コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

嫌韓へなびく前に

2013-07-31 02:31:00 | 政治
近頃、政治向きの記事が多過ぎる。<DVDレンタル映画感想>や<新刊中古本読書感想>もかなり溜まっているし、とんとごぶさたの<ダイアローグ>も書きたい。しかし、どうも政治がらみの言説があまりに皮相に思えて、ついつい口出ししてしまう。たとえば、麻生さん・・・、ま、いいか。さて、「従軍慰安婦問題」については、いまのところ、これ以上は望めないのではないか。そう思える文章が出た。

以前、「好文発見でご紹介した朴裕河(パク・ユハ)さんが書いている。たとえば、強制連行についてあいまいなど、当然、異論や反論は少なくないだろう。しかし、これほど平静な態度で平易な日本語をつかって論駁はできまい(彼女が平静に書き進められたかどうかは疑問だが)。大事なのは、何を語るかよりも、どのように語るかなのだ。どのように語るかは、より複雑で厳しい。そして、どのように語るかという努力だけが、対手に届くのだ。

きっと、あなたの胸にも朴裕河(パク・ユハ)さんの柔らかい声が届くと思う。すでに韓国では出版され、日本でも翻訳出版される予定らしい。少し長いけれど、嫌韓になびく前に、ぜひご一読あれ。コタツとしては、日本の「従軍慰安婦」支援や告発運動への批判に、「やはり」と頷きました。問題が解決しないことから理念的な正しさを導き出し、日韓関係がより悪化することによって己の存在基盤が強化される。そのような隘路を無意識に選びとっているのではないか。柔らかい声だが、厳しい指摘を多く含んでいる。たぶん、韓国の反日派はもとより、日本の左翼や運動家から激しく批判されるだろうし、マスコミからも好意的な反応は得られず無視されるだろうと思う。

2013年7月29日 19:37
慰安婦問題をどのように考えるべきなのかー秦郁彦・吉見議論(2013・6)を踏まえて(2013・7・15、明治学院大学)






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彼のオートバイ

2013-07-29 00:38:00 | ノンジャンル
友人オニールが原宿でイベントに参加しているという案内をもらい、日曜日は原宿へ。隅田川花火大会のような混雑が、原宿駅から表参道ヒルズまで続く午後2時。腹が減ったが、入れるような店はまったくない。表参道から交番横の道を50mほど入ったところにようやくみつけた会場では、海外バイクツーリングのベテランたちが写真やビデオ、愛用のバイクなどを展示していた。友人オニールが数年前、シルクロードからイスタンブールまで走るバイクツアーに参加した話は聴いていたが、昨年もマダガスカルを単独で走ったらしい。こちらは源流水を汲みに秩父まで行くのですら疲れるというのに。元気いっぱいというタイプとは正反対だったはずだが、人はわからないものだ。展示そのものは、ほかのぜんぶを見て回っても15分もかからず、友人オニールは不在で戻って来ず、さっさと会場を出る。表通りはあいかわらずの混雑だろうから、裏通りを選びながら原宿駅に向かうことにする。しかし、この町は整然としているのは表通りだけ、一歩裏手に入れば袋小路が少なくない。行きつ戻りつさせられた。かなりのテナントビルに空きがあり、マンションやアパートも空室募集しているのに気がつく。昔の原宿青山なら、とても考えられないことだ。ボロアパートの一室さえ、カメラマンのオフィスやデザインスタジオになっていたものだ。東京もまた、縮小均衡に向かっていることをあらためて感じた。池袋の立ち食いで天玉そばを食い、セブンイレブンのアイスコーヒーを飲み、タカセでドーナッツを、ドンクでフランスパンを買って帰る。

彼のオートバイ、彼女の島


私が知るオートバイ映画といえば、片岡義男原作大林宣彦監督1986年公開のこの佳品。オートバイ命の「彼」はなんとあの竹内力、彼の愛車KAWASAKI W650 W3RSのタンデムシートに座る「彼女」が、原田知世の姉原田貴和子。やがて彼女は彼を凌ぐライダーになります。竹内力は優しく、原田貴和子は美しく、KAWASAKIは頼もしく、主題歌がまた艶めいて。原田貴和子が歌っています。映画プロデューサー角川春樹全盛期の作品だけに、そうそうたるスタッフを集めて、燦めく青春映画になっています。オートバイ通からどう評価されているかわかりませんが、KAWASAKI W650 W3RSがクレジットタイトルに載ってもおかしくないほど、主演に近い共演であることは間違いありません。

(敬称略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

営業マン必読! 斉藤まさしセミナー

2013-07-28 02:17:00 | 政治
先日、「山本太郎の第一声」について書いたので、遅まきながら検索してみると、比例区で17万票を集めた三宅洋平とともに、山本太郎の選挙を仕切った斎藤まさしという人が話題になっているようです。

「市民選挙の神様」とTVや週刊誌で持ち上げられたりもしていますが、低評価というより悪評といえるものも多くみかけます。元駐レバノン日本大使でアメリカのイラク戦争に追随する政府に異議申し立てをして、外務省をクビになった天木直人氏の批判は、ほとんど名誉毀損に近いものです。

山本太郎は既存の政治を超えなければ支持者を裏切ることになるhttp://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/folder/1513906.html(上から3番目の記事です)

その時私は始めて知った。斉藤まさしという人間は選挙のたびごとに選挙請負人をして金を稼ぐ選挙ゴロのような人間であることを。その後彼の名前を目にしたのは、「市民の党」代表として菅直人元首相の資金管理団体から数千万円の政治献金を受けていたことや、よど号ハイジャック犯の息子を市議に当選させようと動いたことで国会で問題とされた時だ。要するに極左の政治思想を持つ政治ゴロである。

このほかにも、「北朝鮮シンパ」「毛沢東主義者」「選挙は革命の手段」「公安もマーク」など、いろいろな憶測が飛んでいます。それらが事実であろうとなかろうと、ここでは関係ありません。今回は、できる営業マン必読の自己啓発セミナーの講師として、斉藤まさし氏に登場していただくという趣旨です。

「できる男の話し方とは」「市場開発の戦略と戦術」「販促ツールの活用と工夫」などについて、ぎっしりノウハウがつまった話です。私もセコい営業マン経験があるので、ずいぶん「ビジネス書」や「営業上達本」の類書を読みました。しかし、残念ながら役に立ちませんでした。それ以前に、ほとんどの本に同意同感できなかったのです。

斉藤まさし氏の話は違いました。さすがに、選挙歴30年、ほとんど不敗という実績を誇るだけに、説得力にあふれています。たとえば、「営業は飛び込みが基本、どこでも誰でも臆せず訪ね、堂々と話せ! 」

前記の<天木直人氏の視点>から。2004年の参院選に菅直人民主党党首と石井一民主党選対委員長から出馬を打診されていた天木氏を訪ねてきたのが、斉藤まさし氏でした。

全国比例区で沖縄の喜納昌吉を当選させたいから選挙には出ないで くれという。結果的には私は選挙に出ることはなかったので斉藤まさしは満足だったに違いないが、初対面の私を訪れていきなりそんな話をするとは随分と失礼な男だと思ったものだ。

結果的には、斉藤まさし氏は天木直人氏の不評を買っていますが、一度面談しただけなのに、「この斎藤まさしなる人物は私にとって忘れられない人物である」と強烈な印象を残しています。つまり、営業マンの基本である、自分の売り込みには成功しているわけです。

ただし、この場合、商品の売り込みではなく、営業マンに必須のクレーム処理の例です。選挙を降りろではなく、選挙に出てくれ、つまり出馬要請という売り込みは慎重にしていると斉藤まさし氏は語っています。クレーム処理は率直に、売り込みは先方の意思確認をしながら慎重に。ふつうはこの逆の対応になりがちですね。

さて前置きが長くなりましたが、以下ご一読を。まず、得票というノルマを設定し、そのために何を為すべきか戦術を考え、綿密なスケジュールを組む。経費や組織や看板をあてにせず、勝ち抜く方法論と実践例が満載です。必ずあなたの日々の営業に役立つはず。

インタビュー動画は斉藤まさし氏の人となりを知るためのものですから、ご参考までに。ただ、できる営業マンは快活に笑い、わかりやすい比喩を用いて、できるだけ自分の言葉で話す、というトークの見本を理解できるでしょう。

「カンパとボランティアによる21世紀型市民選挙のススメ」
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-2098.html

(敬称略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夕立がこねえかな

2013-07-27 15:55:00 | 政治
だからね、「ピースとハイライト」のように、アメリカ人を啓蒙してきたと得意がるんじゃなくて、アメリカに行って日韓関係について日本の立場を説明するんじゃなくて、韓国へ行って韓国人を啓蒙してきなさいよ。それが外交エリートの使命だろうし、努力だろうと思うんだよな。ジェームス・E・アワーさんだって、ちゃんとできるんだから。しかし、どうせ、ジェームス・E・アワーに、きちんとした日韓関係史をレクチャーした、日本側の努力の成果だとかいうんだろうな。泣けるなあ、ニッポン!

せめてさ、外交問題専門のポータルサイトでもつくって、英語と韓国語、中国語、ロシア語に翻訳した関係の資史料を掲載して、誰でも読めるようにするくらいできないのかね。さしたる予算もかからんだろうに。ま、外国語ができるのは日本語ができないし、日本語ができるのは外国語ができないから、日本語ができるアメリカ人や韓国人や中国人、ロシア人をたくさん雇う必要があるから、年間費用は30億円くらいか。下のジェームス・E・アワーのインタビュー記事も、最近のトピックとして、韓中露英に翻訳して掲載すればいい。

ま、たぶん、やらないだろうな。「各国を刺激するのはまずい」という建前で、じつは怠けたいのと自分らの無能がばれるのがいやさに、電通とか広告代理店に丸投げして、うだうだしているうちにうやむや。俺が役人ならそうするな。とっくの昔に死んだ日本人のことなんてどうでもいいし、これから先の子どもや孫の時代の日本がどうなろうと生きてるわけじゃなし、おれの知ったこっちゃない。いまがよけりゃ、それでいいんじゃない? 野田が解散する前にドル買いして円安で2割儲けたから、株がもう少し上がってくれるとなあ。マツダのアテンザが欲しいんだよなあ。

ジェームス・E・アワー 日韓の間の「真実の話」をしよう
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130726/kor13072603210001-n1.htm

(敬称略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピースとハイライト

2013-07-26 22:17:00 | 政治
国民の共有認識としては妥当に思えるが・・・。

参院選後の安倍外交
2013.7.25 14:11 [宮家邦彦のWorld Watch]

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130725/plc13072514140015-n1.htm

●1945年、日本は「生まれ変わった民主国家」として再出発した。
●1965年、長い交渉の末に韓国と基本条約を結び、請求権も含め懸案を処理した。
●1995年には村山談話で戦争と植民地支配に対し「心からのおわび」を表明した。
●日本国民から集めた償い金を女性たちに届けるべくアジア女性基金まで立ち上げた。
●ドイツの謝罪はホロコーストに対するもの。フランスはアルジェリア戦争・植民地化を謝罪しただろうか。
●1945年以来70年近く、日本が行った努力はかくも丁寧、かつ真摯(しんし)なものだった。
●フットボールで言えば、50ヤードも前進したのに、ゴールポストは逆に遠のいた。
●心ある多くの日本国民が中国や韓国との関係改善を望んでいることは間違いない。
●同時に、多くの日本国民は、韓国や中国がゴールポストを動かし、日本のゴールを永久に認めないのではないかと心を痛めているのだ。

手前みそかもしれないが、ある米国政府関係者は「こんな説明を聞いたのは初めてだ」とまで言ってくれた。図らずも今回の出張は、対米情報発信がいかに重要かを再確認する旅となった。


でも、この人、外務省出身なのね。わるいけど、この一文には白けた。いったい、政府と外務省は1965年以降何をやってきたのかと思うわ。「教科書は現代史をやる前に時間切れ♪」と桑田佳祐も歌っているように、おかげで戦前も知らないが、戦後史をさらに知らないわけだな、日本人は。

しかし、余談ですが、ミュージックステーションに復活後初出演して、この「ピースとハイライト」を桑田が歌うのを聴き、ヤキが回ったなと残念だった。「THUNAMI」のときから、自己模倣をはじめたなと危ぶんだが(だからこそ、もっとも売れたシングルになった)、「ピースとハイライト」の歌詞のなんという陳腐。素朴な思いというより、素朴な思い込みを押しつけている。メッセージソングが嫌いなタモリも白けていた。演歌歌手が「人生訓」を歌い、ポップス歌手が「愛の説教」をしはじめたら、上がりってこってす。

(敬称略)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする