コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

サンボマスター

2007-04-23 01:07:28 | ノンジャンル
ふとTVをつけたら、サンボマスターのライブを中継していた。最近の歌はヒッキーのちりめんビブラート以外惹かれなくなっているが、サンボマスターの山口隆のみ例外。やはり、詩だと思う。ヒッキーも山口も、歌うことで字面をはるかに超えた大きくて精密な詩の世界をつくっている。同じ内容を字面で表現するには、100行以上は必要ではないか。それも成功したとしてだ。

トゥモローワールド

2007-04-16 00:45:58 | ノンジャンル
レンタルDVD映画のの新作はほとんど観ているので、いくつか自らの覚え書きとして記しておきたい映画があるが、なかなか時間がとれない。東京は葉桜だろうが、新潟ではいまが桜の満開だ。桜前線を追いかけるように、近々岩手に移ることになりそうだ。子どもが生まれなくなった殺伐たる近未来を描いた『トゥモローワールド』の文明末期を思わせる荒涼たる「人間世界」と戦闘シーンの凄まじさ。知りあいが絶賛し、世評も高かった『フラガールズ』は、『三丁目の夕日』と同工異曲だった。やはり、それほどのものかと首を捻った。ふだん、小説など読まない人が『東京タワー』を買うから大ベストセラーになるように、ふだん映画を観ていないからこの程度の作品に「感動」してしまうのではないか。



たくさんの映画を観ていることを自慢するのではない。むしろ少し恥ずかしいとすら思っているが、気持ちよく泣けるという「感動」は底の浅い部類に入ると思うのだ。人それぞれといえばそれまでだが、もっと「感動」できる映画がたくさんあるのになと他人事ながら残念なのだ。たとえば、暇つぶしの午後、場末の封切館のガラガラの席で、『ゾンビ』の第一作を観たときの「感動」。平日の午後、映画館の暗がりに潜んでいた得体の知れぬ観客たちは、出口に歩きながら互いに目配せしたものだ。(おもしろかったねえ)と口許をほころばせて。太宰治がいっているように、「本物」に出会ったときには、笑いがこみ上げてくるのだ。