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アトピー性皮膚炎  パソコン打ち出し方式の処方は試行停止か?漢方治療第21報

2014-08-12 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

そろそろ読者も飽きて来られたころでしょう。皮膚科の症例はヴィジュアルな判定が一般の方でも無理なく可能ですから、できるだけ写真を載せて、漢方(中医学治療)の治療開始前(ビフォー)と治療後(アフター)の比較を読者にご覧になって頂きたいと思います。

 

前報(第20報)のビフォー アフターを追加します。

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ビフォー(上)

 

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アフター(上)

 

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ビフォー(上)

 

10

 

アフター(上)

 

 

他の症例に移りましょう。17歳女性、無月経とアトピー性皮膚炎が主訴でした。

 

ビフォー(写真下4枚)

 

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アフター(写真下4枚) 一目瞭然の改善ですね。

 

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生理も順暢に来潮するようになりました。

 

さて、私がよくお話する弁証論治と随症加減ですが、漢方的な診断を下して、その証に対して治療することが、弁証論治です。基本的な弁証論治の上に、季節性、環境性、特に女性の場合には、精神的、生理周期などから、症状が変化します。その症状に対して、生薬の配伍を変えて行くのが随症加減です。

 

上記症例の手書き処方箋の一部をご覧ください。(写真下)

 

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芦根(甘寒 生津、清熱止渇)や土茯苓(菝葜 山帰来と同じ、甘淡/平 清熱解毒除湿利関節)などを加味していますね。この処方箋は診療途中のもので、原方から去る生薬もあります。つまり加減です。

 

 

 

以前の報告で、パソコン打ち出しの処方箋の問題点として、生薬のダブり、使用を慎むべき薬剤の混入を指摘しました。(後でゆっくりとご覧ください

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120710

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120713

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120719

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120722

 

弁証論治の苦手な現代日本の漢方医は一字一句「傷寒論」「金匱要略」を精読しているのか、疲れ果てて、そこから先へは思考停止状態になっていることが多いようです。アトピーに限って論ずれば、大昔と比較して現代に多発しているのは何故なのか?食品、大気、水といった基本的に生存に必要な物質の汚染、環境中の化学物質の増加、人間の遺伝子的な変化など、山ほど考察を深めなくてはならないことがあります。思考停止の状態で古典論にしがみついてはならないと思う訳です。

 

効率化、簡便化はよろしくない

 

近年、日本の漢方医はキイを一つ叩くだけで、グループ別生薬群を打ち出すようになってきました。瘀血には○○○、冷えると患者が訴えれば△△△、便秘傾向があれば□□□などというセット処方です。問題は「横の繋がりの中での相互関係を無視」する結果になっていることがままあるということです。アトピー診療の中でも良く見かけます。なるほどキイを打てば、漢字で書くよりはるかに簡単で時間もかからず、見栄えがよく、保険の請求も簡単です。しかし、これこそ思考停止そのものではないのでしょうか?果たして医者自身がデータベースを入力したとは想像できませんが、データベースを登録した段階から一歩も思考の発達が無いようです。

 

再度、パソコン打ち出しの処方箋をご紹介します。肩こり、全身の痒みや膨疹(蕁麻疹様)に悩まされている中年女性に対しての某医の処方箋です。(写真下)

 

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私が記載した×印は炮附子(辛 補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)であり、痒みや赤みを伴う膨疹には禁忌です。黄色部分は順に、人参黄耆(補気昇陽、固表止汗、托毒排膿生肌、利水退腫)で補気薬の代表ですが、痒みのある場合には避けるべき薬剤です。桂皮肉桂(温裏散寒、補火助陽、引火帰源)と同じで、同様に禁忌です。生姜も避けるべきでしょう。細辛は温熱薬ですから、痒みや赤みが生じてきたら除くべきです。乾姜も強い温裏作用がありますから生姜より禁忌になります。桂枝(発汗解表、温通通陽、袪風寒湿邪、温経通絡)と桂皮を混同しているようです。もし桂皮であれば禁忌薬のダブりとなります。 追加処方されている桂枝茯苓丸です。本来は桂枝茯苓丸中のシャクヤクは赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)なのですが、ただの白芍(養血斂陰)のシャクヤクなのでしょうか?温熱薬は、微温薬はオレンジ、平薬はグリーン、涼薬はライトブルー、寒薬はブルーで記載してあります。

 

患者さんが体調不良を訴えて処方医に尋ねても、説明してくれず、次のような当院看護師のメモになりました。そして初診となりました。(写真下)

 

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赤で麻黄と記載したのは私です。全身の痒みで傷だらけの状態に、辛温の麻黄は避けるべき薬剤です。

越婢加朮湯(金匱要略):麻黄 石膏 甘草 大棗 生姜 白朮 処方中の麻黄は、宣散肺気、発汗解表に働き、表にある水気を取ります。白朮は(補気健脾、燥湿利水、止汗安胎)燥の性質があります。いくら石膏の清熱瀉火剤が配伍されていて辛涼解表剤とは言え、弁証すら疑問の多い処方箋と言えるでしょう。つまり、処方医は玄人ならずズブの素人です。

 

 

きちんと、勉学を積んだ漢方医とは雲泥の差を感じます。好意的解釈をしようとしても、全く訳のわからない、この程度の自称漢方医が多いのが現状です。本場の中医からすれば「初心者マークを標榜しなさい」と揶揄されるのは悔しいですが反駁できないのが現実です。

 

 

 

ドクター康仁拝

 

2014812日(火)

 

 


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