コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

IOCに抗議メールを出そう

2021-05-30 08:26:00 | 政治
私は以下のようなメールを送りました。翻訳サイトはこちらを使いました。もちろん、日本語でもかまわないはずです。今夏の東京五輪開催に賛成と反対を問わず、最近のバッハ会長をはじめとするIOC首脳陣の発言には抗議しましょうよ。

IOCのメールアドレスは、こちらです→enquiries.contact@olympic.org

Dear Sir
As a Japanese citizen, I am against the Tokyo Olympics scheduled to be held this summer.
The recent statements made by IOC President Thomas Bach and other leaders are arrogant and disrespectful, and are very unacceptable to the Japanese people. Please, as the IOC, ask them to apologize and retract their remarks.
Please urge them to retract their apologies. We also urge you to reschedule or cancel the Tokyo Olympics.


“火消し”でも炎上…IOCバッハ会長の「犠牲」発言問題が海外にも波及…「日本で非難の声が沸騰」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a9e8e5ca2f2373f8dc9661383c56cd008c660ee7

「天皇に会わせろ」バッハよ、何様だ IOC委員は小誌に「菅が中止を求めても開催する」【全文公開】
https://news.yahoo.co.jp/articles/c52807a1f716ece2865edf8b21a0bb584062aff9

iOC最古参委員ディック・パウンド氏、東京五輪は「菅首相が中止求めても、開催」と発言=韓国メディアも大々的に報道
https://news.yahoo.co.jp/articles/74d5fee0b0cdba04bf5732ffc28c8e292a21613b

「緊急事態でも五輪」が波紋 IOC幹部ら国民感情逆なで
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052400929&g=pol

(止め)


ダンス天国

2021-05-29 18:47:00 | ノンジャンル
ご贔屓、ジョーダン・フリスビー君の新しい動画が上がっていました。滑らかな脚さばきとユーモラスなアクセントに彼独特の味わいがあります。

Jordan Frisbee & Emeline Rochefeuille - Champions Jack&Jill - Budafest 2020 "Macarena"


1950x年代から2010年代まで、ダンス音楽と振り付けとファッションの移り変わりです。

The Evolution of Dance - 1950 to 2019 - By Ricardo Walker's Crew



映画ピンク・パンサーのテーマをピアノを足で弾きます。

The Pink Panther Theme By Il Grande Piano


お次は下手くそなロボットダンスです。

Do You Love Me?




5年先、10年先を見据えて

2021-05-28 17:02:00 | 政治
松井大阪市長を校長先生が実名で批判した、と話題になった一文です。

大阪市立木川南小学校・久保校長の「提言」全文
https://www.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html

オンライン授業の導入が教育現場を混乱させたという批判は一部で、NHK大河ドラマで渋沢栄一が平岡円四郎を通して徳川慶喜に出した建白書のように、ことは小学校にとどまらず、社会に広げて読み換えられる「憂国」の書です。

>子どもたちの5年先、10年先を見据えて、

小学校の先生は、それぞれの「子ども」の良不良や幸不幸の消息を知り、やがて、中学生や高校生、大学生になり、あるいは就職して社会人となる行く末を知っています。

現在から、「5年先、10年先」の「子ども」の姿や様子まで見ようとする、小学校の先生らしい教育現場の実感が込められた言葉です。「子ども」の将来・未来への懸念を我が事にする切迫した思いでしょう。

松井一郎市長 オンライン学習めぐり批判書面送付の校長に「社会人として外に出たことあるんかな」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e17e8419469b59f5902461447fd1a5f8d18f60a2

>社会人として外に出たことはあるんかな
>疲弊してやりがいが見つけらないんやったら、違う仕事を見つけたらいい
>組織の一員として逸脱していることになる


以上が、松井市長の実感が込められた言葉でしょう。過去の慣例や現在にルールしか語っていませんが、「違う仕事を見つけたらいい」は「5年先、10年先」の校長を指した言葉でしょう。もっとも、いま59歳の校長先生はすでに定年を迎えているはずですが。

都立高入試、男女の合格ラインで最大243点差 8割で女子が高く
https://mainichi.jp/articles/20210526/k00/00m/040/003000c

男子なら合格したのに女子だから不合格になった都立高が8割を占めたわけです。これに東大入学者の約8割が男子に偏っていることを考え合わせるだけでも、どれほどの女子が学習機会や進路を狭められたか。日本の「男女平等」は中学までといえそうです。

男女共同参画社会とはいっても、自民党は「男女平等」という言葉を使いません。「男女平等」をいえば、「社会の混乱を生じる」と懸念したのかもしれません。

LGBT差別発言 自民保守派は確信犯? 党内からも「非常識」
https://mainichi.jp/articles/20210524/k00/00m/010/332000c

>差別は許されないと明記すれば、行き過ぎた運動や訴訟につながり、社会に混乱が生じるのではないか

そんな懸念の声が自民党議員から相次いだため、法案から「差別撤廃」の文言を削り、代わりに「理解増進」という言葉を当てたそうです。「男女平等」を「男女参画」に言い換えたのとよく似ています。

いずれも、ただの言い換えではなく、「5年先、10年先を見据えて」社会改革の動きに先手を打ったようです。

(止め)
  
スエーデン出身の世界的スーパースター、ABBAの名曲です。Gimme とは give me のこと。真夜中に一人で寂しい、恋人をくれと叫んでます。

Gimme! Gimme! Gimme! ABBA Live








大谷15号スリーラン

2021-05-27 01:11:00 | ノンジャンル
教育ママに苦しめられながら昆虫採集をよすがとした養老孟司さんが読めば、きっと嗚咽を漏らしただろう佳話です。生物学者でもあった昭和天皇を思い出しました。

カブトムシの常識、埼玉の小6が覆す 世界的雑誌に論文
https://www.asahi.com/articles/ASP5P5VLDP5MULBJ00G.html

最近、カーペンターズを聴いています。ポップスの古典ですね。でも、デビューの頃から、絵柄として兄貴いらんだろと思っていました。

Carpenters - Hurting Each Other


ボサボサ頭のがさつ男に見えるボリス・ジョンソン首相がシェークスピアの伝記を執筆中だそうで、新コロ下にそんな暇と余力があったのかと問題になっているそう。それにひきかえ菅首相は、なんて考えもよぎりません。

The curious tale about Johnson and the Shakespeare biography
https://www.ft.com/content/3207327d-e941-4a18-a8c7-33966efe8665

これは知りませんでした。誰でも自分なりに気に入ったフレーズを口真似するものですが、ここまでする(できる)のはびっくりです。

Jazz Dispute - "Leap Frog" by Dizzy Gillespie &. Charlie Parker, Lip Sync


お勧め本です。取材記や回顧録はあっても、取材回顧録はなかった。取材対象ヤクザと取材記者溝口敦の距離感が測れます。しかし、それはこの人独自のもので、真似はとうてい無理。喋るな聴け、ということはよく学べます。

『喰うか喰われるか 私の山口組体験』(溝口敦 講談社)
https://www.amazon.co.jp/%E5%96%B0%E3%81%86%E3%81%8B%E5%96%B0%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8B-%E7%A7%81%E3%81%AE%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E7%B5%84%E4%BD%93%E9%A8%93-%E6%BA%9D%E5%8F%A3-%E6%95%A6/dp/4065221048

小津安二郎「秋刀魚の味」で日本語の(音の)美しさを知ったと。ロシア人は世界で一番ロシア語(音)が美しいと思っているはずなのに。テニヲハとピッチやイントネーションが難しいと。日本語ネイティブの私もよく間違えます。

日本語デビュー!美しい日本語は世界一難しい言語だ!


(止め)

一将功成って

2021-05-17 09:59:00 | ノンジャンル


彼らがイマイチの理由

今日のボストンレッドソックスのホームゲームで、大谷翔平投手が逆転勝利をもたらす2ランホームランを放ちました。

この日負ければ、リーグ首位のレッドソックスに3連敗を喫し、前アストロズ戦から5連敗となる、敗色濃厚な9回2死でした。

ポテンヒットで一塁にいたトラウトの頭上をはるかに越える打球は、リーグ最下位に低迷するエンゼルスにとって、まさに起死回生の一発でした。

youtube動画のコメント欄を読むと、新コロ下の鬱々な日々、彼の活躍に小躍りする日本人にかぎらず、全米のベースボールファンが敵味方や地元を越えて、大谷翔平の活躍を喜び、元気づけられているようです。

アメリカにおいては、ベースボールは地元ファンに支えられるローカルスポーツといわれます。一選手の活躍が地域を越えて全米的な話題になるなど、これまでにはなかったことのようです。

しかし、大谷のツーランで勝ち越したとはいえ1点差の9回裏、また逆転されそうでハラハラしました。大谷のピッチングと比べると、中継ぎ投手陣はいかにも凡庸に見えてしまいます。

それをいえば、MLBを代表するスラッガーのトラウトやレンドーンを擁する打撃陣もイマイチかみ合っていないようにみえます。

今日もまた敗戦かとあきらめムードの9回2死から投手に逆転ホームランを打たれる、それもリーグトップタイの12号ときては、莫大な年俸を得ている主軸としてかなり面目ないはずです。、

トラウトやレンドーンは超一流の打者ですから、つまらない嫉妬ややっかみにとらわれたりはしないでしょうが、俺たち以上に打って、さらにピッチングもするという二刀流の圧倒的な事実には、まだ慣れないのかもしれません。

圧倒され続ける日々とは、彼らにとっても、これまで経験のない初めてのことでしょう。絶大な自信がその困惑に多少揺らぎ、それがイマイチにつながっているのではないかと想像をたくましくしてしまいます。

はたして大谷は受け入れられているか

もしそうだとするなら、投打の二刀流はまだほんとうには受け入れられていないわけですが、それ以上に大谷翔平というプレーヤーの存在が受け入れ難いのはないかとも考えられます。

彼と彼らの間には、カネとビジネスをめぐる大きな差異があるからです。

まずカネでいえば、大谷翔平が渡米してエンゼルスに入団したときの年棒はMLB最低保証の約6000万円でした。大リーグ規定の25歳以下の年棒制限によるものですが、2年後に契約していれば、田中将大やダルビッシュ有と同様に、120億円以上の契約金になるのは間違いありませんでした。

さて、トラウトは今年12年480億円、年棒にして40億円の契約をエンゼルスと結んでいます。最近入団したレンドーンもほぼ同額だそうで、これはMLB選手のなかでも最高額になります。

大谷翔平も今年、2021~22年の2年契約で約9億円の契約に結び直しましたが、それでもトラウトやレンドーンの年棒の1/10ということになります。

そのレンドーンは、「野球が好きというわけではない。自分のゲームだけではなく、TVで野球放送をみることもない。あくまでも金のための仕事と割り切っている」と公言しています。

おかげで、その輝かしい実績のわりには、ファンの人気がないことで知られているそうです。レンドーンが偏屈というわけではなく、彼らのベースボールが冷徹なビジネスである一面を正しく語っているとみるべきでしょう。

さて、自分たちの1/10のカネしかもらっていない若造に凌駕されて、彼らは困惑しているのでしょうか。超一流の彼らにも好不調の波はあるのでから、そんなことにいちい反応するはずがありません。

横たわる日米の違い

彼らがほんとうに困惑し、なおかつ受け入れられない事実があるとすれば、大谷翔平が自分を安売りし、あえて不利な契約を選び、割に合わない仕事を選んでいることかもしれません。

彼らなら絶対拒否し、避けるはずのそれらすべてを、大谷翔平は意に介さないか、喜んでやっているとしか見えないのです。

巨額の契約金に見向きもせず、最低保証額で結んだ契約内容は、ほとんど前例がない投打二刀流を条件としたために、打者としては規定打席に達せず、投手としては登板回数が限られるなど、かなり不利な条件を自らに課したことになります。

どれほど活躍しようと投打いずれも「中途半端」な記録に終わりかねません(ただし、大谷翔平の出現によって、今年からMLBに「二刀流(Two-Way-Player)」選手の登録が新たに設けられました)。

MLBにおけるカネと名声とは、契約金や年棒であり、記録やタイトルのことです。そのいずれも手にしたトラウトやレンドーンはMLBの頂点であり、MLB選手ならひとしなみ追い求めるものです。

それはたんに個人の欲望という次元にとどまらず、MLBという巨大なビジネスゲームの担い手である自覚をともなうものです。

球団は選手以外にも、コーチやトレーナー、ドクター、広報など多くのスタッフが抱えていますが、選手個人としてべつにそれぞれのスタッフを雇っている一流選手は少なくありません。

何より、代理人(Agent)なくして選手は立ち行きません。MLB選手は一人のプレーヤーであると同時に、彼自身がビジネスそのものであり、彼のカネと名声は彼だけのものではないわけです。

「アメリカは国家じゃない、ビジネスだ!」と映画「ジャッキー・コーガン」のなかで、プラッド・ピッド扮する殺し屋は、報酬を値切ろうとする雇い主の使いに言います。「すべてはディールだ」とは、トランプ前大統領の言葉です。

”It’s not your(my) business”は、「それはあなた(私)の仕事ではない」ではなく、「あなた(私)は関係ありません」という意味で使われます。それほど、ビジネスはアメリカ人に血肉化しているといえます。

MLB選手の夢

ビジネスとは契約によって成り立ち、契約は競争によってもたらされ、競争は条件によって構成されます。「アメリカンドリーム」とはそんな競争社会の象徴といえます。

大谷翔平の場合、二刀流というありえない条件を自らに課す代わりに、巨額の報酬を棒に振り、選手生命を短くするかもしれない過酷な負担を買って出る不利な契約を結んでいるのです。

そのうえ、現在のところエンゼルスでただ一人休養なく試合に出場しているわけです。にもかかわらず、楽し気にゲームに臨んでいるそんな大谷翔平を苦々しく舌打ちをして見ている者がいるとすれば、得られたはずの高額報酬を得られなかった、強欲で知られる業界でトップクラスと目される大谷の代理人だけでしょう。

アメリカのビジネスにとって、大谷翔平ほど不誠実な姿勢もありません。その成功者であるトラウトやレンドーンがどれほどの違和感を覚え、困惑を覚えたとしても不思議ではありません。

しかし、彼らの違和感はけっして不快なものではないだろう、と推測することもできます。彼ら二人をはじめ、チームメートは大谷翔平を「まるで弟のように可愛がっている」(アップトン)そうです。

「オオタニはメジャーリーグを高校野球に変えてしまった!」といったのは、解説者になったA・ロッドでしたか。エースピッチャーでホームランバッターなんて、高校野球のようなありえない活躍じゃないかと驚いた言葉です。

そのいかにも嬉し気な表情から、「高校野球のような無垢な楽しさを味わせてくれる」という言外を聞くこともできます。

カネと名声を追いかけて、日々のプレッシャーに耐え、不調に陥れば将来に不安と恐怖を覚え、少しでも長く現役で生き残りたいと願う、彼らにとってはごく当然の「ビジネス」です。

ところが、日本から来た、まだ少年にしかみえないルーキーは、この「ビジネス」にまるで無頓着にしか見えません。

それはかつて、ビジネスとしてではなく、無垢にベースボールゲームに興じ、プレーを楽しんでいた、少年野球や高校野球の頃の彼ら自身の姿を想起させるものでしょう。

アメリカ内外の都市や田舎で、原っぱや学校のグラウンドで、飛びぬけた投手や打者や守備であり、観客の歓声を浴びてガッツポーズを青空に突きあげているかつての自分。眼前の彼の楽しそうな姿に重なってしまうのではないでしょうか。

大谷翔平にホームランを打たれた相手投手の多くが、「これまでに見たことない才能ある選手だ。健康に気をつけて、少しでも長く現役を続けてほしい」と型通りのように同じコメントを出しています。

けっして平坦な道ではありえない、二刀流の弟の将来を気遣う兄のようです。MLBの一流投手も少年時代は好打者だったはずですが、プロになるために投手一本に自分の将来を絞ったのです。

投げて打って走って守る、そのすべてが好きだったからこそ、野球少年になったに違いないのですから、誰もがかつて大谷翔平だったのに、誰もが大谷翔平になれなかったといえます。

大谷翔平の投打の「二刀流」は、彼らMLB選手がビジネスのために捨て、忘れてしまった夢を思い出させてくれるのかもしれません。でなければ、あれほど多くの異なるチームの選手たちが注目し、讃辞を惜しまない理由があるわけがないのです。

ビジネスと生き甲斐

最近、英語に、”ikigai”が加わったそうです。「生き甲斐」に相当する英語がないからです。

「競争」を通じて、「より大きくより多く」を得る「アメリカンドリーム」がアメリカのビジネスの理想なら、直訳すれば人生の価値となる、日本語の「生き甲斐」はきわめて対称的なものです。

カネや名声には結びつかず、むしろ「より小さくより少なく」を選ぶ「ほどほど」の生活哲学といえるでしょう。暮らしや仕事を人生の些事として、そこから学び喜びを見出す考え方といえます。

大谷翔平はアメリカのビジネスには仕えていないようにみえますが、もちろん、「ほどほど」の成績に満足する人ではなく、MLBの頂点をめざしているのは明らかです。

彼の「生き甲斐」が何であるか、彼に聞いてみないとわかりませんが、MLBのゲームやプレーの日々のひとつひとつにそれを見出しているのでしょう。彼の頂点とは結果として得られるもので、それ自体が目的ではないようにみえます。

「一将功成って万骨枯る」がアメリカの<ビジネス>とすれば、日本の<生き甲斐>なら、「みんな違ってみんないい」でしょうか。

そうした大谷翔平の投打にとどまらぬ「二刀流 ”Two-Way ”」に、ほんとうに慣れて受け入れたとき、エンゼルスの躍進がはじまるのかもしれません。

(止め)