最近では、山口組系暴力団の組長が「板の間稼ぎ」をするほど、ヤクザと呼ばれる「反社会勢力」への締めつけが厳しくなっている。そのきっかけをつくった一人ともいえる後藤忠政の本である(本人が書いたわけではなく、聞き書きだが)。とにかく、バブル期以降、後藤組と後藤忠政の動きは派手だった。創価学会、伊丹十三襲撃、渡米肝移植、その間、数々の経済事件にその名が取りざたされ、最近では紳助引退で騒がれている芸能界への食い込みも、この後藤組が突出していたといわれている。
『憚りながら』(元後藤組組長 後藤忠政 得度名・忠叡 宝島社文庫)
今回は、そうした事件的な興味は脇におき(もちろん、真相はけっして語られないわけだし、たとえ語られようとそれが真相だとは判断できないわけだが)、後藤忠政の政治家評がなかなかおもしろかった。 政治家の仕種や振る舞いからわかるヤクザの「日本属国論」かな。
小泉 純一郎
小泉がアメリカに着いて、飛行機を降りてきたら、ブッシュは握手しながら肩をポンポンと叩いたわけだ。あのポンポンってのは、目下の者にやる仕種であって、兄弟分にはやらないよ。ところが、小泉は(ブッシュから)そんなマネされても、まだプレスリーの物真似なんかやっていたんだから度し難いよな。
安倍 晋三
その小泉の後の安倍(晋三)さん、俺はあの人の「美しい国」という考え方は好きだったし、いい政治家だと思っていたんだが、(政権の)途中で「腹痛い」って辞めちゃあ、ダメだろ。学校で級長やっている子供だって、「腹痛い」なんていう理由では辞めんぞ。
麻生 太郎
「オバマが大統領になった後、最初に会ったのが日本の(麻生)首相だ」ってまたテレビが騒いでいたな。あれは「会った」じゃないよ。「呼びつけられた」んだ。一国の宰相が、昼食のテーブルも用意されないまま帰されるんだから。兄弟分の扱いじゃなくて、子分の扱いだよ(要約)。
鳩山 由起夫
「対等な日米関係」を掲げて、普天間(基地移設問題)を見直すといった鳩山さんのほうが、まだマシだった。まがりなりにも、アメリカさんに居直ったんだから。実際のところ、日米関係は到底「対等」じゃないよ。五分と五分の関係じゃない。けど四分六だろうが、七三であろうが、二分八であろうが、「あんたんちとウチとは兄弟分ですもんで、親分子分じゃないもんで」と、たまには突っ張るのもいいんじゃないか。
小沢 一郎
(小沢さんが)自分の子分を600人も引き連れて中国に行って、力を誇示してな。あれじゃまるでチンピラだよ。おまけに子分を胡錦濤(国家主席)の前に並ばせて、ひとりひとりに握手させて、記念写真撮らせて。民主党がアメリカに突っ張るのは結構な話だけど、だからといって、中国の舎弟になるのは勘弁してもらいたいわ。ありゃ、完全に舎弟の振る舞いなもんで。
(敬称略)