髑髏フラワー

ママの口ぐせお花はドクロ!

高尾〜景信山を経て小仏バス停から歩き串刺しにされた高尾山を見た話

2020-02-23 | 高尾山から
2020年2月9日(日)
昨年の夏以来、約半年ぶりに高尾山に行ってきた。

思えば昨年の夏以降は嫁さんの出産もあり、個人的にも育児休業やその他諸々とやることがありなかなかに忙しい日々だった。
そして今がヒマになったのかといえば今もちょー忙しい。
子どもが3人いて家事育児とこなしている現在は、たぶん人生で一番に忙しい時期かもしれない。

昨年の頭に「今年は登山を趣味にするぞ!」と高尾山に登り、それからどれくらい山に行ったかと数えてみたら、高尾山に入ったのは7回、そこから景信山まで行ったのが5回、そこから陣馬山まで行ったのが2回であった。
「登山を趣味にするぞ!」と言えるほど山に行ってないし高尾山ばっかりだが、登山を趣味にすることの一番の効能は、下界にいるときにやたらと登山を意識して身体に負荷をかけることだと思う。
いつもの通勤からしてまずはエレベーター、エスカレーターを使わずに階段を使うし、休日も子供を抱っこしてあえて階段を登ったり重い食材をザックに入れたりしてケツの筋肉を意識して公園の階段を登ったりする。
頭の中に「山登り」がない人にとっては「ああ疲れるなこりゃ…」と思う場面でも、先に山登りの予定があれば「これは良いトレーニングだぞ…」と前向きにとらえることができる。

山に行かなかった半年間は、忙しいながらもそんなこんなで負荷はかけ続けていたので、そんなに鈍ってはないとは思うが、身体がすっかり山道を忘れてしまっているかもな…という不安を抱えての登山となった。

当初は始発で出かけて昼過ぎには自宅に帰ろうかと企画していたが、仕事が忙しく家事も溜まっていたために就寝するのが26時を回ってしまっていたため、無理をせずにしっかり睡眠をとることを優先した。
翌朝、コンビニで食料を調達して京王線に乗って8時にケーブルカー清滝駅へ到着。空は雲一つない快晴。
日曜日ということもあり、そこそこ人もいる中、6号路で高尾山山頂を目指した。



半年ぶりということもあり、ペースはすごくゆっくりで身体の調子を確かめながら登った。
今日は「姿勢よく歩く」というテーマを掲げて登ることにした。
下界で通勤時に見るおっさんたちの姿勢がみんな猫背で悪く見えたからだ。
あれは年齢以上に見えてしまう。
まあすでに自分の姿勢もずいぶん悪いとは思うがなるべくしゃきっとして生きていきたい。











樹々の青さは楽しめないが、凛とした空気の中、木肌の濃い茶色と薄い茶色、黒い土、石の灰色、常緑の緑を朝日が照らして、コントラストがはっきりとした景色がぐっと圧力をもって目の中に入ってくる。
見る栄養だ。
飛び石を越えたあたりから日が差してきて空が見えてくる。




霜が上がってきて氷の花のように見える「氷華」。あったかいので見れないかなーと思ったけど小さいのがあった。

9時ごろ。ざっくり1時間ほどで高尾山山頂に到着。
あ~と声を出してしまうほどに富士山が美しい。
相模湾の海面がきらきら光っているのも見える。
これだけ空気が澄んでいるのも冬の特典。









そこからは細かく休憩をはさみつつ写真をばしばし撮りながらのんびりと歩いた。















11時ごろ。景信山山頂へ到着。
富士山ばっちり、相模湖ばっちり、スカイツリーばっちり、相模湾ばっちり、雲ひとつ…ふたつくらいの快晴。最高の眺め。
さっそくテーブルにバーナーを出して昼食の準備。
思ったほど身体に疲労感がなかったのでニヤニヤしながらカレーヌードルとおにぎりを平らげた。







と、ここで気を緩めたのが間違いであった。

ここから小仏バス停までの下りで、調子に乗って走ってみたりびょんびょんジャンプしながら下りたら、あっというまに膝を痛めた。
帰宅してから調べると、下りで自重を支えるために頑張っていた大腿四頭筋さんが疲労のために固くなってしまい、膝のお皿の周囲に痛みを伝えてくるようだった。今まではこんな痛みは経験したことがなかったので調子に乗りすぎていた…。
下りは特に膝を痛めやすいようなので、姿勢を正して(前傾になりすぎないように)下りるのが正解だったようだ。
最初に掲げていたテーマ「姿勢よく歩く」はどこに行ったんだ…。









かるく足を引きずりながら小仏バス停に到着して、あと10分くらいで来るバスを15分くらい待っても来ないのでおかしいなと時刻表を見てみたら、20分に1本出ているのは昼以外の時間で、私が待っている12時台は1時間に1本だけの出発となっていた。
時計を見ると次の出発まであと45分。
グーグル先生に聞いてみると高尾山の駅までは歩いて60分。
待っても待たなくても到着時刻は変わらない。

せっかくいい景色をたくさん見て心の栄養を蓄えたのに、45分も待ったらきっと携帯を眺めてSNSにうごめく憎悪に引きずり込まれて疲れ切ってしまうだろうと考え、歩くことにした。
一緒にバス停にいたおっさんから「え!歩くの!」と言われつつスタート。
旧甲州街道をぐいぐい歩いていく。

ともかく天気が良くて2月上旬とは思えぬほど気温も高いので、膝の激痛以外はとても気持ちがいい。
このあたりの住所が「八王子市裏高尾」だということを知った。住所に「裏」が入る場所の住人…ちょっとかっこいいな…。

歩き始めてすぐに「浅川国際マス釣場」を見つけた。



さっそく歩いてなければ見つけられなかった景色を見つけて歩いて正解だなーと膝の激痛を我慢しながらほくそ笑む。
ちなみに「マス釣場」を検索してみると、どこもかしこも名称の頭に「国際」と付くが、軽く調べてみると、外来魚のニジマスを放流しているから「国際」とうたうようになったそう。今度は子供を連れてこよう。





立派なお庭がある家が多く、梅がそろそろ咲き始めていて、それを見ながら歩くのも楽しかった。膝の激痛を除けば。

しばらく行くと、圏央道と中央道が交わる八王子ジャンクションの下を通過する。
異物感丸出しの構造物がはるか上空に広がる不安な景色。



そして圏央道高尾山トンネルの入口を見上げる場所に来た。





「串刺し」という表現が近いかもしれない。
まさに数時間前に「ああきれいな景色だ」「心の栄養だ」と心を満たして歩いていた山が、高速道路によって貫かれている。
それまで優しい景色の連続だったのに、ここにきて突然に優しくない、過激で苦しい景色が上空を覆っていた。
夢の中を歩いていたら、突然に現実世界に落とされたような不快感があった。



高尾山にトンネルを掘る計画がある、反対運動が起きているという話は20年くらい前にちらと聞いたことはあったが、そのころは完全に都心部だけで生活をしていたのでまったく関心がなかった。
まだ「壊された自然はもう二度と元に戻ることはない」ということがわからない年齢だったのだと思う。
小さなころに秘密基地を作って遊んでいた山はマンションになり、犬の散歩に出かけていた川はコンクリート敷になり、凧揚げをしていた原っぱは工場になった。
それらの人工物がまた別の人工物に変化することがあっても、それらの土地がまた元の山や自然な河川敷や原っぱに戻ることはない。
人間が便利に暮らすためにどれだけ多くの生物が犠牲になっているのかまざまざと見せつけられた。

実際に自分も圏央道をよく利用しているし、海老名ジャンクションがいつも混雑しているということは、このトンネルも人間の役に立ってるのだろう。役に立っていると思わなければやりきれない。

私が高尾山に穴をあけた人間代表というわけではないが、申し訳ない、すまない、という気持ちで高架の下を通り抜けた。

その後は小仏関所を抜けてしばらく行くと一気に街に帰ってきたような景色になる。
グーグル先生に導かれるまま歩くと、中央線沿いの細い道を案内されたりして面白かった。





段差を降りるときに軽く悲鳴をあげたくなるくらいに膝は痛かったが、すごく充実した帰路であった。
13時半ごろ京王線高尾駅に到着。

行動時間約5時間30分(休憩含む)。
移動距離はグーグルマップでの計測で約18キロ。

もう少し後であれば梅が満開になってさぞきれいなことだろう。
もし桜のころにまた機会があれば歩いてみたい。
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景信山 景信茶屋 青木さんまで蕎麦を食べに

2019-02-26 | 高尾山から
2/16(土)今年3度目の高尾山に行ってきた。中々のハイペースである。


前回は高尾から景信山まで行ったので今回は高尾から陣馬山まで行きたかったのだが、午後に用事があったので、前回と同じく高尾山(599m)まで登ってから隣の景信山(かげのぶやま 727m)までを歩いた。


本日の目標は景信山頂上の「景信茶屋 青木」さんでなめこ蕎麦を食べることだ。
前回はお財布を忘れて頂上で非常食だったので、今回はお財布を5回くらい確認して臨んだ。


先に時間を記録しておく。
13時頃には帰宅したく、逆算して始発での出発となった。


高尾山口駅(06:11)
  ↓(76分)
高尾山頂 (07:27)
  ↓(42分)
一丁平 (08:09)
↓(67分)
景信山  (09:16)
  ↓(62分)
昼食休憩 (10:18)
  ↓(40分)
小仏バス停(10:58)
  ↓(15分くらい)
高尾山口駅(11:30ごろ)


当日の日の出の時刻は6時28分。
日中でも薄暗い登山口なので、もしや真っ暗な中登り始めるのか?などと緊張していたが(ヘッドランプなどの装備は揃えた)、現場についてみればそこそこ明るかった。
しかし暗闇の中の登山はすごく興味深く、災害時にも役立ちそうな技術だと思われるので、今後体験できるチャンスがあればぜひやってみたい。



朝のケーブルカー清滝駅。始発でやってきたにもかかわらず目に見える範囲で前に4人も先行している人がいた。また追い抜いていく人も3〜4人。





私は初心者らしく写真をパシャパシャ撮りながらのんびりと登った。

たぶん気持ち良いだろうなと想像しながら到着した高尾山山頂は期待以上に気持ちよく、年間270万人も来るのに5~6人くらいしか人がおらずなかなか贅沢な時間が過ごせた。



山々の間にもやがかかって水墨画のよう。



汗だくだったのでしばらく風を仰いだりしていたがさすがに2月。
すぐに急激な冷えが来る。
ここで朝食としておにぎり2個を吸収して水を一口飲んで出発。

ここからが人がグッと少なくなってとても楽しい。
1人になる時間を楽しみに来ているので落ち着く。
チラチラ見える富士山を楽しみながら歩いた。



初心者なのでよく理解していないのだが、山から山への縦走なので高低差が少ないのだろうか。下りだったり平坦な道だったりで、歩くことが辛くない。

聞こえてくる草のかすれる音から判断するに、中型の犬か人間くらいの大きさの動物が近くにいる音がするんだけど姿は見えない。猿かイノシシか人間か。
何度かそんな音が聞こえる場所があり、立ち止まって目を凝らしてみたが何も見つけられなかった。





午前中にしかない光の差し方が木肌を照らし光と陰のコントラストが美しい。



台風の影響か、こうして倒れた木が多く見られる。



自然が作り出すフィルタなのか、光に青みが入っていて、モヤが青く見えたり、葉の緑が青っぽく見えたりしてとても不思議で楽しい景色である。



上の画像に見える道路は中央高速。
ここから自分の足元の小仏トンネルに入る。
小仏トンネルは私用でも仕事でも何度も通ったが、まさか小仏トンネルの上に登山道があるとは知らなかったし、まさか自分がそこを歩くなどとは思いもしなかった。

9時少し過ぎ。
高尾山も景信山も頂上直前で苦しめられる。
ぜえぜえ息を切らしながら到着した景信山山頂は本日も素晴らしい眺めであった。
人はまばらで目に見える範囲では4~5人くらい。
やはりこの時間だとまだ反対側から登ってくる人も少ないのか。

奥高尾 景信山 景信茶屋 青木さん

まだ開店の準備をしているのか、数名の方が忙しそうに仕事をしていた。

なめこ蕎麦 500円
ビール大瓶 700円

2点を注文し、先にビールの大瓶を頂いて一番の特等席へ。

ビールの大瓶にはおつまみに野菜の煮物が付いてきて、その煮物が味がしっかりしていてビールとともに疲れた身体に染み渡る。
まだ朝の9時過ぎだが5時に起きて3時間歩き続けたのだからがぶ飲みさせてもらう。



これが最高でなかったら何が最高なんだろうか。
自分は人生の勝ち組だと断言したくなるような美味さである。

遅れてなめこ蕎麦の完成。



むちゃくちゃうまい。
巨大なめことゆずがポイントだろうか。
個人的にはちゃんと七味を付けてくれるところがとても嬉しい。
ここまで歩いてきたからこその美味さ。
はーうま、はーうま、と独り言を言いながらあっという間に完食した。
こちらも疲れた身体に染み渡るような滋味であった。



スカイツリー
埼玉とかその辺
新宿の高層ビル群
相模湖
富士山
その他色々山々



これだけの絶景付きで1200円。
大満足である。

しっかりトイレに入ってから今度は下り。

40分で一気に下りた。

少しずつ高速道路の音が大きくなって登山口に到着。
小仏バス停より帰路に着いた。

本日も素晴らしい小旅行であった。

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高尾山から景信山へ

2019-02-19 | 高尾山から
2019年2月3日(日)今年2度目の高尾山へ行ってきた。
中々のハイペースだ。

今回は高尾山(599m)まで登ってから隣の景信山(かげのぶやま 727m)まで足を伸ばす。

先に時間を記録しておく。

高尾山口 (08:16)
  ↓(71分)
高尾山頂 (09:27)
  ↓(96分)
景信山  (11:03)
  ↓(49分)
昼食休憩 (11:52)
  ↓(62分)
小仏バス停(12:50)
  ↓(15分くらい)
高尾山口 (13:15すぎ)

京王線高尾山口駅から出発して高尾山頂、小仏峠を経由して景信山山頂へ。そこから小仏バス停に下りバスで再び高尾山口駅に戻ってきて、休憩を含みおおよそ5時間くらい。
距離は測っていないのでネットからの拾いだが約10キロ。

季節はずれの暖かさに加え天気は良好で、 光の具合が良くて写真をばしばし撮りながらの山行となった。

駅から登山口に向かうまでに雪が残っていて驚いた。
ちなみに高尾山は、東京都八王子市にあります。




思えば3日くらい前に東京は少しだけ降ったかも知れない。
しかし平地はまったく雪は残らず、雪が降ったことさえ忘れていたのでけっこう驚いた。
怖いなどうしようどうしようと入口でつぶやいていたお婆ちゃんはあの後どうしただろうか。。



約一ヶ月前に登ったばかりの道も、雪があるとまた違った趣があって楽しい。





高尾山山頂。
前回はここが到達点だったが今回は通過点。
富士山をぱしゃっと撮ったらサッサと移動を始めた。

ここからは未体験ゾーンに入る。



奥高尾に入ると人がいなくなる、とは聞いていたが、確かに途中は人の気配がまったくせず完全に1人で歩けて嬉しかった。
1人になるために来たということもあるし。
チラチラ見える富士山がすごく綺麗でニヤニヤしながら進んだ。



登りになれば息が上がり暑く感じ、平坦になれば呼吸も落ち着き寒さを感じる、ということを何度も繰り返し、なんと言えば良いのか分からないが、ああ俺って生きているよなあ正常だよなあという感覚が味わえた。

途中の一丁平は、一面が雪だった。



ちょっと想像すれば数日前に雪が降ったので当たり前だろ、という話になるが、平地の暮らしだと山の上の想像は難しい。
しかもその寒々しい雪景色を見ている自分は登りの暑さで汗だくになっている。
インターネットで何でも調べられる時代になっても、やはり行ってみないと分からないこと、感じられないことってたくさんあるんだろうなと理解した。
この知見を得たのが今回の山行の大きな収穫。









ぜえぜえ言いながら景信山の山頂に到着し、ずっと楽しみにしていた茶屋の蕎麦やてんぷらを食べようと財布を捜して、家に忘れてきたことを確認した。





致命的な失敗だったがあせらず慌てず、持ってきた非常食で腹を満たした。
前回に引き続きめちゃめちゃ美味しい。



ここから小仏バス停まで下山。
わりと急な下りで、汗をかいたりはしないが足裏と膝に衝撃が走り続ける。

帰りの景色もすごく楽しめた。



自然が作り出した直線と曲線が圧倒的な質量で視界に入ってくる。



木肌に当たる光、土に当たる光、葉と葉の隙間からもれてくる光、暑さで立ち上がる水蒸気に当たる光。
それらが混ざって一成に目に飛び込んでくる。



静かな景色は視覚だけではなく、鳥のさえずりや風の音、自分の足音と呼吸音、土の匂いなど、聴覚にも嗅覚にもたくさんの情報を寄せてくれるので胸がいっぱいになる。



こんなことは山登りを趣味にしている人にとっては当たり前の景色で今さら感動はしないのかも知れないけど、自分は初心者なので、見る景色のすべてが新鮮だ。
初心者であることは楽しいもんだよなあ、ということを痛感した。



数ヶ月前までは高尾山は高尾山で終わりで、隣の山と繋がっていて歩いて行けるなどとは知らなかった。
それが、隣の山どころか隣の隣の山まで歩いて行けて、バス停があって電車までのアクセスも良好。
こんなに遊べる環境が自宅の近くにあるというのは幸運なんだろうなと思う。

今回も素晴らしい小旅行であった。

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高尾山に登ってきた話

2019-01-13 | 高尾山から
2019年1月4日(金)
高尾山に登ってきた。
今年の密かな目標に「山登りを始める」というものがあり、正月休みでひょいと1日空いている日があったので、京王線に揺られて高尾山口へ向かった。

46歳になって、なぜ趣味として山登りを始めるのか?
その理由をひと言で言うと

「自分の身体能力が衰えてきたんだけど子供たちはまだ幼い」

からである。

20代半ばくらいから「俺ももう歳だからさー」などと言って老化を茶化していたが、40を過ぎると身体と脳の反応が遅すぎて、うっかり躓いて受身が間に合わず頭からコンクリートに突っ込んで頭蓋を骨折するんじゃないかとか、笑い事にできないような切迫感が感じられるようになってきた。
2歳と5歳の男の子相手には、まだまだこの先20年くらいはパワフルに振舞っていなければならないので、ここで身体と脳の老化に抗ってみようと思ったのだ。

まったく身体を動かさない部署に異動してしまったので、1年くらい前から簡単な筋トレは始めていて、腕立てと腹筋、スクワットと爪先立ちで、なんとなーく身体が軽くなったような感覚はあった。
しかし、比較的簡単に強化できる上半身に比べ、下半身は筋力がついたような実感が薄く、このままの負荷で過ごせば確実に下半身の筋力の衰えを待つばかりだろうなと思っていた。
そして街中を杖をついて歩く老人を見ながら「やっぱり足腰の強化だよなー」と感じた。

だったら家の近所でジョギングでもすればいいじゃん

と言われればその通りなのだが、もう一方の趣味であるキャンプなどのアウトドア活動との相乗効果を考えると、登山の方が圧倒的にその先の広がりが大きい(山を走るトレイルランニングもすごく楽しそうだけど)。
そして、登山を趣味としていれば、普段の通勤などでもエレベーターやエスカレーターを使わずに登ったり、日々体力向上に勤しめるように思う。

「バイクでツーリングを楽しんで登山口に到着してテント担いで山に登ってキャンプ」

と書けば、だいたい自分のやりたいことは全部詰まっているので、ここにテンカラ釣りでも加えられたらもう死んでもいいかも知れない。

それともう一つの理由は

「 人工物から離れて、自然に近づきたい 」

から。

先ほどは「老化に抗ってみよう」などと書いたが、これは「老化を楽しむ」とでも言えばいいのだろうか。

この数年で自然に対して親近感を感じることが多くなった。
一つ一つの季節が大過なく過ぎ去っていく有り難みの大きさが、歳を重ねるにつれて膨らんできた。
家族が増えたことが関係しているのかはわからないが、これは自分の中では、若い頃には感受できなかった、歳を重ねたからこそ感じられるようになったアンテナだ。
自分にとって新しく芽生えたこのアンテナは、これから先も研ぎ澄ませていきたい。



そんなこんなで10時くらいに高尾山口に到着して、登山素人らしく準備運動もせずエネルギーの補給もせずすたすたと6号路を登り始めた。
服装も普段着とコンバースローカットだ。



高尾山は世界で一番登山客が多い山で、世界で登山をしている700万人のうち、260万人が高尾山に来ているそうだ。多すぎる。電車を降りてすぐに登り始められるのも人気の理由だろう。
まあ自分も高尾山に来たのは10回目くらいだろうか。小学生や中学生の頃も遠足で来たと思う。

始めはぞろぞろ遠足のように連なって歩いていたが、次第にばらけてきて孤独を楽しみながら歩く事ができた。



次々とお年寄りや子供たちに抜かれていく。
46歳にしてまだまだ「ひよっこ」というのが嬉しく感じる。


10回くらい来ている、と上に書いたが、こんな険しい道なんてあったかな?
※2019年1月15日(火)追記。後々調べてみると、2018年夏の台風による被害が大きかったようです。別の場所でも大きな倒木を見たりしました。自然の力の大きさを目の当たりにしました。

スタート時点では耳が痛くなるほどの寒さであったが、中盤を過ぎたあたりから気温と体温が上がってきて、上着をザックにしまって歩いた。



周囲から登山初心者と見抜かれないように、努めて真顔で足を交互に前へ出し続けていて、途中から息が上がって苦しくなるかと思いきや、後半まではずっと真顔で登り続けられたので、内心はニヤニヤしながら真顔を保った。

最後の階段までは。

そこからは鬼の形相で登っても登っても終わらない階段地獄が始まった(実際は200段だそう)。

自分の身体が重すぎて地面に足をついてから上へ上がるのが苦しい。
体温は上がり続けて汗だくになり、もはやTバック一枚あれば他に衣服はいらないと思えるくらいには暑くなった。
息が切れて生きる希望もなくなったので、何度も何度も休みつつ水をがぶ飲みし、人生を呪い、人を恨み、世界の終焉を願い、憎悪をたぎらせながら階段を登った先に頂上が見えた。



時刻は11時過ぎ。
登り始めから約1時間。



特に大きな達成感というものも感じず、やっと忌々しい階段が終わったか!という気持ちを抱えたまま、そそくさと山めしの準備にとりかかった。

周囲はみなさんガスバーナーを使っていて、アルコールバーナーなどという貧弱な装備は私だけだった。
まあ貧弱なだけあって、約400mlのお湯を沸かすのにずいぶんと時間が掛かった。



その時は調べなかったのだが、NISSINのカップヌードルのお湯の目安は300mlだそうだ。
これで次回からは無駄なお湯を作らずに済む。



1月の晴天の下、真っ白な富士山を見ながら食べるカップラーメンはさすがに美味しく、350mlのビールと共に、あっという間に腹の中へ消えた。

帰りは4号路、1号路と淡々と歩いて帰った。

ここ4年くらいはずっとデスクワークばかりしていて身体を動かすことがなく、正直体力が心配であったけど、 約3時間の登り下りは(忌々しい階段を除いて)余裕だった。
やはり2歳5歳の息子たちに毎日殴る蹴るの暴行を受け、それに耐え続けている事が活きているのだと思う。これからももっと暴行を受け続けたい。

朝起きて子供たちの準備をして保育園に送り届けてから高尾山頂まで登ってラーメン食べてビール飲んで下りてきて14時には帰宅できる、という貴重なデータを得ることができた。
このペースなら、高尾山からの縦走や温泉を組み込んだプランなど、色々と遊びの幅も増やすことができそうだ。


山頂の近くで人だかりができていたので尋ねてみると「霜柱の花」ができていたそうだ。
「霜柱」という植物の茎から水分がにじみ出て凍り、それが花のようになることから 「霜柱の花」というみたい。
いつでも見られるものではないそう。

素晴らしい小旅行であった。
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