患者:唐某 10歳 男児
初診年月日:2001年5月15日
主訴:浮腫反復発作一ヶ月
病歴:
ネフローゼ症候群一ヶ月余、ステロイドホルモン等治療を経て、浮腫は既に消えたが、尿蛋白3+で不減、血清蛋白低、血脂高。
初診時所見:
眼瞼軽度浮腫、面色皓白、尿量1500~2000ml程度、身倦乏力、大便溏、腹張満、舌苔白、脈沈弱。
中医弁証:脾虚清陽不昇
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:補気健脾胃、昇陽除湿
方薬:昇陽益胃湯加減:
黄耆40g 党参20g 白朮15g 黄連10g 半夏15g 陳皮15g 茯苓15g 澤瀉15g 防風15g 羌活15g 独活15g 柴胡15g 白芍15g 生姜15g 大棗5g(ここまでは前案23歳男性の症例と配伍も薬剤の量も同じですが、柴胡は配伍されています。前案と同じく甘草の配伍はありません。大棗5gという記載は中医案では見たことがありません。5gではなく5個の誤植でしょう。)山薬15g 薏苡仁15g 石蓮子15g
14剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。
二診 2001年5月29日
尿蛋白+~2+、全身有力を自覚する。大便は形になり便溏は軽減、この方薬加減で更に40余剤。尿蛋白転陰、血清蛋白正常値に回復、かくして全快した。
ドクター康仁の印象
(益腎固渋 収斂止血 清心火)の石蓮子が加味されましたね。健脾の山薬、利水滲湿健脾の薏苡仁は素直な感じで受け止められますが、石蓮子は清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)の君薬ですね。氏は、気虚症状は残存しているが、陰虚症状は無いか、あるいは軽いと弁証したのかもしれません。実際の臨床では日本人は気陰両虚が多い印象があります。
気は血を生み、津血同源の基礎理論からすれば、軽い陰虚があっても、補気益気を続ければやがては陰虚も改善する訳ですね。単純に益腎固渋のみの目的で石蓮子が加味されたのかもしれません。
どうでしたか益気昇陽湯加味治療、効きそうですか。中医臨床医を自称している方々のご意見を承りたいと思います。
「この方薬加減で更に40余剤。尿蛋白転陰、血清蛋白正常値に回復、かくして全快」方薬加減40剤の加減の中身も知りたいですね。
2014年2月2日(日)
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