コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

今週の快哉

2022-01-23 12:33:00 | ノンジャンル
この作品が「ちばてつや賞」の佳作? ならばいったい、優秀作など当選作ははどれほどの秀作、傑作なのか。マンガの地盤沈下がいわれて久しいそうだが、ちょっと信じられない気がします。絵も文章も完成度が高いのはもちろんですが、女性しか出てこない「女だけの世界」にも考えさせられました。最近は季語なしでも俳句として学校では教えているのか、俳句には疎いのでわからないが、どの句も面白いと思えました。

かけ足が波に乗りたるかもしれぬ
https://comic-days.com/episode/3269754496647351375#

一般紙、スポーツ紙、地方紙のほとんどが取り上げていますが、サンスポのこの記事が筒香の「改革案」までを手際よくまとめた好記事になっています。

パイレーツ筒香、故郷に自費で2億円球場建設 少年野球チームも創設へ
https://www.sanspo.com/article/20220118-5E6V4RGKINO25PPMCRWAWG6N4I/2/

DeNA時代の17年1月から少年野球界に〝苦言〟を呈してきた。大声で叱る指導者、未来のある投手の酷使といった〝古き体質〟や、勝利優先のトーナメント制、飛びすぎる金属バットにも異論を唱えた。現役トップ選手による発信力もあり、社会は少しずつ動き出した。今では投球制限を設ける小、中学生の大会も増えている。

少年野球について指摘されている問題点は、そのまま日本の働き方と重なっています。その視点がサンスポ以外の記事にはありませんでした。

筒香サヨナラスリーラン
https://youtu.be/uR0F9yz2MH8?t=212

今シーズン、大谷翔平の大活躍にワクワクしましたが、長く不振を極めてクビ寸前だった筒香のバットが復活したのも嬉しかったものです。

(止め)



今夜は、中坊

2022-01-08 01:32:00 | 音楽
俺が中学の頃、アイススケート場が流行っていた。ボーリング場が流行る少し前だった。一時期、友達に誘われてよく行った。アイススケートが好きだったわけじゃない。バレーボール部で毎日ビンタされてウサギ跳びしていた丸坊主のくせして、ナンパ目当てだったのである。もちろん、ろくに声もかけられず、「ブスばっか」と負け惜しみを言い合いながら、転んでは氷の冷たさを噛み締めていた。それでも懲りずに部活の練習が休みの日にはアイススケート場に足が向いたのは、この人の歌が行き場のないガキの恋情を刺激したからだ。狭いスケート場いっぱいに繰り返し響いていた。今でもふと口ずさむことがある。リズムの効いた歌も、気のない歌いかたも、ふてぶてしい唇も、ひねた鼻も、冷めた視線も、ナス型の薄いサングラスも、すべてが格好良い不良に見えた。

今夜は踊ろう


中坊ながら、こんな歌はじめてと新鮮だった。彼はこのとき、まだ22歳。シンガーソングライターという言葉も流布していなかったが、自分のスタイルで
立っているのがわかります。

いとしのマックス


スキャンダルなどいろいろあって、この人はあっという間に消えたと思っていたが、下の対談番組によれば、若くして「隠居」したということらしい。こちらはその後も長くガキだったのでヒット曲しか知らなかったが、おもしろい曲をいくつも書いていたのを知った。歌は1:57から。「とびっきり」と紹介した宇崎竜童が歌っています。

6月


「最後の戦い」か。もはや大昔に思えます。

(止め)

今夜は、好対照

2022-01-03 18:12:00 | ノンジャンル
相棒20元日SPについて(視聴を終えた方々へ)
https://ameblo.jp/gralphan3/entry-12718296806.html

訴訟を起こした当事者である非正規の店舗のおばさんたちが、あのようにいきり立ったヒステリックな人々として描かれるとは思ってもいませんでした。同時に、今、苦しい立場で闘っておられる方々を傷つけたのではないかと思うと、とても申し訳なく思います。どのような場においても、社会の中で声を上げていく人々に冷笑や揶揄の目が向けられないようにと願います。

河瀬監督に聞く 五輪記録映画で描く光と影
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000225342.html

(Q.どういったところに光と影がありましたか?)

やはり分断です。
約8割がオリンピック開催に反対している、望まれていないものをどうしてやるんだと、デモの方たちもたくさん出ていました。

自分たちの置かれている現実、新型コロナの感染者数が増えている状況のなかで、不安が不満になる。政府への不満。それもオリンピックがとても目立っているからこそ、そっちに全部不満が来るような意味でなされるなかで、それでもやろうとする人たちがいる。

そして、場を用意してくれたことに、感謝の言葉を述べたアスリートの声。選手たちが全人生をかけている姿には、皆さん本当に心を動かされたと思います。それこそが光だったと思います。

河瀬直美監督は、東京五輪記録映画監督に続き、大阪万博のプロデューサーにも就任したそうです。

「ほんとうの悪なんてないんですよ。間抜けか馬鹿か傲慢か狡いかなんですよ」
https://www.youtube.com/watch?v=rKicHw8VE_U&t=3s

先の衆院選で立憲民主党の小川淳也議員の選挙戦に密着したドキュメンタリー映画『香川一区』の評価をめぐる、町山智浩氏の発言です。

香川一区選挙区は、四国新聞と西日本放送のオーナー一族にして3世議員、初代デジタル大臣にもなった自民党の平井卓也議員の地盤であり、立ち向かう小川淳也議員は連戦連敗、ようやく比例代表で復活当選してきた経緯があります。

水道橋は、この平井元大臣と一族を映画スターウォーズのダースベイダー、小川陣営をジェダイの騎士たちに擬して面白がります。これに対して、町山が「そういう悪の帝国のような見方は子供じみている」として、冒頭の発言につながります。

「小川さんはいい人ですよ。でも、いい人を追いかけてどうするんですか。むしろ、平井卓也のような人に迫ることこそドキュメンタリなんですよ!サーシャ・コーエンやマイケル・ムーア、みんなそうなんです」

太田愛さんは、デモをする「反対する人」を冷笑や揶揄の対象とする「分断」に反対しています。河瀬直美さんは、選手やスタッフなど「反対しない人」と「反対する人」を「光と闇」になぞらえています。

「反対される人」という自覚がない上に、「光と闇」にまで分断を拡大してしまっている河瀬直美さんに、町山智浩さんの「間抜けか馬鹿か傲慢か狡いか」を当てはめるのは容易です。

「ほんとうの悪」の正体が、そんな人間性の一部なら、私たちはそうならなければよいわけです。多少は仕方がないにしても。



高い丘の上に座っている馬鹿が、夕陽が沈むまで地球が回るのを見ている、という歌詞から、誰でも一人地動説を唱えたガリレオを思い起こすはずです。

(止め)