みいちゃんといっしょ

みいちゃんとみいちゃんのパパの日記

この際、ラージヘッド・ストラトキャスターの年代を徹底的に調べてみる。

2014年08月23日 | MUSIC

 

 シリアル番号から、1979年製と自分で勝手に決めていたラージヘッドのストラトキャスター。

 

 しかし、シリアル番号は、おおよその目安で、「S9」シリアルは、78年から82年で使われていたという情報なので、この際中を開けて本当に79なのか徹底的に検証してみることにしました。

 参考にしたのは、ラージヘッドの年代検証に定評のあるこのサイト。

Dating Late 1970's Fender Stratocasters

 

では、まず、ネックをはずします。

 

 前に外したときは、シリアル番号かと思って無視していたのですが、これがネックデイトでした。

0902*4193

09=ストラトキャスター
02=メイプルワンピースネック
 * =不明
41=41週
 9 =79年の略
 3 =水曜日

 つまり、このネックは 1979年10月10日(水)に作られたストラトキャスターのメイプルワンピースネックということが分かります。

 では、ネックポケットを見ます。

 

 ここにも、ネックデイトと同じ数字が符らているのが一般的のようですが、判別できず、GONZALEZさんのネームが確認できます。
 因みに、様々な番号がふられた FRR のスタンプは、品質管理スタンプのようです。
 76年後期から量産体制に対応するため、フェンダーはボディー加工にCNCルーター(コンピューター制御の切削機)を導入していったそうです。その特徴としてネックポケットの左右の隅に丸い窪みが見えています。 

 

 ボディーキャビテイ内には、電磁シールドを意図した導電塗料が塗られています。この加工が行われたのは79年後期からとの情報があります。

ボディーの中央に鉛筆ガキで謎の「2」?の文字が。

 

 今回初めて気が付いたのですが、アッシュボディーは積層板ですね。CBSが徹底的にコストダウンをしていた最後の時期ですからいたしかたないのでしょう。

 それにしては、4.4キロと非常に重たいです。

 と、一瞬思ったのですが、1979年のストラトが積層合板だなんていう情報は一切ありませんし、上の写真の向かって左の方を良く見ていくと、板の重なりと見えるものが下に傾いて流れていますし、トレモロカバーの中をもう一度よく確認したら、これは、良く揃った木目で、積層板ではないことが分かりました。

 CBS期フェンダーさん、そこまで疑って申し訳ございませんでした。 

次は、ポッドを確認。

きったない!!

ハンダやコンデンサーに隠れてほとんど読み取れませんが、

・・・7927 013446 250K A の数字が見えます。

1977年まではポッドの側面に数字が記載されていたのが、78年には底面に移動したそうです。

ハンダで見えない部分の3桁はメーカー名(137 = CTS)を表しているそうです。

・・・7927の最後の4桁は、79年27週 つまり 1979年の7月2日から8日の週に作られたということです。因みに 013446 の数字は日付とは関係ないそうです。


最後は、ピックアップデイトです。

 

  1970年代のフェンダーのピックアップボビンは、「グレーボトムス(gray bottoms)」の愛称で、灰色の繊維材料(バルカンファイバー~木材繊維又は木綿繊維の紙を塩化亜鉛溶液に漬けてできる緻密で強靭な素材)で作られています。
 ブリッジ側のピックアップには「96」と手書きされていますが、これは、コイルのターン数が9,600ターンを示しているものと考えられます。
 79年後期にには、ブリッジ側の音量減衰(弦の振幅幅がネック側より少ないため)を補うため、ブリッジ側のピックアップのみ9,600ターンの高出力ピックアップ「X-I」に変更されています。そこで、その他の7,600ターンのピックアップと区別するため「9,600」または「96」の文字が記されているとの情報に合致します。 

 この「グレーボトムス形式は、上の写真のような016730という番号が刻印された黒いプラスチックベースに変更される、1980年まで使用されたそうです。

 コイルがむき出しになっています。現在はテープやリボンが巻かれているのが普通だと思います。
 黒っぽいあずき色をしたプレーン・エナメル被膜のワイアーを使ったコイルは、70年代後期の特徴だそうです。 

さて、ピックアップシリアルナンバーですが、

ブリッジとミドルは、124279

ネックは193879となっています。

 最初の「12」とか「19」はピックアップワインダーを操作する人のための指定番号。つづく4桁が週と年。つまり4279は1979年10月の15日から21日の週。3879は、1979年の9月17日から22日の週に製造されたということになります。

 ということで、ネックデイト、ポッドの刻印の位置と数字、ピックアップの材質および形式並びにピックアップデイトとシリアル番号から推測して、このラージヘッドのストラトは、間違いなく1979年の10月ごろに製造されたものということが確実にいえるといえます。

 ちょうど、ラージヘッドストラトの最終に近い年代と部品様式の過渡期の製造だったため確実な年代が特定できる個体でした。


 ところが、青天の霹靂で、ここで新たな疑問が、

1.ひっくり返したピックガードのポッド部分に貼ってあるはずのアルミの絶縁シートが貼っていない。79年後期からは全面にアルミシートが貼られていたはずです。少なくともコントロール部には貼られていなければなりません。

2.ピックガードの裏にシリアルナンバーの書かれたタグが貼ってない。

 

 その代わりにタグが貼ってあったであろう場所のボディーにタグの跡が残っています。

 

3. ピックアップの配線コードがタイラップで固定されている。オリジナルにタイラップが使われているとの情報はありません(1960年代ごろからタイラップはあったようですが)。
 80年代中期まで、組み込み時にピックアップのリード線を束ねるためには、1/2インチ幅のマスキングテープが使われているとの情報がありますので、後年にピックアップをいじってタイラップで止めなおした可能性があります。

4.前述のWEBの記載によれば、「フェンダーは1975年あたりで、ピックガード等のプラスチックを白色から黒色に切り替えられており、この移行中のギターに白と黒のプラスチック部品の混合、組み合わせを見ることができる。おそらく1977年のストラトは、部品を混ぜているが、それ以降は、すべて黒色でなければならない。また、ピックガードのコントロール部分の下に小さな銀シールドテープがある。 1980年に全体のピックガードは、シールドで覆われてしまった。」とあります。

 (白と黒のプラスチック部品が混ざった1976年のStratocaster)


  これから考えると、所有のラージヘッドのプラスチック部品はオリジナルの黒色から白色に取り換えられている可能性(黒の3-plyのピックガードやノブは出荷当時評判が悪く、白に交換された例があるようです)があります。

実際のオリジナルはこんな風貌だったのでは。

 

 あらぬ方向に知識が広がってしまいました。オリジナルに戻すにはまた、出費が!!

 


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4 コメント

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ボディのザグリ部の模様について (M)
2016-10-31 23:47:30
初めまして、ギター製作を行っていた元・楽器屋の人間です。

1970年代中期以降のストラトを検索していて、あなたのブログを拝見させて頂きました。
私も1976年製(恐らく1~3月)のストラトを含めて数本のストラトを使用しているのですが、とても興味深く読ませて頂きました。

そこで差し出がましいとは思いますが、ボディのザグリ部を横から見た時の模様についてなのですが、集積材の様に見える模様は大半が木の模様ではなく、ルーターやトリマーといった回転式の円形刃を使用する機具を用いて穴を空けた際についた模様だと思われます。

ルーターを使用する場合、特に堅い木を掘る場合は垂直方向には穴が割と簡単に穴が空けられますが、水平方向に掘る場合はあまり深く掘り始めると摩擦抵抗がかなり大きく、掘りづらい事に加えて機械のモーターが焼き付きを起こしかねなくなります。

そこで数ミリ程度ずつの深さを設定して水平方向に掘り、掘りきったらまた数ミリ程度ずつの深さを設定して…といった具合に徐々に掘り下げていくのですが、この際に端の部分(あらかじめ治具で設定してある「掘る部分の端」)にはかなりの摩擦が起き、そのせいで木の目の様な一定の傷が残り、更に角部分には特に摩擦熱で「こげ」が発生しやすくなります。

これはルーターやトリマーといった機具を用いるとよく起こる現象で、堅い木材を使用すると尚更起きやすくなります。

※メイプル等に比べればアッシュやアルダーは柔らかい方と言えますが、それでもかなり堅い木です。マホガニーくらいの柔らかい木を用いてる場合でも結構な跡がつくのも珍しくありません。

こういった模様を消す為には出来るだけ摩擦熱を起こさずに削る方法しかなく、ヤスリや突きノミ等を使用するのが手っ取り早いとは言えかなり面倒ですし、どうせ塗料を塗るしパーツの類いで傷が見えなくなるから…という発想からか、割と高価なギターでもこの傷が残ったまま、という状態も普通の事と言えるのが現状でしょう。

因みにリッケンバッカー辺りの「オール・ハンドメイド」を売りにしているメーカーやビルダーさん達の中では、ザグリ自体を機械ではなく、叩きノミと突きノミだけで作製する方もおり、その場合は前述の様な傷は付いておらず、その代わり少し凸凹した掘り傷がついていたりもします。
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コメントありがとうございます (みいちゃんのパパ)
2016-11-01 06:24:15
 ご丁寧なコメントありがとうございます。さすが専門家の方の御意見、大変参考になりました。木目と思ったのは、加工跡だったのですね。
この後、「’79 ストラトキャスター オリジナル 復帰計画」にも挑戦していますので、こちらの記事(http://blog.goo.ne.jp/doom321/e/5527870123dabe4a46060b729c75050a)もご覧いただければうれしいです。
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すばらしい (mugcup)
2017-01-30 12:48:54
記事も、上の方のコメントも大変参考になります
私はギブソンの70年代製を追いかけ数台所有していますが、フェンダーの方はコンビネーションが可能ということもあり、なかなか手が出ませんでした。なので、少しずつ勉強をすすめてからと思いいろいろと読み進めるうちにこちらへたどり着きました。とてもわかりやすく的を射た内容に感謝します
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mugcupさん コメントありがとうございます。 (みいちゃんのパパ)
2017-01-31 06:51:02
mugcupさん コメントありがとうございます。
自分の楽器の年代や出自を求めて、何の意味があるかと言われれば、それまでなんですが.....。
でも、余計に愛着が出るのは確かですよね。
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