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平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

新設計スワン型スピーカー

2010-11-17 18:48:53 | スピーカー工作
 スピーカー工作は切れ端の板が余るのですが、弟子用に余った板を活用しようという事で新設計しました。もちろんバックロードホーンですが、今回は首の長いスワンタイプです。

 スワンというのは、故長岡鉄男氏の傑作の一つで、ホーンを単純に折り畳んだ通常のバックロードホーンとは違い、空気室が独立し、スロート(喉~ホーンの始まりの部分)から細長いパイプが繋がっています。これがスワンの首に見えるので、スワンと命名されました。スワンは10センチ用ですが、ユニットを変更した姉妹機には、小さい順に、フラミンゴ、スーパースワン、レア、モアなどがあります。

 スワンは、バッフル面積が小さいのでユニットからの音が反射せず、結果的に音像が小さく、定位と音場感が良くなります。欠点は、ホーン開口が後ろにあるのでセッティングに制約があること。それに、ベニヤ板二枚半の物量が必要なことです。今回は、ベニヤ板一枚半くらいに収め、ホーン開口を前にした設計です。また、ベニヤもスワンの15ミリ厚ではなく、12ミリ厚で経費を節約しました↓。

 寸法と板取はそのうち公開予定

 僕としては初めてのスワン型だったので、ネックの変更で8センチユニットも取り付けられるようにしました。具体的には、スロートをもう一段階絞ることで対応します。ホーンロードは複雑ですが、長い首から下の箱に入ったロードは、7センチ幅のまま後方に折り返します。そして、一番後ろの上面の部分で左右に分かれ、今度は前の方に向かってから二度折り返します。低音の量感に影響するホーンの開口面積は、前回に設計したミカエル型と同じくらいです。

 ここでバックロードホーンの設計の極意を書いておくと、音道の計算は三ヶ所のポイントだけ行います。具体的には、スロート断面積、開口面積、そして中間のどこかです。この三つはある程度の計算しておいて、あとはロードが自然に広がる感じで適当に板を配置します。バックロードホーンは、シビアさとケンチャナヨさが同居しているので、神経質な設計をしても成功しません。注意深く抑えるべきところは抑え、少々の寸法の違いはケンチャナヨという好い加減さも必要なのです。だから、職人気質の楽器なのです。

 長岡鉄男氏の名言に「見る前に飛べ」というのがあります。計算できないとか、設計できないとか、工作したことがないとか、女の腐ったみたいな言い訳をしていないで、とにかく作ってみろということです。小さな密閉箱でも何でも一度作った人は、作らない人の何倍もスピーカーへの理解が進むのです。僕は、オーディオ好きなのにスピーカーを作らない人は、人生の何処かで臆病な人ではないかと思っています。

 競馬場と秋葉原の共通点は、実は女性が美人に見える場所ということで、特にパーツ屋をうろついている女性はピカピカに見えます。これで自分でハンダ付けをするようなら最高ですね。女性でさえそうなのですが、ハンダ付けの出来ない男はサバイバルに向きません。これからの時代、寄せ集めのパーツで何かを作る程度の技術は必須です。サバイバルを考えるのなら、とにかく自分で作れるようになれ。電気の分からない僕でさえ、40過ぎてからアンプを作れるようになったのですから、言い訳を聞く耳は持っていません。

 町田のサトー電気というパーツ屋さんに、女子高生が二人来ていたそうです。ギターのエフェクターのパーツを探していたそうで、お店の人も常連さんも「どこで訊いて来たのかねぇ」と不思議がっていました。ネット時代の面白さです。なお、設計で夜更かしが続いて心臓がバクバクなので、木金と二日ほど休みます。

      エフライム工房 平御幸
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竜退治のスピーカー

2010-08-23 19:21:50 | スピーカー工作
 試作のスピーカーが完成しましたが、制作中から不思議な力を見せています。昨日の午後のことでした。



 残る片チャンネル分のスピーカーの制作をしながら、ナゴヤドームのドラゴンズ対スワローズ戦をリアルタイム速報でチェックしていました。1-0でスワローズが勝っていたのですが、最後に取り付ける側板の板が割れているのを発見し、ホームセンターに買い出しに行くことになりました。それで、リアルタイム速報のパソコンはそのままで、メインのパソコンだけ電源を落として出かけました。悲劇は帰ってきてから起こりました。

 帰ってきて試合をチェックすると、6回の裏でドラゴンズがワンアウト一塁で、すぐにフォアボールで一二塁。これはまずいと思いながらメインのパソコンの電源を入れたつもりが、リアルタイム速報をモニターしているサブのパソコンの電源ボタンを押す始末。このミスが、投手バーネットのミス(次打者のバントを処理しようとして三塁に暴投した)を誘発して同点。次打者荒木のヒットで満塁になり、この時点でスコアボート表示は、イニング6、スワローズヒット数6、ドラゴンズヒット数6+四球6と666の状態でした。

 この666に誘発されたのか、次打者野本のファーストゴロも、一塁手のホワイトセルがホームに突っ込む走者にぶち当てるというミスで逆転を許す有様。ここで僕は諦めて、スピーカーを完成させることにしました。ところが奇跡はこれからです。

 今回のバックロードホーンの側板は大きく、ハタガネだけでは締め付けることができません。釘を使って音道に隙間ができないようにするのですが、この作業が終わる頃、試合も9回の表で、スワローズは最後の攻撃です。ドラゴンズは押さえの岩瀬ですから、常識的にはこのまま試合終了です。諦めて速報を見ると、何とワンアウト一二塁のチャンスです。スピーカー工作の最後の確認をして見ると、青木がフォアボールで満塁の大チャンス。

 ここで、青木の早稲田の後輩・田中が内野安打で同点。続く飯原がヒットで逆転なのですが、後でテレビを確認すると、田中の内野安打はセカンドがボールを握り損ねたラッキーなものでした。また、青木から3人とも稲に関する名前や出身校なのです。古事記や日本書紀では、神様の名前は稲作に関するものが多いですね。これは、イエスが米で象徴されることから、神名も米からとなったのです。

 このように、今回のバックロードホーンは、スワローズの霊的なオーナーである僕のミスを帳消しにしてくれる、竜退治の神様達の象徴なのです。竜退治の神様達と言えば、大天使ミカエルとその眷属(けんぞく)ですから、このスピーカーもミカエルタイプと呼ぶことにします。やはり、パウロの意味である「桐」を側板に使ったのが良かったのでしょうか。すると、ユニットは菊型にしなくてはなりませんね。

 実は、古代史の『万葉集』編で、人麻呂の足跡がパウロの足跡に重なるという発見をしています。まだ書いていないのですが、人麻呂は自分の脚で歩いたのではなく、パウロの足跡に重なる場所を見立てて歌にしたのです。アレキサンダーの足跡と、ヤマトタケルの足跡が重なるのと同じです。

 ということで、この試作品は霊力が強く、釘を使ったので、イエスの磔刑をも象徴することになります。読者に押しつけるには大き過ぎるし、読者用には全高を60センチから70センチにした第二試作を構想しています。

 今回の音質評価ですが、FE-126Eという中古ユニットを取り付けての結果。全く癖がなく、低音も40Hz近くまで伸びています。ユニットが平凡で面白みはないのですが、それでも傑作の部類に入る出来映えです。ユニットを高級品のFE-108EΣなどにすれば、圧倒的な切れと繊細感が出てくると思います。FE-126Eは型番が古代史に登場する七倍罰2520年の半分1260年に重なるので、古代史的には良さそうです。

 大型テレビの横に置いても見栄えするので、広い部屋で使いたい読者には向いていると思います。送るときは小型の家具扱いになりそうで、厳重に梱包する必要がないからかえって楽かもしれませんね。

      エフライム工房 平御幸
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リスク回避

2010-03-19 23:54:34 | スピーカー工作
 スーパーウーファーは片チャンネルだけ組み立ててみました。ステレオ分を一度に作らないのはリスク回避のためです。

 今回の目的は低音の再生にありますが、それだけならユニットを箱の中にしまうASW(アコースティック・スーパーウーファー)方式が楽です。ASW方式というのは日立が開発したもので、ユニットの回りをもう一つの箱で囲い、ユニットからの直接音は耳に入らないようにし、ダクトから放射される低音だけを再生する仕組みです。歪みの少ない超低音も再生できますが、キャビネットは冷蔵庫並みに大きくなります。

 対して、ASWのユニットを取り付けている中仕切りにダクトを設け、ユニットは外に出して、ユニットからの音も再生する方式をダブルバスレフ方式と言います。中仕切りのダクトがない、ダクト一個の方式が普通のバスレフ方式で、バスレフの二階建てがダブルバスレフです。やはり、バスレフでは再生できない超低音の再生に向いています→こちら

 ダブルバスレフ、ダクト2は底板に設置

 今回は、中仕切りと天板とフロントバッフルの取り外し・交換方式とし、ASWとダブルバスレフの両方に変身できる欲張った設計としました。ダクトから出てくる低音は計算式通りにならないことがあるので、あとで調節できるようにとの配慮もあります。中仕切りのダクトを取り外してユニットを取り付けるとASWになります。ダブルバスレフのままだと、中音以上に対して低音と超低音はレベル低下を起こします。何らかの補正が必要となります。

 ダブルバスレフの場合、中仕切りにダクト1が見える

 ASW方式の場合、ユニットが中に隠れる(上に見えるのは取り外したダクト1)

 このように、ユニットの交換やダクトの交換を前提にした、究極のリスク回避の設計ですから、外付けのユニットの場合は30センチ口径にも対応します。ASWの場合、フロントバッフルのユニットを取り外した穴を塞ぐのが一般的ですが、ここにもう一つのダクトを設けても大丈夫です。試しに、中仕切りのダクトを取り付けてみましたが、交響曲ならダクトから漏れてくる中高音と低音が同レベルとなり、迫力のある演奏が再生されます。ギターも良いですが、ボーカルはこもった感じがしてダメですね。

 フロントバッフルの穴にダクトを取り付けた場合(奥にユニットが見える)

 スピーカーの調整用に、MXTVで放映されたカラヤン指揮のドボルザーク『新世界から』を再生しているのですが、テレビ放送のせいか超低音領域がカットされているようです。第二楽章の途中、フルートで始まる旋律の最後にコントラバスのピチカートがあるのですが、この最後の音が再生されませんね。昔のLPで、ジュリーニ指揮の盤には腹に響く低音が入っていました。もっとも、カラヤンの盤は、LP時代から50ヘルツまでしか入っていないと評する人もいましたけど。

 さて、日曜日には皐月賞トライアルのスプリングステークスと、土曜阪神の若葉ステークスがあります。来週の毎日杯で出走メンバーが確定されますが、スプリングSは注目の二歳王者ローズキングダムと、真価が問われるサンライズプリンスが出走します。どちらかが、あるいは双方が全勝ではなくなるのですが、天候が雨模様みたいですから心配です。ワールドを占う一戦となるでしょうか。

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五十姓

2010-03-16 18:59:38 | スピーカー工作
 小学生の時に、クラスで成績の悪い生徒は農家が多かったこともあり、僕は農業に対して偏見を持っていました。でも、よく考えてみたら、何でも作る父親と母親は共に青森の農家だったんですよね。父親は長男なのに継がないで、上京して警官をやっていましたが、根が優秀なので無理矢理昇進試験を受けさせられ、とうとう本庁勤務させられたそうです。

 小学校があった仙北町は、秋田の仙北郡からの開墾者が移った地域らしいです。その元々の秋田が優秀でなかったのかどうかは分かりませんが、成績が悪い上に素行も悪いし、うちの庭に入ってきて、池の金魚を殺したりしていましたね。でも、中学の卒業時には、成績も含めてだいぶましになっていました。僕の啓蒙もありましたが。

 今は百姓と表記すると差別用語扱いされますが、百姓とはもともと、百の姓(仕事)を持つ何でも屋さんという意味です。白戸三平の『カムイ伝』には、江戸時代のお百姓さんの多忙さが描かれています。米だけでなく、米を入れる米俵まで自作していたのは驚きです。『カムイ伝』を読むと、マスカキとか手練手管の語源が分かります。どちらも米に関しての仕事の中から生まれた言葉で、計量升とセンバコキ(千歯扱)以前の手作業のコキから来ています。貧しい農家の娘が郭(くるわ)に売られた名残でしょうか。

 両親が農家の出であったためか、僕は自分で作るというスタンスを幼いときから確立していました。僕に言わせれば、ディスプレー専用の模型には価値がありません。模型は何らかの動力で動かして、修理したり改造したりして、最後にスクラップになる運命です。改造するためには、刃物やハンダゴテを扱う必要があり、また素材に対する要求度が高くなります。

 模型であっても、車のサスペンションを作るときに、一番大変なのはアームを支持する部分なんですよね。小学生でも、自分で模型自動車のサスペンション改造をしてみれば、経験的に理解できるようになります。僕は月刊『自動車工学』が小学校高学年時の愛読書でした。

 消費税が導入されたときに、真っ先に打撃を受けたのは、アンプやスピーカーのキットを販売するメーカーでした。完成品は物品税がかかりましたが、パーツを集めて自分で組み立てるキットには税金はかからなかったのです。スピーカーシステムだと税金がかかり、ユニットと板を別々に買うと無税だったのです。このシステムが消費税導入で崩壊し、自作する人が激減することになります。これが、日本の技術力低下の一因にもなっていると思います。

 さて、古くてエッジが破損したスピーカーユニットの修復ですが、エッジは鹿皮や和紙、最近ではウレタンや合成ゴムなどが使われます。メーカーでは凹凸の型でプレス成形しますが、自作では無理なので頭を使います。まず、材料はレコードのクリーナーで使う、レイカクロスのビスコ(Visco)33を用います。これを広げてスプレー糊の77番を塗布し、薄美濃(うすみの)という和紙を貼り付けます。次に、Visco33をもう一枚広げ、同じように糊をスプレーし、貼り合わせた和紙+クロスの和紙側を貼り付けます。これで、クロス・和紙・クロスの三重ラミネートができあがりです。



 次に、厚紙と画鋲と鉛筆で簡易コンパスを作り、合板の上に置いたラミネートに糊代などの同心円を描き、内径と外径は、カッターの刃を厚紙に刺して回転させると切り抜くことが出来ます。糊代の部分は、堅い木やスプーンなどで折り目を入れます。最後に、先端の丸い粘土細工用の篦(へら)でエッジの丸みを付けます。時間があれば、粘土や石膏で型を作った方がきれいに出来上がります。

 こうして作ったエッジを、最初は内径の方から糊やボンドで接着し、エッジの丸みを付けながら外周を接着して行きます。繊維の方向性で丸くならないところがあってもケンチャナヨ。少しくらいの不出来では音が悪くなることはありません。作りたては和紙がパチパチと共振しますが、そのうちにこなれてきます。エッジに丸みを付けないで平らにすると、振動板の影響を吸収できません。パンパンという音を出して使い物になりません。



 マニアが好む鹿皮ですが、重いので僕は使いません。重くなって反応が鈍くなった変化を好む物好きはいますが、エッジは軽い方がよいのです。8センチ程度の口径のユニットなら、エッジの代わりに脱脂綿を引き裂いてケバ立たせ、そのケバで振動板の外周を支えるようにすれば、信じられないほど素直な高音質となります。ただし、ユニット後ろの空気が漏れるので、低音は出なくなりますし、小音量でも振幅が大きくなるので耐入力も小さくなります。

 最後に、タバコの脂で汚れている振動板ですが、ガラスクリーナーやアルコールなどでも除き切れません。そこで、日本画の胡粉(蛤や牡蠣の貝殻を粉にしたもの)や黄土(大半は中国産で黄砂と同じ)でボロ隠しをします。振動板の重量増は0.5g程度ではないでしょうか。それにしても、修理したユニットをつくづく眺めると、僕はいまだ百姓ではなくて、半分の五十姓なんだなぁと思いました。工場と工具と素材が欲しいニダと言い訳ですね。

 
振動板よりも巨大なマグネットを持つフォステクスUP203Sの修理完了

      エフライム工房 平御幸
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ファンダメンタル

2010-03-12 20:32:25 | スピーカー工作
 9日の誕生日に珍しく雪が降り、しかも朝から「ものみの塔(エホバの証人)」がピンポンするしで、今年一年の不吉さが頭をよぎりました。四年前の誕生日はジュニア選手権当日で、韓国の不正に気が付いた日でもありました。掲示板に書き込まれた、真央ちゃんに対する筋弛緩剤投与、それに続く工作員による否定の罵倒、すべてはあの時から始まっていたのですね。

 バンクーバーのショックのせいか、神経の疲れが取れ難くなっています。こういうときは、交響曲でもかけて低音をガンガン鳴らすと良いのですが、生憎(あいにく)とバックロードホーンは重低音・超低音再生に不向きなのです。それで、超低音を再生できるスーパーウーファーを企画しました。左右のスーパーウーファーの間を板でつなぐと、90×180センチのベッドになります。ただいま設計中ですが、手に入れた中古ユニットのエッジが風化しているので修復からですね。

 オーディオでは、低音のことをファンダメンタルと呼ぶことがあります。ファンダメンタルとは基音のことですが、ピアノの最低音が31Hz(ヘルツ)、パイプオルガンの最低音は16Hzです。16Hzはすでに風圧で、耳に聞こえる音ではありません。ヤマハなどのメーカーは、ピアノの最低音の31Hzを目指して設計しているのです。

 低音を再生するには条件があり、キャビネットを大きくしたくない場合は、ウーファーと呼ばれるユニットの振動板を重くします。海外製に多いこの方式は、欠点として能率が低くなり、音も生気が無くなります。また100W以上のハイパワーアンプが必要不可欠になります。逆に振動板を軽くすると、今度は冷蔵庫並みの巨大なキャビネットが必要となります。ユニットの口径は、12センチ以上であれば余り関係ありませんが、強力な駆動力=マグネットや強靱なコーンが必要です。

 このように、低音をきちんと再生するには、資金と設置スペースとノウハウが必要となります。ファンダメンタルには金がかかるのです。最近のメーカー品は小型になっているので、大半が40Hz~50Hz前後でごまかしています。僕の作るバックロードホーンも同様ですが、小型だと50Hz~60Hzが限界ですね。40Hzまで伸ばしたかったら、高さが90センチのフロア型にするしかありません。それでもスーパーウーファーが必要となるのです。

 クラシックのコンサートに行くと、オーケストラの重低音は軽くフワッとした響きだと気が付きます。スピーカーから流れてくる重低音とはイメージが違います。これが、ウーファーが重いことによる弊害なのです。このような軽い低音は、小型のキャビネットからは絶対に出すことはできません。ファンダメンタル60Hzのコントラバスが大きいのは必然なのです。

 ということで、ベッド兼用のスーパーウーファーが出来たら、左右のスピーカーの間に枕して、思う存分に低音を楽しみたいと思います。北枕になるのはケンチャナヨ。今日の教訓は、ファンダメンタルというか、基礎には金がかかるという事でしたね。芸術も学問も研究もスポーツも、基礎が一番大事という事では一致しています。基礎のない韓国は嘘と捏造と買収に走る。基礎技術を盗みに来るので、世界の皆さん注意汁。

      エフライム工房 平御幸
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新設計バックロードホーン

2010-01-10 21:04:22 | スピーカー工作
 松の内が終わり、お飾りのお餅に異変が起きていました。小沢と鳩山の首が飛ぶ事を暗示させた、左側の転落した上二段の餅と蜜柑ですが、あの後もう一度落ちたのでそのままにしていたのですが、調べてみると下の二段の継ぎ目が黒とピンクに黴びていました。直径が3.5センチ近くの大きさです。右側の方は、青カビが薄く5ミリほどですから、左側の異様さが際立ちます。やはり、左側は民主党の象徴だったのです。

 小沢が追詰められて行く流れが強まったので、僕はクリスマス前から地鎮祭用のバックロードホーンを新設計して、すでに4組も作り上げました。弥生時代に埋められた銅鐸(どうたく)は、地殻の構造線の上にある事が多い事から、単純な儀式用ではなく、地震を鎮める地鎮祭用ではないかと、僕は古代史の中で書いています。僕が読者に届けるスピーカーも、銅鐸と同じように見かけは楽器で、本当は地鎮祭用だったのです。送った先が地震の危険地帯ばかりだったので、今頃になって気がつきました。

 僕が最初に買ったアンプは、福音電気を改名したパイオニア製でした。型番は、Pioneer SA-8800という縁起の良いもので、この時から八十八という「米=イエス」に導かれていたんですね。渋谷で薦められるままに買ったのですけど。音は馬力があって、交響曲をガンガン鳴らすのに最適でした。芸大寮で同室だったホルンの木村君が、自分のアンプよりも金管楽器向きと評していました。

 新設計のスピーカーですが、弟子のサイズは少し大きくてコストもかかるので、A4サイズに縮小して、ユニットも8㎝から5㎝に変更です。板も12ミリ厚から9ミリ厚に変更です。実は、音道の幅が70ミリなので、横幅全体は88ミリとなります。ホーンの開口部も7センチ×7センチなので、こちらも7のゲマトリアを暗示する事になります。小さくて軽いので、無理をすればノートパソコン用として旅行先に持って行けます。板取音道の構成はリンク先を見て下さい。板厚9ミリのシナ合板で、910×300ミリを一枚と、910×450ミリを一枚で、無駄なくステレオ分作れます。東急ハンズでの料金ですが、板が840円+1250円と、直線切りと丸穴空け加工の合計が1456円、合計で3546円と相場より高めです。ホームセンターの板は安いですね。合板はラワンでも集成材でもお好きなもので選んで下さい。

 ユニットですが、台湾のタンバン製 TB W2-802SE が一個2380円と高級で、音も高域が伸びていています。安いものを探すと、国産のフォステクスやダイトー製があります→コイズミ無線。安いものの情報も必要なので、試しに、フォステクスのFF-57BKを、以前に弟子の一号機としていたものに取り付けてみました。音は意外にまともというか、しっとりしてクラシック向きの良い音です。フレームがいかにもタコにも安っぽく、それが我慢できるかどうかですね。一個1100円ならお買い得です。このキャビネットは、取り付け穴を大きくすれば7㎝ユニットのFF70EGも使えますが、板取の幅だけを1㎝広く設計する方法もあります。板が足りなくなる事はありません。

 組み立てですが、僕は釘を使いませんが、接着後の固定と締め付けにハタ金を何本も使うのは大変です。見えないところは釘を使って組み立て、サイドだけ薄い板かコルクを張ると綺麗になります。ユニットを取り付ける空気室は吸音材が必要ですが、僕は脱脂綿を代用で使っています。無くてもかまわないという人もいます。背面のコードは、小さな穴から直出しで隙間はボンドで塞ぐのが手っ取り早いですが、スピーカー端子を取り付ける場合は5ミリ程度の丸穴が二個必要となります。コードの太さは断面積0.75ミリ平方程度が使いやすいですが、より太い方が力強い音になります。



 肝心の音ですが、板が薄いので楽器的に鳴ります。変な癖はないので万能ですが、フルートやギターなどは得意です。低音は出ないので交響曲をガンガン鳴らすタイプではありませんが、低音感はあるのでポップスはこなします。総じて繊細で、ボーカルやアナウンスが美しく、やはりMOS-FETやV-FETのアンプと相性が良いですね。明るく開放的で空間表現に優れるので、やはり市販のパソコン用とは次元が違う音楽性を有しています。

 なお、アンプは旅行に持って行ける、ACアダプタで動作する、Kama Bay Amp Kro SDA-1100(CPUクーラーのSCYTHE製)というデジタルアンプがパソコンショップで5980円程度で売られています。ヤマハの素子を使っているのが売りで、デジタルアンプらしいセパレーションの良さがあります。一聴するとなかなかなのですが、自作のFETアンプと比較すると、音の密度が足りなく、滑らかさや繊細さで不満が出てきます。値段が安いので文句は言えませんが。

      エフライム工房 平御幸
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スピーカー工作~そのニダ

2009-06-22 13:40:18 | スピーカー工作
 読者からパソコン用スピーカー工作の依頼があったので、弟子のを改良して製作しました。名前がないと不便なので、今回のをEBK-83Ⅱ(マークツー)と命名しました。ニダとは呼ばないように注意汁 音道板取りはこちら。450mm×910mm×12㎜厚のベニヤ板三枚で作れるので、板取りをプリントしてハンズなどに持って行けばカット(シナ合板+カットで8千円くらい)してくれます。板取り図では側板の幅が足りていないので、あと1~2ミリ広くカットするのが最善です。

 今回は、前回のと音道が少し違います。ユニットを取り付けるバッフルを二重にし、ユニット後ろの空気室容量を減らして0.8リットルにし、スロート(ホーンの始まりの部分)を狭くして(2㎝→1.2㎝)、ホーンの効率を上げました。体験上、ユニット振動板面積に比較して、空気室が大きいとホーンの効きが悪くなり、スロートが広いとホーン臭い音になります。今回のは特にホーン臭さが無くなった印象です。また、底板の部分を二重にして強度を上げました。



 左が製作ミスの方

 実は、今回は最初の製作でミスがあり、片チャンネルの底板が1ミリほど斜め右上がりになりました。正面から見ると気になるし、わずかに安定も悪いし、音もピーク性の癖が出るので作り直しました。仕方ないので自家用にするつもりです。釘を一本も使っていない唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)もどきとしては、塗装をするのも気が引けたので白木のままです。それが音の柔らかさに繋がっています。ハードな音を好む人は塗装をした方がよいですね。

 ところで、スピーカーは何とかなるのですが、いつも悩むのが駆動するアンプです。市販のパソコン用はチャチで音も悪いし、弟子のはBSチューナーの改造なので大変でした。それで、悩んでいた時にピコーン<`∀´>と閃いたのが、昔に流行ったミニアンプです。ミニアンプと言っても、今のミニコンポなどと違って、お金も手間もかかっています。写真↓のはソニーのTA-1500という謎のアンプで、検索しても何も出てこない幻のアンプです。



 実は、このアンプは子会社のAIWA(アイワ)が製造したものと考えられ、ジャンクで手に入れたアイワのミニアンプを調べてみたら、やはり構造やパーツが似ていました。アイワはこういう小さな物を作るのが得意だったのですが、パソコンアンプというジャンルをみすみす見逃して倒産しました。経営者に先見の明がなかったのです。あるいは、親会社のソニーの意向かも知れませんが。

 さて、このミニアンプですが、1時間ほどすると生意気に暖かくなります。暖かくなるアンプはABクラスと言って、バイアス電流を多く流して音質を改善しているので贅沢なのです。コンデンサーを全てと言っても7個だけですが、オーディオ用のFine Gold(ニチコン製)などに換えての音質評価ですが、トランジスターの特徴であるソフトでややハスキーな、効き疲れのしないものです。弟子のFETアンプは高域が伸びてトゥイーターの必要を感じさせないのですが、このアンプは比較的トゥイーターが欲しくなります。それでも、クラシックからポップスまで万能型の音質です。

 パソコン用という限定された使い方には良いアンプですが、スピーカーの実力を100%発揮させるには物足らないのも確かです。市販品でもFETアンプは姿を消していますから、生産中止で在庫が残っているパイオニア(福音電気)のA-D3がお薦めです→販売サイト。特価で3万円そこそこなのは絶対にお買い得ですね。もっとも、中古なら半額以下で手に入りますが、オーディオの神様と言われた長岡鉄男氏の推奨品でもあるので、自作派の僕でも欲しいくらいです。

 なお、アンプの寿命は5年~15年ですが、中には30年前の物で完動品というラッキーな物もあります。これは、熱に弱い電解コンデンサーの劣化で寿命が決まるので、使用条件による個体差が出やすいからです。オークションなどで中古アンプを売っている業者がありますが、中にはコンデンサーの劣化で発振し、異常音や発熱などの症状が出ている物をみかけます。本当にオーバーホールして売るのは大変ですから、手抜き業者には注意が必要です。

     エフライム工房 平御幸
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バックロードホーンの設計と板取り

2009-02-17 20:30:57 | スピーカー工作
 前回に予告したように、今回はFE83Eを使用したバックロードホーンの設計図と板取りを掲載します。急いで作ったので線が重なっている所などがありますが、概略は分かると思います。12ミリ厚のラワン合板、あるいはシナ合板で、45㎝×90㎝にカットして売っている板を三枚使用します→板取り図。図では側板(26.4㎝×43㎝)の二枚が不足ですが、書き込んでいない三枚目の板で取ります。東急ハンズでは、直線ワンカット50円、○穴210円なので、少ない工程で切り出すように設計すると安くなります。なお、板厚は15ミリの方が強度的に優れています。その場合、奥行きが板厚の合計分は長くなりますから板取りも変わります。

 音道の設計図はこちら。基本的に直角でのイモ継ぎですが、一カ所だけ角度を付ける所があります。この部分は音道の幅を決めるものなので、接着剤が乾くまでに数カ所のポイントで合っているかどうかのチェックが必要です。いずれにしても、接着剤での組み立ての前に仮組が必要です。

 組み立てる時は、速乾性のボンドが便利ですが、慣れていないと寸法合わせが乾燥に追いつかないので、普通の木工用ボンドの方が楽です。ボンドは余るように塗り、強く押さえて余分なボンドは濡れた布で乾燥前に拭き取ります。音道を構成するパーツを幾つかに分けて作り、片方の側板に接着して音道を決め、最後にもう一方の側板で音道を挟みます。この時は音道に隙間が出来ないように、接着した板の上に重いものを乗せるて置きます。僕は椅子代わりにしていました。

 注意するのは、スピーカに繋ぐコードを先に配線しておくことで、裏板に穴を開けてコードを通し、ボンドで塞いでおきます。ターミナルを設けても構いませんが、接点が一カ所増えるので音質的には直出しの方が優れています。コードの径は0.75平方ミリ程度が使いやすいです。ユニットを取り付ける穴は、前もって錐(キリ)で開けておいた方が、後々の作業が楽になります。ユニットを取り付ける部分の空気室は1.1リットルと少し大きめです。この部分はもう少し小さくても大丈夫です。空気室には吸音材として、グラスウールなどがあれば入れて下さい。僕は脱脂綿を1㎝厚程度で入れていますが、エージングが進むと必ずしも必要ないようです。

 スピーカーとしての性能ですが、フリーソフトで周波数特性を確認すると、低音は46ヘルツまでは出ています。ホーンが短く(1.3m程度)、開口部の開き方が小さいので量感はありませんが、予想外に下の方まで伸びています。メディアプレーヤーのグラフィックイコライザーで最低音部の2カ所を持ち上げると低音が出てきます。高域は21キロヘルツまで確認しています。今度、フリーソフトでの計測方法をレポートします。

   エフライム工房 平御幸
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第7のラッパ

2009-02-15 19:14:11 | スピーカー工作
 僕は今、弟子(伊勢にいる)のスピーカーを作っています。一年前に廃材を利用してパソコン用のスピーカーを作ってやったのですが、今回はちゃんとしたオーディオ用のユニットFE-83Eを用いました。弟子も成長しているので、そのご褒美です。設計図や板取りは後で公開します。1万円ちょっとでステレオの二本が作れるのでお薦めです。



 それで一応完成したのですが、バックロード・ホーンというのは作りたては音が良くありません。基本的に管楽器なので、木材や接着剤のストレスでボーボー・ワーンワーンという共鳴音が出ます。これをエージングで取り除くのですが、音楽を再生しているうちに変なことに気が付きました。というのも、今回のバックロードホーンは、僕にとって7番めのバックロードホーンだったのです。最初に20センチユニットのキット(完成品)を購入。次に、片チャンネル分だけ作った10センチユニット。次に弟に作った16センチユニットのステレオ。次に段ボールで作った10センチ。次に、古代史でも紹介している3.5センチユニットで作ったパソコン用。それから一年前に弟子に作ったパソコン用で6番目。そして今回で7番目となります。自作だけで数えれば6度で、個数でいえば11個。『ヨハネの黙示録』第11章に一致します。

 僕がスピーカー工作に目覚めたのは、芸大の寮で同室となったホルンのK君のお陰です。彼が長岡鉄男氏の設計した20センチフルレンジ(FP-203)のバックロードホーンを作り、その圧倒的な金管楽器の音色にショックを受けたからです。僕のダイヤトーンの密閉型スピーカーは弦楽器以外負けていたのです。それで僕も自作にのめり込むことになったのですが、長岡鉄男氏がオーディオ評論のモニターとしていたのが自作のダイナロード7です。略してD-7。そう、名前が「第7のラッパ」だったのです。

 長岡鉄男氏は数学好きで、宗教には否定的な理論家でした。しかし、音の良さで集めているレコードなどは宗教音楽なども多く、『ヨハネの黙示録』も当然知っていたようです。僕は、『ステレオ誌』主催の長岡氏の新作発表に行ったことがあるのですが、再生音量の大きさには驚きました。僕たちが普段聴いている音量は蚊の鳴くような音だったのです。『日本の自衛隊』というレコードは、頭の上にヘリコプターがホバリングしているような迫力でした。でも、バックロードホーンの本質は、氏が強調するように繊細さなのです。だからこそ、アンプなどのモニター用に使用できるのです。

 当時の僕は古代史とは無縁で、聖書とも無縁に近い生活をしていました。ですから、『ヨハネの黙示録』第11章15に記される「第7のラッパ」も、フランシス・コッポラの『地獄の黙示録』という映画に連想する程度だったのです。しかし、自分が古代や聖書の奥義を語る立場に立つ今、何をもって「第7のラッパ」を定義するのかという根本的な問題に答えを出さざるを得ません。そしてその答えとは、カッバーラの奥義は簡潔にして明瞭という事から、「第7のラッパ」は象徴などでは断じて無く、実際に吹かれる、あるいは吹かれたものだというものです。

 僕が今回作ったバックロードホーンは釘を一本も使っておらず、伊勢神宮の内宮にかなうものです。一年前のものは外宮にかなうもの。この二つの角笛は、第三の角笛によって伊雑宮(いさわのみや)が目覚める時を待っているのです。それは来年かもっと後か。今はまだ分かりませんが、僕が次に作るバックロードホーンは、第7番目となるのは間違いありません。個数で言えば13個目ですから、第13章の獣の数字666の章となります。いよいよ、本当の末日が近付いてきたようですね。

     エフライム工房 平御幸
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音に疲れる~3.スピーカーは楽器

2008-02-10 11:20:44 | スピーカー工作
 僕がいた頃の上石神井の芸大寮は、音楽を自作スピーカーで聴く学生が多かったですね。工芸科の学生はカリキュラムを利用してスピーカーを作れるのですが、音楽の生徒も自作ファンが多かったのです。実際、楽器を手にするオーディオマニアは、自分でスピーカーも作る猛者が多いのです。これは、スピーカーが楽器と同じ性質を有しているからです。

 日本のオーディオがブームにあった頃、ハイファイという幻想は、スピーカーの周波数特性をフラットにする一本道を歩みました。日立やソニーや松下の平面振動板が登場し、4ウェイや5ウェイなどのマルチユニット化が進み、マルチユニットを制御する、コイルやコンデンサーを使ったネットワークが複雑になります。これらの試行錯誤は、平坦な周波数特性の犠牲として、重い振動板による電気信号を無駄にする低能率化、連動する生気のない音、などを招き、そのためにハイパワーアンプを必要とする悪循環に陥ったのです。今は、どこの家庭でも40ワット以上のアンプばかりです。

 しかし、音楽を聴く実際面で必要な出力は、僅(わず)かに0.2ワット程度に過ぎません。3ワットもあれば、隣から苦情が来る音量が出せるのです。パソコン用スピーカーなどに付属するアンプは、小さなオペアンプ一個の0.2ワット程度なのです。今のアンプは、家庭で使うには無駄なハイパワーなのです。

 さて、大型平面テレビが普及してきましたが、これらに組み込まれている、7㎝口径のスピーカーユニットの値段を御存知でしょうか?実は、秋葉原で型落ちの放出品を売っているところがあります。その値段はステレオで350円。エッジが少し凹んだものなら、一個50円です。オーディオ用として売られている同口径が一個で二千円程度ですから、如何に安いか分かります。しかし、このようなユニットでも、ちゃんと設計した木のキャビネットに入れてやれば、驚くほど良い音を出すのです。これがスピーカー工作の醍醐味です。

 同じように、パソコンの付属品として付いてくる安物のスピーカーですが、プラスチックの小さな箱から取り外し、キチンと設計した木製の箱に入れただけで、それは素晴らしい音を奏でるのです。例えば、僕が作ったバックロードホーンとかです(説明と画像はこちら)。これは、廃物の床建材を側板に用い、コストを徹底的に下げたもので、東急ハンズの木材加工を利用しても、板材とカット+ボンドの合計三千円で作れます。また、オーディオ専用のユニットを使い、キットとして販売しているキムラ無線などの業者も多いです。値段は少し張りますが、メーカー製の安物スピーカとは比べものにならないくらい良い音です。もちろん、オークションに趣味で出品しているマニアもいますから、こちらも狙い目です。僕も二度落札されたことがあるのですが、二度とも入金がなかったので、これは売ってはいけないものだと悟り、今はパソコン用に収まっています。

 このように、パソコン用のスピーカーは改造したり手軽にアップグレードできるのですが、問題はアンプです。自作できる人なら、小型の真空管方式がよいと思うのですが、完成品でも3万円程度します。僕は、オークションなどで中古の中級アンプを手に入れるのが手軽と思います。市販のパソコン用スピーカーの欠点は、無駄に小さいことです。スピーカーはセッティングの専有面積で考えるものであり、幅と奥行きが決まれば、高さは50㎝あっても構わないのです。ユニットの位置が耳の高さになるのが理想なのですから。

 という訳で三回に渡りオーディオについて語りました。市販の高級品にも存在価値はあるのですが、自作の視点から見ると無駄の塊です。趣味性としては、その無駄こそ魅力なのですが。しかし、聖書に「家造りらの捨てた石が角の頭石になった」という一節を踏まえれば、捨てられていたスピーカーユニットや、投げ売りされているパーツを使って自作するのは神の目にかなうことが理解されると思います。ユニットを取り付けるバッフルだけ木製で、他の部分は段ボールのバックロードホーンでも結構鳴ってくれるのです。「考える前に跳べ」という、自作の神様と尊敬された故長岡鉄男氏の名言は、時を経て生き続ける真理だと思います。

     エフライム工房 平御幸
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音に疲れる~2.高域が命

2008-02-08 18:20:35 | スピーカー工作
 オーディオは趣味の世界ですから、妄想的な哲学や間違った常識が跋扈します。その代表が、トランジスタはレンジが広いが冷たく、真空管は中域重視で暖かいという常識です。また、前回述べたハイファイも誤解の一つです。

 僕が大学時代にスピーカー工作に目覚めたきっかけは、芸大寮で同室となったトロンボーンのK君の作ったバックロードホーンです。これが、市販品をぶっ飛ばす生き生きとした音だったのです。特に、フルレンジ・ユニットなのに高域が異常に伸びていて、金管楽器が目の前で炸裂するのにビックリしました。この体験以来、僕は経験を重視するようになります。

 それである時、NHKの放送局用モニターユニットが捨ててあるので拾ってきました。エッジが破れていましたが、音はちゃんと出ます。高域用のトゥイーターは質が落ちるので、ヤマハのホーントゥイーターJA0506という、知る人ぞ知る名器を繋いでみました。ウーファー帯域が2KHz(キロヘルツ)止まり、トゥイーターは5KHz~20KHzという組み合わせで、中間の2~5KHzが抜けている構成です。しかも、JA0506は能率が極度に良く、ウーファーの4倍も音圧レベルが高いのです。アッテネーター(減衰器)で高域を落としても、絶対に周波数特性がフラットになる訳がありません。昼過ぎから下げ続けた株価が、2時頃から右肩上がりで爆上げしたような周波数特性です。しかし、これが物凄いパフォーマンスを示したのです。

 バッハのチェンバロはリアル、リュートは繊細で情感たっぷりに空間に広がり、果てはジャパニーズポップスも生き生きと再生し、ヴォーカルの声のリアルさは格別です。しかも幾ら聴いても全く疲れないのです。もっとも、アンプも自作のFETアンプでしたが。

 暫くの間、僕は混乱していました。オーディオの常識が何一つ通用しないからです。それで、超ハイ上がりのこの装置が疲れなかった理由ですが、①放送局モニターのウーファーの磁石が高級なアルニコで歪みが少なかった。②トゥイーターのJA0506もアルニコで歪みが少なかった。③自作アンプのNFB量が小さくて位相が乱れておらず、しかも市販の十倍も高い周波数のメガヘルツ領域まで伸びている。④キンキンと耳障りな中高域(3~5KHz)が偶然にも凹んだ、などが考えられます。

 その後、段ボールでバックロードホーンを作ったり、トゥイーターを安物に交換したりして検証した結果、オーディオは高域が命であると結論付けられたのです。アンプやトゥイーターの高域特性が良いと、中域はおろか低域の質まで改善されるのです。中域重視の真空管アンプでは、この高域の伸びは絶対に無理なのです。市販のトランジスタアンプは高域が100KHz~300KHzですから、可聴帯域の20KHzは優に確保しています。しかし、大量のNFBをかけて無理に伸ばした300KHzと、少ないNFBで楽に伸びたメガHzでは質が違うのです。また、メーカーが「有害な高域をカットした」等と宣伝したら、それは高域発振への言い訳です。

 でも、高域が命というのと、スピーカーを含めたシステムの周波数が高域まで伸びているというのでは意味が違います。僕が言いたいのは、フルレンジ一発の安物システムの高域限界が18KHzでも、アンプの高域特性が優れていれば良いのです。必ず超高級なトゥイーターを必要とはしないのです。アンプとスピーカーで3~5万円でも、聴いていて疲れない、音楽というより音を聴いて楽しいシステムは構築できるのです。こういうシステムなら、音楽は本当の癒しになり、神の声が聞こえるようになるのです。

 オーディオメーカーは、高級品を先に作り、ローコスト製品は差別のために苦労して音を劣化させているのです。ローコスト製品は、音を出さない時は触って冷たいのに、高級品は音が出ていなくても暖かいのはそのためです。その高級品も、何万倍もの増幅能力を無理に数十~数百倍にまで落として特性をきれいに見せているだけの、韓国女性のような整形された音なのですから閉口です。という訳で、次回の「3.スピーカーは楽器」で、手軽なパソコン用のシステムを紹介したいと思います。
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音に疲れる~1.ハイファイの幻想

2008-02-05 08:09:57 | スピーカー工作
 現代人は疲れているという声をよく聞きます。イライラして切れるのが早い、自覚症状のないストレスが溜まっている人が増えているのです。その原因に、社会構造、職場や学校などの人間関係、携帯電話などの電磁波、自然が減った環境、などが考えられるのですが、僕は最大の要因が音にあると思っています。

 僕は色々な不幸を見てきて、地獄に堕ちた人が騒音という環境で暮らすのが偶然ではないと感じました。何故ならば、神の声は細くて小さく、耳を澄まさなくては聞こえてこないからです。対して、精神異常者が聴く幻聴はとても大きな声なのです。悪魔の声は大きく、神の声が小さいなら、人は神を求めるために静かな環境を作らなくてはならない道理です。しかし、多くの人は耳を澄ますという大事なことを日常から排除してしまっているのです。そういう意味では、音に情熱を燃やすオーディオマニアには一理あるのです。

 でも、音楽を聴くためのオーディオですが、そこには神経を逆なでさせる要因が隠されています。それは、ハイファイ(High Fidelity=忠実再生)の幻想です。音響機器メーカーのヤマハのキャッチフレーズであるナチュラルサウンドも同じ意味です。ハイファイというのは、低域から高域までフラットな周波数特性を持たせた装置のことです。主に、トランジスタ製アンプの代名詞みたいなものです。意地悪な表現をすると、それまでの真空管アンプは特性がフラットではなかったのです。

 では、この特性がフラットなハイファイのどこに問題があるのでしょう?それは、出力信号を逆相にして入力に戻すNFB(Negative Feed Back)という回路技術です。NFBを大量にかけると、どのアンプも特性はフラットになります(NFBを増やすと増幅度は減る)。しかし、マイナス効果として位相(音楽信号のプラスとマイナス)が回転して、位相ズレが生じます。また、微細な信号が失われると考えられています。

 アンプの値段は昔に比べて格段に安くなりましたが、その理由はオペアンプIC(オペレーショナルアンプ)の開発にあります。一個百円程度で、昔のアンプ数万円分の回路を構成できるのです。しかし、オペアンプは増幅度が一万倍という途方もない特性を持ち、これを音楽を聴くために用いる数十倍程度の増幅度に落とさなくてはなりません。それで、大量のNFBをかけ、増幅度を落としながら特性をフラットに出来るのです。今のアンプは、携帯プレーヤーから十万円程度のアンプに至るまでも、この爪先大のオペアンプが使われているのです。

 このように、オペアンプが氾濫し、人々は位相がずれた音楽信号を否応なく聴かされることになりました。それで、音楽を聴くと疲れる、あるいは無意識に音楽から遠ざかる、などの人々が増えているのです。僕はこれを、音苦症候群と呼んでいます。では、この症候群から解放される方法はあるのか?その方法を次回の「2.高域が命で」提示します。

     エフライム工房 平御幸
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