さすがに連休中らしく、好物ジェイソン・ステイサムの新作「ハミングバード」はすべて貸し出し中。一方、ご贔屓チェ・ミンシクが出ている「新しき世界」は全部残っていた。休日の幹線道路の渋滞をとろとろ走るペーパードライバーみたいに、目端が利かないですね。おかげで傑作を観ることができました。
イ・ジョンジェ×チェ・ミンシク×ファン・ジョンミン出演!映画『新しき世界』ティーザー予告解禁!
監督は、当ブログでも紹介した「悪魔を見た」の脚本で知られるパク・フンジョン。「悪魔-」は凄まじい残酷暴力犯罪映画でしたが、ヤクザ映画「新しき世界」では残酷描写は直接的ではなく(それでもじゅうぶんに恐ろしかったが)、格闘アクションシーンが見どころ。
敵味方の怒号と絶叫が飛びかう白刃とバットの大乱戦場面から一転、敵がひしめくエレベーター内にただ一人引きずり込まれ、ドアが静かに閉まり惨殺が暗示されて場面転換するかと思いきや。そこからまた死闘がはじまるエレベーター上からの俯瞰撮影の見事なアイディア。エレベーターの狭さではなく広さを強調するかのような縦横無尽の反撃に唸りました。
でも、最大の見どころは最強の俳優陣です。抑えた受けの演技にまわったカン捜査課長のチェ・ミンシク、情と理に引き裂かれる潜入捜査官ジャソンの苦悩を端正に演じるイ・ジョンジェ、その兄貴分で組織のNO3チョン・チョンのファン・ジョンミン。そのライバルでNO.4イ・ジュングのパク・ソンウン。
いずれもすばらしかったが、とくに印象深いのは、下品な愛嬌と突発的な暴力性を同居させて圧倒的に魅力を発するファン・ジョンミン、ほとんど劇画的なまでに酷薄ダンディのパク・ソンウンでしょう。韓国の男優には、日本の男優に珍しくなったセクシャルな男ぶりがあります。(昔は、日本の映画界にも、青木義郎や高城丈二とかいたのだが)。
その他にも、カン課長とコンビを組むコ捜査局長のチュ・ジンモの俳優以前の醜男ぶりやNO.3とNO.4を闘わせて漁夫の利を得ようとするNO.2スギ理事のチェ・イルファが小沢一郎そっくりだったり、脇役の男顔集めにも収穫がありました。
ヤクザ組織に潜入して幹部に登りつめた潜入捜査官のジャソンが華僑だったり、上海マフィアとのビジネスでのし上がったチョン・チョンが呼び寄せる暗殺グループの「延辺の物乞い」が中国延辺の朝鮮族だったり、現在の韓国と中国との関係も重要な薬味になっています。
そして、大団円を迎えた後、回想のエピソードがはさまれます。クレジットが載ればエンドロールなのですが、載りません。そこで映画は折り返したのです。また冒頭に戻る。この無限ループこそ、映画を観る醍醐味ですが、それに成功する作品は稀なのです。
ファン・ジョンミン、「僕のせいで青少年観覧が不可になったのでは...」
(敬称略)
イ・ジョンジェ×チェ・ミンシク×ファン・ジョンミン出演!映画『新しき世界』ティーザー予告解禁!
監督は、当ブログでも紹介した「悪魔を見た」の脚本で知られるパク・フンジョン。「悪魔-」は凄まじい残酷暴力犯罪映画でしたが、ヤクザ映画「新しき世界」では残酷描写は直接的ではなく(それでもじゅうぶんに恐ろしかったが)、格闘アクションシーンが見どころ。
敵味方の怒号と絶叫が飛びかう白刃とバットの大乱戦場面から一転、敵がひしめくエレベーター内にただ一人引きずり込まれ、ドアが静かに閉まり惨殺が暗示されて場面転換するかと思いきや。そこからまた死闘がはじまるエレベーター上からの俯瞰撮影の見事なアイディア。エレベーターの狭さではなく広さを強調するかのような縦横無尽の反撃に唸りました。
でも、最大の見どころは最強の俳優陣です。抑えた受けの演技にまわったカン捜査課長のチェ・ミンシク、情と理に引き裂かれる潜入捜査官ジャソンの苦悩を端正に演じるイ・ジョンジェ、その兄貴分で組織のNO3チョン・チョンのファン・ジョンミン。そのライバルでNO.4イ・ジュングのパク・ソンウン。
いずれもすばらしかったが、とくに印象深いのは、下品な愛嬌と突発的な暴力性を同居させて圧倒的に魅力を発するファン・ジョンミン、ほとんど劇画的なまでに酷薄ダンディのパク・ソンウンでしょう。韓国の男優には、日本の男優に珍しくなったセクシャルな男ぶりがあります。(昔は、日本の映画界にも、青木義郎や高城丈二とかいたのだが)。
その他にも、カン課長とコンビを組むコ捜査局長のチュ・ジンモの俳優以前の醜男ぶりやNO.3とNO.4を闘わせて漁夫の利を得ようとするNO.2スギ理事のチェ・イルファが小沢一郎そっくりだったり、脇役の男顔集めにも収穫がありました。
ヤクザ組織に潜入して幹部に登りつめた潜入捜査官のジャソンが華僑だったり、上海マフィアとのビジネスでのし上がったチョン・チョンが呼び寄せる暗殺グループの「延辺の物乞い」が中国延辺の朝鮮族だったり、現在の韓国と中国との関係も重要な薬味になっています。
そして、大団円を迎えた後、回想のエピソードがはさまれます。クレジットが載ればエンドロールなのですが、載りません。そこで映画は折り返したのです。また冒頭に戻る。この無限ループこそ、映画を観る醍醐味ですが、それに成功する作品は稀なのです。
ファン・ジョンミン、「僕のせいで青少年観覧が不可になったのでは...」
(敬称略)