
1.会社の休日は、次のとおりとする。
①土曜日
②日曜日
③国民の祝日に関する法律に定められた休日
④夏季休暇
⑤年末年始(12月31日から翌年1月3日まで)
⑥その他会社が休日と定めた日
2.夏季休暇は7月1日から9月末日までの間において、従業員が希望する連続した3営業日とする。ただし、会社は、従業員が希望した日に夏季休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
3.従業員は、夏季休暇を取得する場合、希望する日の1週間前までに所定の様式で届出るものとする。


参考 労働時間管理の法的対応と実務 中央経済社発行 弁護士法人ディライト法律事務所著 P147~p149 
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