超級龍熱

香港功夫映画と共に

香港公開から36年、倉田保昭、香港映画デビュー作品『悪客』遂にDVDリリース!

2008-12-07 14:59:31 | DVD&Blu-ray情報
さて、以前にも触れましたが、いよいよ来週10日にキングレコードさんからショウ・ブラザース作品で張徹導演による『続・拳撃/悪客』(72)のDVDがリリースとなります。
今回12月発売分のショウ・ブラザース作品DVDから折り込み形式の作品関連ミニ・ブックレットが封入されるのですが、この『悪客』の封入ブックレットとDVDのジャケ裏解説を私が執筆していますので、是非よろしくお願いします。
それにしても1972年の2月29日に香港で劇場公開されて以来、何と36年と言う長い年月を経て、いよいよ“アジアの黒豹”あるいは“和製ドラゴン”倉田保昭の香港映画デビュー作品が国内でDVDリリースされると思うと、私自身も本当に万感迫る物があります。
この倉田さんの記念すべきショウ・ブラザース第1回出演作品である『悪客』については、私もこれまで多方面で触れて来ましたが、今回遂に国内でDVDリリースされる本作に関して、ここでもう一度よりディープに触れてみたいと思います。
まず倉田さんもご自身の自伝などでも幾度となく触れていますが、東京は帝国ホテル内のラウンジで行われた御大ランラン・ショウによる倉田さんの面接オーディションですが、実はこの時倉田さんの他にもオーディションに同席していた男性俳優がいました。まあ結果的には倉田さんが香港行きの切符を手にして、その男優さんは残念ながら落選してしまったわけで、ここでそのお名前を出すのはご本人の名誉のためにも控えた方が良いかと思いますので仮に0・Gさんとしておきますが、もしこの0さんが倉田さんの代わりに香港に行きショウ・ブラザースで『悪客』に出演していたら・・と思うと改めて人の運命の不思議さを感じますね。
また『悪客』は実際に当時の東京でロケーション(京王プラザホテルも登場!)を敢行していて倉田さんは勿論、主演のティ・ロンやデビッド・チャンこと姜大衛、井莉、劉家榮、王青、そして芳仁子(この芳仁子は確か香港公開当時のポスターには“韓国のテコンドーの達人!”との紹介が記載されていた記憶があるんですが、達人?うう~ん!)らも来日して撮影ロケーションに参加しました。
ただ“強人”こと陳星に関してですが、劇中の日本のシーンでは倉田さん演じる勝勇のアジトである「不夜城(芳仁子演じる江波明子の名刺によると中央区西銀座にあるようです(苦笑))」なるクラブのシーンに陳星が出演していますが、以前に私が倉田さんご本人にこの『悪客』の事をお訊きした際には「確か陳星は日本のロケには来なかったから、陳星の日本での出演シーンは香港のセットで撮ってるはずだよ!」との事でした。
また倉田さん演じる勝勇の日本語の台詞を当時の倉田さんご本人がアテレコを担当している事(ただし北京語バージョンのみで、英語バージョンは別人)は以前にも触れましたが、劇中で勝勇のボスで張徹導演ご本人が演じる山口組長の配下の組員たちの面子にも実に興味深い顔触れが多数確認出来ます。
例えば超若い楊斯、陳全、山怪、袁信儀、任世官、劉家榮、あるいは韓国武打星の洪性中などがそうです。
さらに山口組長が任務を失敗した組員に切腹を強要するシーンで、その切腹する組員の背後で刀を手に介錯人に扮しているのが後にブルース・リーことリーさんの『死亡遊戯』に出演し一躍日本のファンにその名を知られる“丸太男”こと解元(即:陳元)なので、リー信者の皆さんも是非DVDが発売された際にはチェックして見て下さいね。
最後に映画のラストで工事現場を舞台にティ・ロンやデビッド・チャンを向こうに回して電撃の連続蹴りで大暴れする倉田さんのクンフー・アクションはまだまだ荒削りではありますが、後にあの『帰って来たドラゴン』(73)でブルース・リャンこと梁小龍相手に伝説の“ハイスパート・クンフー”を完成させる片鱗はその気迫漲るキック技からも十分に感じ取る事が出来ます。
と言うわけで、日本が世界に誇る武打星である倉田保昭の言わば原点的作品である『続・拳撃/悪客』いよいよ来週にDVDリリースとなります!この機会に皆さんにも是非フレッシュかつド迫力の蹴り技を披露する若き倉田保昭の雄姿をご覧になって頂ければと思います!
コメント (6)
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梁小龍vsジョン・ラダルスキー、リングで激突!徐蝦導演作品『通天拍{木当}』

2008-12-05 11:41:21 | 作品レビュー
ここ数日間は某誌の毎年恒例の「2008ベスト10」原稿や、キングレコードさんの“五毒”系列作品DVDの原稿を書いたりで中々ブログの更新が出来ませんでした。でも毎年思うんですが、今年のベスト10原稿を書く時期となるともう師走だなぁ、って感じですね。と言いながらも原稿書きはこの調子でまだまだ続きそうなんですけど・・。
で、昨日はやっと少し時間が出来たんで久々に都内の韓国人街に行ったら、路上で韓国映画の中古ビデオを1本何と100円で投げ売りしていました。結局救済したのはトニー・ジャーがカメオ出演している『アルティメット・エージェント』韓国版だけだったんですが、中古ビデオとはいえ結構新しい作品のビデオもあったりしたんで、韓国ではDVDと平行してまだVHSも製造してるようでちょっとビックリでした。
トニー・ジャーと言えば、先週だったかトニーの師匠パンナー・リットグライが超若い時に主演したタイ映画で、何かパンナ師匠が虎に変身する母娘と対決するヘンテコな映画を観ていたんですが・・まだちゃんと全編観てないとはいえ・・これって一体何なの?(苦笑)。

さて、最近徐蝦導演作品で董標(標の字異なります)&梁小龍主演『通天拍{木当}』を観たんですが、私自身ブルース・リャンこと梁小龍の主演作品でまだこのようなレア作品が存在していたとはちょっと驚いたやら嬉しいやらでした。まあ映画自体は平均的なB級コメディー・アクション映画なんですが、導演&武術指導(張有と共同)を徐蝦が務めているだけあって劇中のアクションは中々の出来ではありましたね。
梁小龍は最初は飲み屋のボーイなんですが、董標に担ぎ出されてキックボクシングの試合に出場する羽目になる・・という展開で、本作出演当時には既に頭がかなり薄くなっている梁小龍とは言え、リング上で何度となく披露されるキックボクシングのシーンは流石に迫力がありますねえ。
他の出演者では異様に若い徐錦江やチェン・ケイインも出ていましたっけ。
で、私が思わず「おお、これはレアな対決だ!」と身を乗り出したのが、映画の中盤で梁小龍とリング上で対戦するロビンソンなる白人ボクサー役であの“カンフー・ジョン”ことジョン・ラダルスキーが登場して、短いながらも梁小龍と激闘を展開するシーンでした。もっともジョンさんはアッサリと“香港映画界最強の男”にKO負けしてましたけど(苦笑)。でもこの『通天拍{木当}』、映画のラストのクレジットに1998年度作品って出てたけど本当かなぁ?私はもうちょっと古い作品だと思うんですが。
で、ここからは余談ですが、以前にもちょっと触れましたがジョン・ラダルスキーと言えば、長きに渡ってあの『死亡遊戯』の“虎殿”の丸太戦の映像を所有している、と言われていましたよね。で、実は私の海外の友人がラダルスキーを良く知っていて、私は以前にその友人を通してこの『死亡遊戯』の丸太戦の映像を本当に所有しているのかどうかラダルスキーに間接的に訊いて貰ったんです。
この時の私の友人とラダルスキー側のやり取りの詳細は長くなるんでここでは省略しますが、結論から言うとラダルスキーは『死亡遊戯』の何らかの映像は持っていたとしても、丸太戦の映像自体は所有してないそうです。
で、話の肝心の部分は実はここからで、その時にはラダルスキーが他にどんな映像を所有しているかも判ったんですが、有名な所では何宗道導演&主演作品『龍的影子』(81)のラストの室内での何宗道とダン・イノサントの対決シーンのメイキング映像ですが、この映像は既にDVDの映像特典にも収録されているのでレアでも何でもないですね。ところが私が思わず「ええっ!?」とビックリしたのが、ラダルスキーが何とあの黄正利が自身の出演作品のロケ現場でアクションのデモンストレーションを行っている映像を持っていると聞いた時でした!
あの伝説の“鉄血銀狐”黄正利の全盛期の、それもオフスクリーンのデモ映像がもし本当に存在しているとしたらこれはまさに仰天映像ですし、私もこのラダルスキー&黄正利フッテージに関しては今後も更なる追跡を行い、もし何らかの新たな情報が得られましたら、今後の「熱風!韓国LEGENDS」で企画中の「黄正利スペシャル(前・後編の予定!)」でご報告したいと思っています!
コメント (2)
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熱風!韓国LEGENDS⑮ 2大女武打星競演!上官霊鳳&金正蘭主演『少林寺黒豹』

2008-12-02 00:24:22 | 熱風!韓国LEGENDS
さて、「熱風!韓国LEGENDS」第15回は、リ・ヒョクス導演、上官霊鳳&金正蘭主演『少林寺黒豹』(77)です。
この映画は韓国では結局ビデオが出ずに終わり、我らがポーリー嬢が韓国に渡って主演したこの武打片を観る殆ど唯一の方法は昔にフランスでリリースされていたビデオ(フランス語吹き替え&ワイドスクリーン仕様ながら、かなりのカット編集)のみでした。
そうは言ってもこの『少林寺黒豹』の韓国版ポスターは「天地決戦!少林天下の最大武侠巨作!」の売り文句も強烈に、そのポスターの中央ではポーリー嬢が「ハアアアア!」とド迫力の虎拳の構えを見えているデザインで、もうメチャにカッコイイですねー!(涙)。
で、物語的にはポーリー演じる主人公が自分の両親を殺した悪漢(金永仁)に復讐するために少林寺で武術を修行し、やがて黒覆面の侠客“黒豹”として、金永仁の3人の用心棒(趙春、金王国、崔在鍋←鍋の字異なります。と、もうお約束の韓国悪役商会の皆さん)との激闘の果てに、怨敵の金永仁と対決する、という展開です。
ただこのポーリー嬢と3人の用心棒のそれぞれ3つの決闘シーンが意外に趣向を凝らしてあって面白く、特に金王国が催眠術を使ったり、趙春が口から火を吹いたり(オイオイ?)とクンフー映画と言うよりも、奇天烈な韓国忍者映画を観ている印象を受けましたね(苦笑)。
ここで注目なのがポーリー嬢と3人の悪役商会との対決では、韓国クンフー映画のロケ地の定番中の定番である洪裕陵の広大な空間を利用しての大胆かつ無茶なワイヤー・アクションが(既にこの77年当時に)展開されている点でしょう。
さらに中盤以降になると、この『少林寺黒豹』のもう1人のヒロインである金正蘭が登場し、当然劇中では権一秀ら金永仁の手下たちが見守る中でのポーリー嬢と金正蘭という台湾女ドラゴンvs韓国女ドラゴンの激突が火花を散らします。この金正蘭とのクンフーファイトでポーリー嬢が見せる数々の気迫漲る少林功夫の荒技はまさにお見事!と言っていい冴えっぷりで、やはりポーリーこと上官霊鳳こそ70年代の台湾&香港を代表するトップクラスの女武打星であった事を再認識させられます。
映画の終盤ではポーリー嬢と金正蘭が実は幼い頃に生き別れた姉妹(って全然似てないぞ!?)だった事が判り2人のヒロインは直ぐに意気投合。最後はポーリー嬢と金永仁の雪山を舞台とした一騎打ちの果てにポーリー嬢こと“少林寺の黒豹”が見事両親の復讐を遂げます。

上官霊鳳の主演作品はこの『少林寺黒豹』以外にも何本も韓国で公開されていて、例えば『十大掌門闖少林』(77)が韓国題名『少林通天門』として、さらに譚道良が悪役に扮してポーリーと対決する『苦海女神龍』(81)が今回の『少林寺黒豹』の導演リ・ヒョクスと侯{鉄争}の共同導演作品の形で韓国題名『片腕の女神龍』(82)として公開されています。そう言えば同じくリ・ヒョクス導演作品で夏候星主演の『十二大天王(意外にも見事なクンフーアクション連発の秀作!)』(82)にもポーリー嬢の某作品の映像が強引挿入されていましたね。

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