コタツ評論

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おすすめの2冊

2010-06-01 01:59:00 | ブックオフ本
そのうち、そのうちと思っているうちに、そのうちという時は過ぎていってしまう。

『資本主義を語る』(岩井克人 ちくま学芸文庫)</a>



『ヴェニスの商人の資本論』でスケールの大きな資本論入門を書いた著者が、「ノアの洪水以前」の資本主義に遡り、もっとも先端的と著者が考える日本の「法人資本主義」までを俎上にのせた。

目次
1資本主義と人間を語る
  差異と人間/進化論と経済学/「法人」と日本資本主義/ニッポン人)


進化論と「神の見えざる手」の類似については、経済学が進化論の影響を受けたのかと思っていたが、逆であったのか。

2『貨幣論』を語る
  マルクスの逆説(今村仁司)/貨幣・言語・数(柄谷行人)


金は生まれながらにして金である、とは胸のすく啖呵ではあるが、遁辞だったのか。

3歴史と人間を語る
  「百姓」の経済学(網野善彦)/帰って来た人間(水村美苗)


岩井克人がインタビュアーなので、網野(経済)史観への入門として面白く読める。
『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』の水村美苗とは、アメリカ留学と教員経験を通じた同級生交歓の興趣あり。



『この落語家を聴け!』(広瀬和生 アスペクト)

ぶらりと寄席に入ったり、TVの落語中継を観て、あるいは、「笑点」にチャンネルを合わせて、「なんと落語とは、つまらぬ芸能なのだろう」と思った人は少なくないだろう。ロック雑誌の編集者の傍ら、睡眠時間を削って年間1500席以上の高座を追いかけるという熱狂的な落語ファンの著者も、その一人だった。落語と落語家はいま最高に面白いが、誰でもというわけじゃない。面白い誰それ51人を挙げて、どこがどのように、どの噺をどうするから面白いかを熱く語って、「この人たちの高座は、いま、観ておかないと一生後悔します」というガイド。落語家と落語ファンは、映画演劇文芸より、落語こそサイコーの日本文化と確信しているらしい。論や論者が出てくると、ジャンルとしては衰退しているはずだが、落語の場合は、質量ともにいまが最盛期というのだから、噺は聴いてみないとわからないものだ。著者お勧めは以下の落語家たち。

立川談志/柳家小三治/立川志の輔/立川談春/立川志らく/立川談笑/柳亭市馬/柳家喬太郎/古今亭志ん輔/柳家喜多八/橘屋文左右衛門/三遊亭白鳥/林家彦いち/桃月庵白酒/柳家三三/三遊亭歌武蔵/瀧川鯉昇/古今亭菊之丞/入船亭扇辰/柳家一琴/橘屋圓太郎/五明楼玉の輔/春風亭昇太/林家たい平/春風亭小朝/柳家花緑/笑福亭鶴瓶/柳家さん喬/柳家権太楼/入船亭扇遊/立川生志

(敬称略)

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