血熱型(熱毒型)アトピーの症例
初診時 顔面腫腫
足関節まで腫脹
後頚部 腰部の新旧入り混じるアトピー
「血熱」の定義は中医学ではある程度決定されているが、たぶんに感覚的なものであり、
目で見て「赤」「腫脹」
触ってみて「熱」
たずねてみて「口渇」「便秘」
などであり、皮膚科領域での診断と治療応用が多い。
外感熱病に対する抗生剤、補液療法が発達している現代では、
皮膚科領域の「血熱」は「感覚的」に捉えやすいと言える。
いずれ症例を報告します。
予定:血熱型重症アトピーの臨床 写真付 Coming Soon. と、
前回の「賢人も拳参、玄参間違える」で述べました。
復習になりますが、血熱型アトピー
およそアトピー性皮膚炎は湿熱型がもっとも多く、血熱型は比較的少ない。血熱型が悪化し熱毒型に移行する場合もある。他に血虚型がある。見た目の違いでおおよその見当はつく。
湿熱型は、顔面や頭皮に湿った病変、肘や膝関節部の苔癬化病変、胃もたれしやすい 悪心嘔吐 軟便下痢を伴う場合があるなどの特徴がある。陰股部の湿疹や、女性の場合、黄色の帯下がある場合もある。黄芩 黄連 山梔子 黄柏などの清熱解毒燥湿薬に、沢潟 車前子 竜胆草などの清熱利尿の作用がある薬剤を加味し、湿熱を尿から排泄させる。さらに、当帰 白芍 熟地黄 などの滋陰養血剤を加味し、?芥 防風などの祛風剤を配合し、痒みを除く。皮膚に水ぶくれや、かきむしったために糜爛などが生じている重症型には金銀花 馬歯莧 魚腥草などを加味する。
問題の血熱型は、湿熱タイプに比べ、紅斑や皮膚の発赤が著しい場合であり、口渇や不眠を合併することもあり、女性の場合には月経先期なども合併する。黄芩 黄蓮 山梔子 黄柏などの清熱解毒薬に、生地黄 牡丹皮 玄参などの清熱涼血作用のある薬剤を加え、血熱を清める。さらに、熟地 川芎 当帰 白芍などの養血活血作用のある薬剤、あるいは涼血活血作用の丹参や益母草を加え、陰血を養い、淤血を除く。?芥 防風などの祛風剤を配合し、痒みを除くのは湿熱タイプと同じである。皮膚の乾燥傾向がある場合は滋陰作用のある天花粉、土鼈甲と同様に玄参も有効である。全部は、保険が利かないのが難点。
さて、4週後の所見を報告します。
顔面、足間接の発赤、腫脹は激減
後頚部 腰部も発赤疹消失、やや古い発疹も消失
現在は色素沈着を残さない治療にシフトしています。
清熱解毒 清熱涼血 兼 活血 滋陰清熱 兼 潤膚 養陰血去風止痒 症例によっては 泄熱通便 症例によっては白花蛇舌草 半枝蓮などを免疫調整目的に使います。
以上がキイワードになります。
慈、 滋 どちらでもいいと思うのですが、伝統的には後者の漢字を使います。 滋陰降火、滋養 の如くです。
ドクター康仁 記
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