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「戦争反対」には賛成しない

2015-07-17 20:00:00 | 政治
「戦争は絶対悪」「すべての戦争に反対する」「殺すな」「世界に平和を」などなど、反戦のスローガンは、たいてい戦争を一般名詞として扱っている。あたかも、「戦争と人間」「人類 VS 戦争」のように。

私は首をかしげる。人々が戦争を一般名詞として使い、反戦を唱えるとき、その戦争が自明の場合に限られるのではないか。かつてのベトナム戦争の反戦運動しかり、最近ではイラク戦争しかり。自国の若者が戦場に赴いているとき、同じ若者や市民が反戦を叫ぶ場合、どの国といつから「戦争」しているかは誰もが知っていた。だから、「戦争反対」ですべてが通じた。

日本ではどうか? 幸いなことに日本はまだどこの国とも戦争状態に入っていない。したがって、私たち国民の大多数は戦争を知らない。知識や情報としてしか知らない。知らないものに反対するのはどこか腑に落ちなくないか。反戦の対象となる「我々の」「我が国の」戦争がまだはじまっていないから、「戦争反対」がどこか浮き世離れした印象になる。

反戦プラカードを突きつけられている政府自民党としても、集団的自衛権にもとづいてアメリカの戦争につき従い、アメリカの「敵」と戦争ができる国へ法整備を進める準備段階に入ったという認識だろう。アメリカ頼みの安全保障から、「自分の国は自分で守る国へ、自立の第一歩」と政府自民党はいいたいのだろう。

戦争を避けるための抑止力としての安全保障という論議に止め、「必要でしょう?」と着地させるのが彼らのいつもの説明だ。「戦争と人間」ほどではないが、政府自民党の「戦争と日本」もかなり抽象的だ。安保法制反対派も推進派も、「戦争をさせない」「戦争を起こさない」という違いはあれど、戦争を予防的にとらえ、その危機感を共有しない者に熱心に呼びかけていることでは変わりはない。

呼びかけられる者としては、まだ戦争が近づいているような実感に乏しいから、反対のデモにも参加しないし、賛成の意思表示をしたいとも思っていないだけなのだ、と思う。そんなもやもやした日々が続いてきたが、やっと胸がすく発言が我らが安倍ちゃんから出たようだ。

安保法制強行採決、次は本当に戦争が始まる!
安倍の目的はやはり対中戦争だった! 強行採決前「南シナで日本人が命をかける」と発言
http://lite-ra.com/2015/07/post-1288.html

やっぱり、日本が戦争するとしたら、中国しかないよな、南シナ海か尖閣だよな。ということで、これからは、「戦争反対」ではなく、「日中戦争反対」、「日中に平和を」とはっきり云おう。賛成派は、「日中戦は不可避」とか「日中決戦の南シナ海」と云えばよい。

建築現場をはじめ、コンビニやファミレスまで中国人労働者頼りで、観光地は中国人観光客頼みという身近な日中関係を暮らしている人々は、中国と戦争なんてとんでもない、と声をあげるだろう。その声を抑え、圧倒するものがあるとすれば、自衛隊員の流血だけだろう。そうなる前に、「日中不戦」を拡散させよう。
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