坪内 祐三 文春文庫
週刊文春連載コラム「文庫本を狙え!」をまとめたもの。しかし、文芸を広汎に扱うコラムなのに、非文芸的なタイトルだ。連載が始まったときの坪内祐三(敬称略 不悪)への軽い扱いが知れる。
福袋を詰められるほど多種多様な文庫本が紹介されていて、書評を読んだだけで平気で読後感想を語る俺のような人間には、嬉しい本だ。
福袋に詰められた文庫本の多くは、「この本を読め」「この書き手は凄い」「知っていたか、こんな話」を書いた先人の本であり、それをさらに第一級の読み手である坪内祐三が紹介する事例が多い。
そこでの坪内祐三の「知識人」選別の物差しの一つに、俺も同意できる。「ゴシップ好き」の書き手を、人間性への飽くなき探求心の表れと高く評価している点だ。丸山真男が座談の名手といわれたのは、その学識だけでなく、さまざまなゴシップに興味を抱く深い懐があったからだろう。同時に、そうしたゴシップを著作のなかで書いてしまう、自らを含む軽躁な批評性が知識人の条件のようにさえ思えてしまうのだ。
週刊文春連載コラム「文庫本を狙え!」をまとめたもの。しかし、文芸を広汎に扱うコラムなのに、非文芸的なタイトルだ。連載が始まったときの坪内祐三(敬称略 不悪)への軽い扱いが知れる。
福袋を詰められるほど多種多様な文庫本が紹介されていて、書評を読んだだけで平気で読後感想を語る俺のような人間には、嬉しい本だ。
福袋に詰められた文庫本の多くは、「この本を読め」「この書き手は凄い」「知っていたか、こんな話」を書いた先人の本であり、それをさらに第一級の読み手である坪内祐三が紹介する事例が多い。
そこでの坪内祐三の「知識人」選別の物差しの一つに、俺も同意できる。「ゴシップ好き」の書き手を、人間性への飽くなき探求心の表れと高く評価している点だ。丸山真男が座談の名手といわれたのは、その学識だけでなく、さまざまなゴシップに興味を抱く深い懐があったからだろう。同時に、そうしたゴシップを著作のなかで書いてしまう、自らを含む軽躁な批評性が知識人の条件のようにさえ思えてしまうのだ。