立民・泉代表、ゼレンスキー氏演説前に「首脳会談と共同声明が条件」
https://news.yahoo.co.jp/articles/06131655bec5112b19edc1ad1dee59d9ca9fc248
他国指導者の国会演説は影響が大きい。私は日本の国民と国益を守りたい。だから国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき。それが当然だ。
いったい、何がいいたいのか意味不明です。これはもちろん、先のアメリカ議会でのゼレンスキー演説を踏まえての発言だからです。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカ議会でオンラインの演説をするなかで、ウクライナへのロシアの侵攻を、9.11のアメリカ同時多発テロや日本軍の真珠湾攻撃を引き合いに出して、満場のスタンディングオベーションで応えられました。
立憲の泉代表は、2001年の9.11と1941年の真珠湾攻撃と2022年のロシアのウクライナ侵攻を同じように扱われることに異議があるのでしょう。
日本は違うと彼は思い、日本政府や国民もそう考えていると思うからこそ、ゼレンスキー大統領の日本の国会演説に、「(国民と国益への)影響が大きい」と難色を示したのです。
それでも演説させるのなら、事前にその発言内容をチェックし、日本側の同意と「共同声明」の縛りが必要だと岸田首相に要求しているのです。
ゼレンスキー大統領も日本の支持と支援に感謝し、引き続きより一層の助力を求めているはずだから、当然のことだろうというわけでしょう。
ならば、起立拍手してゼレンスキー演説を讃えたアメリカ議会に向けても、「同列視は心外」と釘を刺せばよかったのに、断固たる口調ながら言葉を濁したのです。
私は、立憲の泉代表のようには考えません。今回のロシアのウクライナ侵攻がナチスドイツに擬せられる以上に、日本が中国大陸へ侵攻したやり口にも酷似していることを知るからです。
「プーチンは気が狂ったのか?」という声をよく聞きますが、プーチンが「気が狂った」のなら、ヒトラーも東條英機も「気が狂った」ことになります。
ヨーロッパ諸国はナチスドイツの侵略を記憶し、中国をはじめアジア諸国は、日本の侵略を記憶しています。そのやり口は、ほとんど同じです。
国土を防衛するため、自国民を保護するため、そう侵攻を正当化し、偽情報に基づき、被侵略国を責め、領土の割譲を迫り、傀儡政権を樹立する。
「狂気」は人それぞれですが、「侵略」は同じ顔をしています。だから、「侵略」と呼ばれるのです。
たとえば、中国人をはじめ、アジアの人々に、私たち日本人は、ゼレンスキー大統領が真珠湾攻撃の日本と、9.11テロや今日のロシアのウクライナ侵攻を一緒くたにしたことで憤慨していると言ってご覧なさい。
はたして、「そうだ、日本とは違う」と同意同感してくれるでしょうか?
立憲の泉代表の意図とは違いますが、私もゼレンスキー大統領の国会演説はなるべく避けた方がいいと思っています。
ドイツやイギリス、アメリカに続いて、日本の国会でゼレンスキー演説が行われることは、日本の国際的な地位や影響力を高める絶好の機会です。しかし、その反対の結果も想定されるからです。
ゼレンスキー演説に注文をつけたいという立憲の泉代表の発言もその一つですが、国際的な恥を晒すことになりはしないかと懸念しているからです。
ゼレンスキー演説は、イギリスやドイツの国会などで行われたときは、同時通訳者が泣き崩れたり、涙声になったりするほど感動を呼び、名演説と議員たちから拍手喝采を浴びています。
日本の国会ではどうなるか、容易に想像がつきます。
感動を呼ぶどころか、居眠りしたり、スマホを眺めていたり、雑談したり、ヤジを飛ばしたり、感想を求められれば、頓珍漢な所見を述べたり、早く降伏した方がいい、と冷笑したり、だから、核兵器を放棄すべきじゃなかったんだと息巻いたり、そんな反応が予想されます。
そうした国会議員たちの映像が世界配信されれば、ウクライナだけでなく、世界の人々をがっかりさせ、欧米諸国からは侮りを受けるだけです。これが強面のプーチンなら、みな襟を正して聞くはずですが。
さらに、ゼレンスキーはけっして同情を買う「物乞い演説」をしないと考えられます。ドイツでもイギリスでもアメリカでも、不十分な経済制裁などについて具体的な事例を挙げて、手厳しく批判しています。
立憲の泉代表が危惧するように、日本国民と国益に大きな影響を与えることを言うでしょう。たぶん、相変わらずロシアから海産物やエネルギーを買い続ける日本を批判し、しかし、かつての「侵略国」から立ち直った日本を讃えるでしょう。
それが、「国際社会」の「常識」だからです。議場が騒然となるのが目に浮かぶようです。
(止め)