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糖尿病性腎症の漢方治法運用総説1 腎炎腎不全の漢方治療166報

2013-07-06 00:15:00 | ブログ

糖尿病性腎症の漢方治療法の使い方の総説についてお話します。

よく使用される四文字熟語の音読みを付記します。

(1)滋陰清熱法:陰虚内熱(いんきょないねつ)証に適用する。

臨床症状

煩渇多飲(はんかつたいん:口が渇きよく飲む)、消谷善飢(しょうこくぜんき:よく食べる)、口干舌燥(こうがんぜっそう:口や舌が渇く)、尿頻量多(にょうひんりょうた:小便の回数が多く、一回尿量も多い)、尿色混黄、脈洪数(こうさく)。

症候分析

飲食不節、積熱于胃(中国語でyu ~においての意味、胃に熱が溜まるという意味で胃熱と同意です)、熱久傷陰、津液耗傷(しんえきもうしょう)、水を飲みたがる、即ち煩渇多飲となる。

飲水が多いが、脾の運化輸布が失調しているので、津液が下泄しやすくなるので尿頻量多となる。

内熱傷腎、腎失封蔵、精微下泄、故に尿色混黄となる。

肺脾両虚、皮膚肌肉が濡養(じゅよう)を失い、故に形体消痩(けいたいしょうそう)となる。舌脈は陰虚内熱(いんきょないねつ)の象である。「紅舌少苔で代表される舌象です。脈象は細数(さいさく)と表現される細く頻脈傾向のある脈」です。

こうなると、脈洪数の洪と細の矛盾が出てきます。

まあ、いいでしょう。時系列の問題ですから。洪数→細数でしょう。

方薬白虎加人参湯加減生石膏 知母 人参 生甘草 山薬 天花粉 沙参 黄連 麦門冬)。

もち米や粳(うるち)米などの記載は無いですね。後で、「訳(わけ)あり」を記載します。

方中、生石膏は辛寒で胃熱を清し、知母(ちも)の苦寒で肺胃の熱を清泄し、人参 山薬(さんやく) 天花粉 沙参(しゃじん) 麦門冬(ばくもんとう)で益気養陰し;黄連は清熱に、甘草は調和諸薬に働く。口渇多飲の者には、生地 石斛(せっこく)を加え、口鼻乾燥の者には桑白皮(そうはくひ)を加える。

と色分けしてあります。微寒は涼と同じ色にしてあります。白虎加人参湯については簡記しますが、生薬についての説明をすると、膨大な情報量になりますので、過去の記事をご参照ください。色分けの良いところは、一目で基本的な寒熱弁証に照らした清熱という方意(方剤の目的、意図するところ)が見て取れることです。虚実、寒熱弁証から言えば、白虎湯は実熱に対する方剤ですが、本日の白虎加人参湯加減は虚熱に対する方剤ということになります。

先ずは白虎湯から行きましょうか。

白虎湯(びゃっことう 傷寒論):石膏 知母 生甘草 粳米(こうべい うるち米 中国語でジンミー)効能は清熱除煩養陰です。石膏は清熱瀉火 知母(ちも)は苦甘寒で、清熱瀉火作用に加え、甘寒の性質から滋陰潤燥の働きがあるために、白虎湯の養陰作用の由来となる生薬です。生甘草、色分けすれば生甘草は清熱に作用し、粳米は補胃和中に働くとともに、石膏の清熱成分を十分に煎じ液中に留めると教えられました。肺胃実熱(上焦 肺、中焦 胃)の気分実熱に効果がありますが、滋陰潤燥の働きは、陰虚燥咳、陰虚盗汗、腎陰虚による骨蒸、消渇、虚火上炎による胃虚熱にも適応が広い生薬です。石膏が気分実熱症に用いられるのに比較して、知母は実熱、虚熱両者に用いられるのです。高熱による傷津を未然に防ぐ意味合いもあります。

傷寒論では、白虎湯証の4大証は大熱、大汗 大口渇 大煩であり、舌質紅、舌苔黄燥、脈洪大或いは滑数、四肢厥冷、不悪寒と続き、陽明病証である腹満、口不仁、譫語(せんご)、遺尿、喘などであり、いわゆる「陽明経燥熱実証」といわれるものです。六経弁証の陽明病について概略は、病機概要として、陽明経証は熱盛灼傷胃津に属すものであり、陽明腑証は胃腸実熱、食積、燥屎蘊結に属するものです。

身熱汗出、悪寒はなく悪熱し、煩燥、口渇引飲を主証とするものが、陽明経証に属し、潮熱、腹脹満、堅硬拒按、便秘、甚だしければ譫語を主証とするものが、陽明腑証に属します。治療原則は、陽明経証の場合に清熱瀉火。陽明腑証の場合に攻瀉実熱となります。

主要な方剤が、清熱瀉火の場合に、白虎湯。攻瀉実熱の場合に、承気湯(じょうきとう 傷寒論)となるわけです。陽明経証の場合には、無形の邪熱が陽明経に侵入し散慢(満ちている)するが、腸管には燥糞内結がまだ無く無結であると考えます。この時期には発汗法は誤治であり、白虎湯あるいは白虎加人参湯で清熱、清熱生津するのです。陽明腑証に進展せず、治療後に余熱が上焦(胸膈)に鬱滞した場合(虚煩)は梔子豉湯にて治療することが傷寒論の要旨です。

白虎加人参湯は白虎湯に益気生津の人参を加えたものです。傷寒論に忠実に記載すれば、白虎加人参湯証は大熱、大汗、大煩渇、欲飲水数升、背微悪寒、舌質紅、舌苔乾燥白、或いは黄燥、脈洪大やや無力あるいは浮滑となります。八綱弁証で表現すれば、陽明経燥熱実症と気津損傷が加わった虚実挟雑症です。したがって、清熱生津、透表駆邪、益気養陰をはかるのです。ただし、この人参は、性質が涼で、生津の作用をもつ西洋参或いは平の党参が適しています。もちろん紅参は不適でしょう。白虎加人参湯が発展したものが玉女煎(ぎょくじょせん)です。専門的には胃熱陰虚の虚火性の歯痛や口臭に、清胃滋陰作用によって症状を軽減させます。

  玉女煎(ぎょくじょせん)

  石膏 生地黄 牛膝 麦門冬


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