患者:楊某 9歳 男児
初診年月日:1992年10月23日
主訴:浮腫反復発作三年間
病歴:
ネフローゼ症候群病歴3年、反復発作4回。今回は1ヶ月前、外感後に双下肢と顔面に浮腫が出現、尿少、現地の病院で副腎皮質ステロイド(プレドニゾン)45mg/dを既に4週投与受け、浮腫は消退したが尿蛋白(4+)。
初診時所見:
腰痛腰酸、倦怠乏力、手足心熱、口干口渇、尿黄泡沫有り、舌淡尖紅、白苔あり、脈滑数。尿蛋白(3+)、RBC(-)、血清総蛋白4.7g/dL、アルブミン2.0g/dL、総コレステロール6.5mmol/L(251mg/dL)、トリグリセリド2.5mmol/L(212mg/dL)。
中医弁証:気陰両虚、湿熱内蘊
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:益気養陰、清利湿熱
方薬:清心蓮子飲加減:
黄蓍30g 党参20g 生山薬24g 白朮15g 菟絲子20g 麦門冬15g 土茯苓20g 萆薢20g 白花蛇舌草30g 益母草30g 赤芍15g 石蓮子15g 甘草10g
30剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
二診:1992年11月22日。
上方を服薬すること1ヶ月、尿は淡黄になり、泡沫は減少、倦怠乏力は減軽、腰痛腰酸は消失した。患者は今までの反復発作で何度もステロイドを服用し、自分で無効と判断し既に停薬していた。
尿蛋白11月6日(4+)、11月14日(3+)、11月22日(2+)、病情は明らかに好転し、前方を継続服用治療とした。
方薬:清心蓮子飲加減:
黄蓍30g 党参20g 生山薬24g 白朮15g 菟絲子20g 麦門冬15g 土茯苓20g 萆薢20g 白花蛇舌草30g 益母草30g 赤芍15g 石蓮子15g 甘草10g
30剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
三診:1992年12月22日
尿蛋白±、患者は手足の軽度の熱感を除いては、無症状となった。前方を守り、継続服用とした。
方薬:清心蓮子飲加減:
黄蓍30g 党参20g 生山薬24g 白朮15g 菟絲子20g 麦門冬15g 土茯苓20g 萆薢20g 白花蛇舌草(清熱解毒利湿 免疫調整)30g 益母草(活血利水消腫)30g 赤芍(涼血活血)15g 石蓮子(益腎固渋 収斂止血 清心火)15g 甘草10g
30剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
四診:1993年1月22日
患者は連続4週間の尿検査で尿蛋白陰性、自覚症状無く、臨床的に緩解した。
1年後に再診 再発は無い。
ドクター康仁の印象
原文では清心蓮子飲と記載されていますが、加減の方が適切でしょう。
上海時代には、参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)と続けて暗記しました。
太平恵民和剤局方の清心蓮子飲の組成は黄芩 麦門冬 地骨皮 車前子 甘草 蓮子 茯苓 黄蓍 人参であり、功能は益気滋陰、清心火、主治は心火上炎、気陰両虚です。
原典では石蓮子が君薬です。参蓍、茯苓車前子で益気健脾、利水、麦門冬 地骨皮で養陰退虚熱、石蓮子で清心火 益腎固渋となります。本案では茯苓、車前子、黄芩を去り益母草(涼血活血利水消腫)、赤芍(涼血活血)、土茯苓 萆薢 白花蛇舌草(清熱解毒泄濁 免疫調整)と健脾白朮が加味されています。
しばらく、清心蓮子飲の加減について連続してご紹介するつもりです。
2014年1月18日(土)
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