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コタツ評論

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震災復興の切り札は、移民受け入れ?

2011-03-27 20:56:00 | 3・11大震災



スーパーをのぞくと、茨城県産のレタスが1個58円、2個で100円で売られていた。もちろん、ほとんどが売れ残り。那須高原牛乳も、同前。これまで見たこともなかった、近江米や鹿児島県産インゲンが並べられていた。売場にガイガーカウンターを置いて、気になるお客さんは計測しながら買うことにして、福島・茨城、栃木、千葉の農産品を売ってくれないものか。日本赤十字の義援金は、被災者の手元に着くのに1年以上もかかるそうだから、いちばん手っ取り早い支援策は、農産品を買うことだろう。

悲劇を増幅させた同質社会と官僚体質【前後編】
クライド・V・プレストウィッツ(米経済戦略研究所長)http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/03/post-2019.php

福島原発 「東電の罪」と「原子力ロビー」(仏ル・モンド紙報道)
http://francemedia.over-blog.com/article-70296514.html

>私が驚いたのは、より多くの、より重要な情報の提供を求める世論の圧力がさほど強くないことだ(プレストウィッツ)。

日本語の壁に守られたマスコミが、政府や企業の情報開示の防波堤となっているから、「1000年の一度」の「想定外」の大津波でもない限り、この防波堤は越えられない。

NYタイムズは遺体安置所の写真を掲載したし、フランスのTV局は福島第1原発内の防護服を着た作業員たちが作業する様子を映しているが、日本の新聞(TV)は、津波の映像についてさえ、避難所の子どもたちが、「思い出して泣く」という「お母さんの談話」を盾に、放映を減らす動きが出てきている。

その代わりのように、「感動ドラマ」が「ニュース」として量産されていく。すべてを奪われた被災者を素通りして、被災していない視聴者や読者に向けて、「勇気と元気をもらいました!」と。

>日本は同質性を維持することで社会の調和を守ることを強調し、実質的に移民の受け入れを拒否してきた。だが、高齢化と人口減少に直面する今、移民の受け入れなしには日本は長期的に絶滅の道を歩むことになるだろう(同前)。

ハリーケーン・カトリーナやニューヨーク大停電の際のように、略奪・暴行が横行する移民社会が日本社会より健全だといわれても、と誰でも思うが、自民党がかつて「1000万人移民計画」を打ち出したように、政官財マスコミは、移民受け入れに賛成している。そして、重要なのは、移民受け入れ以外のオプションとなる有力なビジョンや言説は、日本にはまだないということ。このままなら間違いなく、移民受け入れに押し切られるだろう。


ハワイの日系移民


菅さん、がんばるのはあなたです

2011-03-27 02:53:00 | 3・11大震災
25日夜、7時半からの官総理のTV会見「震災から2週間経ちました」は、残念ながら前回と同様に、無味無色無内容に終始しました。

何の意味があって、会見を開いたのか、国民側にわからなかっただけでなく、民主党側の意味も不明なものでした。つまり、菅内閣と民主党政権にとって、どのようなメリットがあったのか。それすら見えない無意味な会見でした。この危機と苦難を、菅内閣と民主党が、国民と共に乗り越えていくのだというアピールにすら、欠けるものでした。「2週間をひとつの区切りとして」という言葉がありましたが、区切りをつけるなら、区切る前と後に、明確な違いがなければなりません。なければ、役所や会社の会議のどうでもいい挨拶と選ぶところがない。

管さん、あなたはあれほど、官僚の書いた答弁は読まない、いや、官僚に答弁すら書かせない、と言っていたはずです。なのに、記者の質問に対して、机に目を落として答えていました。質疑応答にメモを見ながら答えるなら、質問も答えもあらかじめ用意された八百長に等しいが、まさか会見メモや応答メモも、官僚が書いているのではありますまいね。官僚の書いた文言を読むことは、あるいは官僚の言葉に習うことは、政治家から言葉を奪い、政治家と国民を切り離し、つまりは国民が言論を失うことに他なりません。それは政治主導の後退どころか、国民政治家として死に体を晒すことではないでしょうか。

この危機と苦難の時に、いたずらに菅内閣と民主党政権「叩き」に組みするつもりはありません。また、組みしてはならないと思っています。震災後、ただちに福島原発事故の視察に飛び、あるいは逃げ腰の東電に乗り込んで踏み止まらせた、あなたの行動力は評価されるべきものだと思っています。被災者に満腔の同情を寄せ、不安な国民を励まし、一日も早く東日本の復興に着手したいのなら、菅さん、まず政治家の言葉と行動を取り戻して下さい。政治家の言葉と行動では、まことに残念ながら、彼に先を越されています。どうか、がんばってください。

コタツ拝



石巻の避難所にルース駐日米大使夫妻らが激励訪問 
http://blog.kajika.net/?eid=998512
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20110323-567-OYT1T00865.html?fr=rk

想定外というが、想定内のはず

2011-03-25 18:05:00 | 3・11大震災


① チェルノブイリ
② スリーマイル
③ 福島第1

ついこの間まで、TVに出てくる「専門家」たちは、「スリーマイルには、絶対、追いつけない」と言ってきた。

① チェルノブイリ
② 福島第1
③ スリーマイル

今朝の朝日新聞によると、「スリーマイルは追い抜いて、区間的にはチェルノブイリ級の走り」と言いだした。

① 福島第1
② チェルノブイリ
③ スリーマイル

そのうち、「チェルノブイリも追い越して、(想定外)の独走態勢」と言い出すのではないか。

この間、TVに登場して、「安全」「ただちに健康に影響はない」と繰り返してきた「専門家」たちの比較対象は、スリーマイルやチェルノブイリだった。この2つが代表的な原発事故事例らしいから、それはしかたないのかもしれない。

しかし、ここ数日間の問題は、原発事故だけでなく、周辺地域住民やその農作物、東京をはじめ関東の水道や土壌へ、福島第1原発から漏洩した放射線物質の飛来による健康被害に移っている。つまり、被曝である。

そこで、TVで解説する「専門家」も、原発や原子力の「専門家」から、放射能被害を専門とする医師やチェルノブイリで治療活動経験のある「専門家」などに、シフトしてきている。

今朝のNHKニュースで解説をしたチェルノブイリで医療活動に従事した「専門家」氏の発言には驚いた。私の記憶では、番組中2回、「甲状腺に放射性ヨウ素が蓄積されるというのは、我々もチェルノブイリではじめて知ったことです」と話していた。

放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積されることで、甲状腺ガンの発症リスクが高まるわけだが、「チェルノブイリではじめて知った」とは意外だった。いうまでもなく、私たちの日本は唯一の被爆国であり、私たち日本人は過去に2回被爆している。

その広島・長崎原爆の被曝では、甲状腺に放射性ヨウ素が蓄積されることなく、甲状腺ガンは発症しなかったのか、と思ったのである。私はまったくの門外漢だから、同じ放射能の被曝でも、原爆と原発では違うのかもしれない。

異同はあるにしても、原爆投下から66年、広島・長崎原爆の放射能被曝に関する長期研究データは膨大に蓄積されているはず。原爆に被爆した広島長崎県民や周辺県民が、どのような経年で白血病やガンなどを発症したのか、比較できるデータがあるはず。

「ただちに健康に影響はない」と聞けば、「いずれ、健康に影響が出るのか」と誰でも心中で反問している。映画「黒い雨」で描かれたように、周辺地域ではどのような、「健康への影響」が出たのか。シーベルトやベルクルの数値はどのくらいだったか。

アメリカのスリーマイルやウクライナのチェルノブイリより、なぜ広島長崎の被曝と比較して、わかりやすく解説してくれないのか。それ以前に、なぜ広島長崎の被曝研究をしてきた「専門家」が解説に登場しないのか。素人には、よくわからないことばかりだ。

① 広島
② 長崎
③ 福島




放射能立国をめざす

2011-03-23 01:27:00 | 3・11大震災


最近のTVの天気予報では花粉や光化学スモッグ注意報があるように、これから東日本の天気予報番組には、地域ごとの今日の放射能測定値と風向きのコーナーが必要になるだろう。

町中にAEDや郵便ポストが置かれているのと同様に、放射線測定値を計測するモニタリングポストを配置する。それだけでなく、携帯電話やモバイル端末の機能に、ガイガーカウンターを付ける。

その電卓には、mSv/h (マイクロシーベルト)や Bq (ベクレル)といったパネルを増やして、数値を打ち込むと、毎時や月間、年間あたりの基準値との差を、大人・小人・妊婦別に算出できるようにする。

それくらい、私たちは放射能汚染に慣れ親しんで暮らしていかねばならない。福島第1原発の冷却ポンプの修理や冷却期間、燃料棒の取り出しなどの作業は年間単位となり、廃炉にするまで10年以上もかかるという。

その間、放射能が洩れ続けるとなれば、花粉や光化学スモッグと同様に、みんなで注意し、被害に同情し、数値を管理して、放射能とのつきあいに耐性をつけていくしかない。放射能を「問題」としてではなく、「結果」として前向きに受け入れていく。

日本にあるすべての原発をいますぐ止めるわけにはいかないし、近隣諸国にも原発は稼働しているわけだから、放射能被害を終末論的な危機としてではなく、日常的な危険としてそれぞれが状況を管理し、平常心で向きあう国民になるわけだ。

今回の福島第1原発の事故とその処理から得られる膨大なデータは、日本が原発と放射能の研究に関して、世界の「センターオブエクセレンス」に成長する基盤となり得るだろう。また、その責任の所在と追及にともなう試行錯誤は、これからの政治経済社会諸学に多大な影響を与えるだろう。

また、被曝を前提とした放射能産業を育成することで、大きなビジネスチャンスも生まれる。予防や医療を含めて、官民学を結集した国家的なプロジェクトをいくつも立ち上げ、日本は放射能文明に特化した、「放射能立国」をめざす。

3月は卒業式の季節。しかし、被災した各地では中止されたり、避難場所で臨時に開催されたりしている。その青少年のなかから、安全な原発づくりをめざす研究者や技術者より、放射能の危険と管理に取り組む研究者や技術者がたくさん輩出するはずだ。

海江田「処分」

2011-03-22 02:41:00 | 3・11大震災
「速やかに放水やらねば処分」国の指示か 都知事が抗議
http://www.asahi.com/national/update/0321/TKY201103210345.html

放水作業に成功した東京都ハイパーレスキュー隊隊長の会見を観たときに、いくつか疑問を感じた。

①なぜ、個々の作業に、各隊長名を挙げて説明したのか-丁寧というより少し煩瑣に思えた。
②なぜ、3人とも涙したか-隊員に被曝覚悟の命令を下した「無念」がうかがわれた
③なぜ、隊員たちの働きには繰り返し感謝を述べながら、現地の「関係者」への協力感謝の言葉がなかったのか-儀礼的なものでもあってしかるべきではないか。


明日から、マスコミの猛烈な海江田経産大臣叩きがはじまるだろうが、それはたぶん、「海江田経産大臣の傲慢発言」としての批判だろう。石原都知事が、あえて海江田経産大臣の名前を挙げず、菅首相に「苦言」を呈する形にしたのは、「海江田経産大臣の傲慢発言」に留めず、菅首相と民主党政権の「無能」に格上げし、併せて身内の無念を晴らすリーダーを印象づける、やはり都知事選に向けたパフォーマンスなのだろう。

しかし、ほんとうに、「傲慢」「無能」なのは、いったい誰なのか。副知事の猪瀬ブログからうかがえる。

福島原発の放水活動で東京消防報告。今後の教訓にしたいこと。
http://www.inosenaoki.com/blog/2011/03/post-8bab.html

これを読んで、上の3つの疑問が解けた気がする。立場が同じなら、私だって、115人の隊員全員の名前を挙げて、むせび泣きたいくらいだ。

福島原発から20km離れた前線指揮所と50km離れた郡山市の対策本部、そして東京との指揮連絡系統がじゅうぶんに機能していないことが明らか。バカな大臣がバカな発言をしたことより、これはずっと怖ろしいことだ。原発を管掌するのは経済産業省、東電の上層部も経済産業省の天下りが占め、原子力安全・保安院も役所である。つまり、民主党政権の非力のせいでもあるが、現場に作為、不作為の影響を及ぼす、指揮命令権限は実質的にすべて役所と官僚たちが握っている。致死的な被曝の可能性のある現場の消防隊員を助けるどころか、より困難な作業に陥らせたのは、彼らではないか。

日本の原発技術はきわめて高い。安全基準も世界トップクラスである。今回の原発事故においても、現場の多くの東電社員、協力会社作業員、東芝日立などメーカー社員が必死に働いている。そのすべてを喜んで認めてもなお、この「傲慢」「無能」のいっさいに責任を負わない官僚組織に、とても原発の運用運転をまかすわけにはいかない。それこそが、問題の本質だと思う。