凱旋門賞から一週間が過ぎ、各メディアによる敗因分析も出尽くしたようです。でも、本音を書いている、あるいは放送しているメディアはありません。
日本という国は、本当の意味でのジャーナリズムが存在しない異様な国です。常に世間や特定団体の顔色をうかがって記事を書くという姿勢ですから、本音というものは滅多に表に出てきません。今回のディープインパクトの敗因も、本音の大半は武騎手の騎乗ミスで一致していると思います。ですが、閉鎖的で知られる競馬サークルで取材をする難しさを知っているメディアは、気を遣って正面からの騎手批判は出来ないのです。
武騎手の騎乗ミスを端的に表しているのが、実は同業者のコメントです。海外ではペリエなどが、先行した事、速仕掛け、を敗因と挙げています。岡部元騎手は、実況放送の半ばに「マダ!マダ!」と連呼しています。福永騎手は渋谷のパブリック・ビューイングのゲストに招かれ、「日本の馬はスピードがあるから、スーッと行ってしまう。外に出して包まれたくないと思い、引っ張ってシロッコの後ろに入れましたよね。あそこでディープが怒ってしまった。ユタカさんがイメージしていた競馬とは違ったのではないかな(以上、サンスポ)」と冷静なコメントをしています。けれど、コメントとは別に、腹の中では先行策を批判しているのです。それは、スタート直後の画面で「ヤバイ(マズイ)!」と顔を顰(しか)めている事で分かります(テレビ東京土曜競馬)。
福永騎手は顔だけでしたが、口で批判している騎手もいました。それは隣の池添騎手で、明らかに「バカ!バカ!バカ!…」と数え切れないほど連呼していました。池添騎手の発した言葉が何故「バカ」だと分かるのかというと、実は僕も「バカ!下げろ!」を連呼していたから分かるのです。また、読唇術では「バカ」が一番分かりやすいのです。それにしても、テレビを見ていて「バカ」と品の無い言葉を発したのは、本当に何年ぶりの出来事です。それだけ、ディープの先行は衝撃的な愚策だったのです。
ディープの敗因に斤量の差を上げる人がいますが、それこそ馬鹿馬鹿しい視点です。そう言う人に訊きますが、ではなぜ、2着に入った牝馬プライドにも差されたのですか?プライドは、日本では2キロ差の古牝馬が、1.5キロ差までしか許されない酷量なのです。ところが、プライドに対する恵まれた斤量差を敗因分析中に語っている関係者は一人もいません。これが、日本における競馬ジャーナリズムの底の浅さなのです。ディープは、プライドと同じ最後方からレースを進めたら、プライド以上に伸びてこられたのです。
武騎手は、自分の騎乗ミスを認めようとしません。それは、狭い日本で日本一だとする自負でしょうが、ミスを批判しない報道も問題にされるべきです。勝負の世界で批判されないという事は、プロではないと同意なのです。日本の競馬サークル全体が、過保護で世界的な競争力のない危うい存在である事を証明するものでしかありません。
最後に、競馬ファンの中にも「ディープでもダメだった」とするマイナス思考の発言と、「日本の他の馬にもチャンスが見えた」とするプラス思考の分かれた見方があります。僕は当然後者ですが、日本人は劣等感に苛(さいな)まれている人が極めて多いですから、前者の意見が多くなるのです。ディープの敗戦によって、ダメな日本人は落ち込み、そうでない日本人は勇気付けられるのです。ディープインパクトは、今の日本を映し出す鏡として、この上ない存在かもしれません。
エフライム工房 平御幸(Miyuki.Taira)
日本という国は、本当の意味でのジャーナリズムが存在しない異様な国です。常に世間や特定団体の顔色をうかがって記事を書くという姿勢ですから、本音というものは滅多に表に出てきません。今回のディープインパクトの敗因も、本音の大半は武騎手の騎乗ミスで一致していると思います。ですが、閉鎖的で知られる競馬サークルで取材をする難しさを知っているメディアは、気を遣って正面からの騎手批判は出来ないのです。
武騎手の騎乗ミスを端的に表しているのが、実は同業者のコメントです。海外ではペリエなどが、先行した事、速仕掛け、を敗因と挙げています。岡部元騎手は、実況放送の半ばに「マダ!マダ!」と連呼しています。福永騎手は渋谷のパブリック・ビューイングのゲストに招かれ、「日本の馬はスピードがあるから、スーッと行ってしまう。外に出して包まれたくないと思い、引っ張ってシロッコの後ろに入れましたよね。あそこでディープが怒ってしまった。ユタカさんがイメージしていた競馬とは違ったのではないかな(以上、サンスポ)」と冷静なコメントをしています。けれど、コメントとは別に、腹の中では先行策を批判しているのです。それは、スタート直後の画面で「ヤバイ(マズイ)!」と顔を顰(しか)めている事で分かります(テレビ東京土曜競馬)。
福永騎手は顔だけでしたが、口で批判している騎手もいました。それは隣の池添騎手で、明らかに「バカ!バカ!バカ!…」と数え切れないほど連呼していました。池添騎手の発した言葉が何故「バカ」だと分かるのかというと、実は僕も「バカ!下げろ!」を連呼していたから分かるのです。また、読唇術では「バカ」が一番分かりやすいのです。それにしても、テレビを見ていて「バカ」と品の無い言葉を発したのは、本当に何年ぶりの出来事です。それだけ、ディープの先行は衝撃的な愚策だったのです。
ディープの敗因に斤量の差を上げる人がいますが、それこそ馬鹿馬鹿しい視点です。そう言う人に訊きますが、ではなぜ、2着に入った牝馬プライドにも差されたのですか?プライドは、日本では2キロ差の古牝馬が、1.5キロ差までしか許されない酷量なのです。ところが、プライドに対する恵まれた斤量差を敗因分析中に語っている関係者は一人もいません。これが、日本における競馬ジャーナリズムの底の浅さなのです。ディープは、プライドと同じ最後方からレースを進めたら、プライド以上に伸びてこられたのです。
武騎手は、自分の騎乗ミスを認めようとしません。それは、狭い日本で日本一だとする自負でしょうが、ミスを批判しない報道も問題にされるべきです。勝負の世界で批判されないという事は、プロではないと同意なのです。日本の競馬サークル全体が、過保護で世界的な競争力のない危うい存在である事を証明するものでしかありません。
最後に、競馬ファンの中にも「ディープでもダメだった」とするマイナス思考の発言と、「日本の他の馬にもチャンスが見えた」とするプラス思考の分かれた見方があります。僕は当然後者ですが、日本人は劣等感に苛(さいな)まれている人が極めて多いですから、前者の意見が多くなるのです。ディープの敗戦によって、ダメな日本人は落ち込み、そうでない日本人は勇気付けられるのです。ディープインパクトは、今の日本を映し出す鏡として、この上ない存在かもしれません。
エフライム工房 平御幸(Miyuki.Taira)