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生理痛の漢方治療 続編

2007-01-14 17:06:23 | うんちく・小ネタ

気血虚弱

生来胃腸が弱い体質(脾気虚)、出産時に出血が多かった場合、慢性病を持っている場合など様々な原因があります。気血虚弱による生理痛の特徴は、整理中、生理後の長引く鈍痛、手でさすると痛みが緩和し、生理の量は一般的に少なく、色は淡く、倦怠感を伴うことが多く、顔色にも艶が無く、舌診では舌質の色が淡く、脈は細弱であることが多いのが特徴です。一般的に脾気虚による軟便傾向があります。

 治療原則は 益気養血 活血止痛です。

中国有名方剤加減

聖癒湯(せいゆとう)加減

黄耆 人参 当帰 熟地黄 白芍 川芎 香附子 延胡索 竜眼肉 炙甘草

からなる方剤です。

赤は温薬 ブルーは涼薬 グリーンは平薬です。

黄耆(おうぎ)人参は補気薬の代表です。当帰 熟地黄 白芍 川芎 は活血養血剤の四物湯です。婦人科の要薬である香附子は理気止痛に、延胡索は活血止痛に働きます。白芍と甘草は止痛剤である芍薬甘草湯です。

日本ではエキス剤がありませんので、補気剤の四君子湯(人参 茯苓 白朮 炙甘草)と養血剤の四物湯に黄耆と肉桂を加えた「十全大補湯」に「芍薬甘草湯」などを合方します。

竜眼肉には補気作用と補血作用があり、帰経は心と脾です。補心作用は不眠症に対して養心安神に働き、補脾作用は消化不良、軟便などの脾気虚に用いられます。

中国では産後の補剤として、黒砂糖+竜眼肉+卵のスープが家庭で作られています。余談ですが、中国婦人科学では、産前宜清(妊娠中は涼性の薬剤)、産後宜温(産後は温性の薬剤)の原則があります。竜眼肉を妊娠中に多量に食すると出血、口内炎、など流産の恐れがあるとも言われています。竜眼肉の養心安神作用が利用されている有名方剤に帰脾湯(きひとう)があります。

気虚が著しくなると気の固摂作用が低下して、だらだらと生理が続く経期延長になる場合もあります。この場合も聖癒湯は有効です。この場合には阿膠や艾葉を加味します。

 脾気虚による内臓下垂(胃下垂や少腹部、陰部の下垂感)が合併している場合は、柴胡や升麻を加味します。エキス剤では十全大補湯と補中益気湯を合方します。

 動悸 不眠などの心血虚証がある場合には、酸棗仁 大棗 鶏血藤などの養心安神剤を加味します。エキス剤では帰脾湯、あるいは十全大補湯から川を除き遠志 五味子 陳皮を加えた「人参養栄湯」を用いても差し支えありません。

腰痛や下肢の無力感があるような場合は、桑寄生、続断、杜仲などを加味します。経験では、軟便や冷えを伴った場合は補骨脂(ほこつし)などの補腎、温脾止瀉の生薬を配合すると効果があります。

以上、男性にはうかがい知れない女性の生理痛について、

①「冷え」が原因となる場合

②「冷えと湿」が原因となる場合

③「ストレスによる肝気郁結」が原因となる場合

④「肝気郁結が肝郁化火に変化」して「熱」が原因となる場合

⑤「熱」と「湿」の「湿熱」が原因となる場合

  ①~⑤までは前々稿と前稿で

⑥気血虚弱が原因となる場合

 について本稿でお話しました。

    続く、、


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