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慢性腎炎の漢方治療 第91報 紫斑病性腎炎の漢方治療 医案12

2013-04-05 00:15:00 | ブログ

杜雨茂氏医案 腎陰欠損 熱毒壅盛 湿阻血瘀案

(奇難病臨床指南より)

非常に面白い漢方救急医案です。

患者:馬某 10歳 女児 蘭州の空軍司令部在住

初診年月日

19861221日。 患者が受診した訳じゃなくて、家長からの速達便の手紙での受診である。

病歴:書簡によれば、

「両方の下肢に紫斑が1月余り、大量の腹水がありまして、蛋白尿は20日余ですわ」

この手紙が届く約一ヶ月と一週前の、19861115日、患児は突然全身性皮疹が突発し、治療にて一旦は消失した。疲労が重なった後に両下肢の膝から下に、大小不同の紫斑が生じ、大きいものは1.5cmx1.5cm、小さいものは針先大で、密集して分布しており、すぐに某医院に受診して入院となった。「過敏性紫斑病性腎炎」の診断を受けた。

「そいで、先に副腎皮質ステロイドと中薬治療を2週間受けましてん、けど、病状は却って急に悪うなりまして、大量の腹水と、小便が出ませんのや(400ml/24h未満)、体重は前の5日間で4kgも増えましてん。尿蛋白(3+)、クレアチニンも上がって2.1mg/dlになってですな、病院から危ないかもしれんと通知がきましたや。急行特急看護と救急処置受けましたんやけど、病状はコントロール不能ですわ」

特別に(高)名を慕って、治療法を求めて書簡になったのである。書簡の内容を根拠にし、分析すれば、

初診時診断

血分に熱毒が蘊結し、腎陰を消耗し、水湿不化となり、(熱毒と湿が)下焦に阻滞し、(血が水湿が)肌膚に泛溢するに到ったものである。

治則

涼血解毒 利水化湿 滋腎を補佐とする。

処方

生地9g 白芍8g 粉牡丹皮8g 山茱萸6g 茯苓12g 澤瀉12g 槐花5g 白茅根30g 生益母草25g 小葉石葦9g 旱蓮草8g 沈香(じんこう:辛苦温)2g(後下)。水煎服用 1日1~2剤

患児を見れば既にヒトに見えず、腹は太鼓のように膨れ、虫の息であり、家族は早速、薬(上方)を買い求め、急いで煎じ、一縷の功能を希求したのである。

経過1228日 蘭州からの電報を受け取る

「ごっつぅ 感謝ですわ。最初の1剤飲んで4時間で娘の小便急に増えましたん、小一時間で便と赤い小便が約700ml出ましてん、腹水が見る間に消えたんですわ、4剤飲んだら、意識レベルも良うなりまして、尿蛋白は2+まで下がりました。あの肉眼的な血尿は消えました。血圧もやや下がり、特別看護の危篤状態を撤廃したるという通知来ましてん。おおきに、なんと言ってお礼したらいいのか」

それで、上方に大小薊12gを加え、生地 白芍を増量し、各10gとし、益母草30gとして、継続服用(するように伝えた)。

1987116日電話あり

13剤飲んだら、浮腫みがのうなりました。尿蛋白は1+、尿の赤血球2+、血圧も下がりました、食欲もようなってきました。おおきに、なんと言ってお礼したらいいのか解りまへん、んで、先生!次はどないしたらいいんでっしゃろ?」

すぐに、以下を処方

当帰8g 生地9g 猪苓10g 澤瀉10g 茯苓12g 車前子9g 旱蓮草8g 生益母草25g 白茅根30g 連翹12g 槐花6g 山茱萸6g 小葉石葦9g 粉牡丹皮8g 毎日1剤、清水を以って煎じ服用のこと。

経過:上方をやや加減し、1987217日まで服用させた。

再度の電話報告

「おかげ様で、最近は病状が安定して、かたまりつつありますわ。蛋白は微量、赤血球も0~3/高倍視野、血圧17.4/10.7kPa(キロパスカル)(130.5/80.3mmH)で安定しました、ホンマにパスカルでタスカル極みで、どないなお礼したらええのか?んで、先生、次はどないな加減で?」

上方から当帰 車前子 丹皮を去り、薏苡仁12gを加え、水煎服用、毎日1剤、(と記載して手紙を送った)

経過

上方を416日まで服用、諸症は消失、尿検査正常、全快したと告げた。

自分で配合した滋陰腎Ⅱ号錠を(郵送で)与え、治療効果を固めた。

1988年、1991年と追跡調査し、一切正常であった。

評析

弁証を根拠に、標本兼治すると、先ず、涼血解毒を主として滋腎を(補)左とする、

方中、

生地 牡丹皮 白芍 槐花 旱蓮草は滋補腎陰、涼血解毒に、生地 牡丹皮は善く養血涼血止血に作用し、また活血散瘀解毒を兼ね、生益母草を補佐として利尿消腫が可能であり、また血分に入り、散瘀、通絡清熱する。

山茱萸は滋補肝腎、養陰制火に働き、同時に渋精止漏にも作用し、尿蛋白を消除、化気行水、同時に諸薬の寒性が陽を傷つける弊を予防する。

4剤後に涼血止血の大小薊を加えたるは、益腎涼血の薬物を増量し、邪気が散するを待って、滋陰益腎を治療の主として治療効果を固めたのである。

ドクター康仁の印象

滋陰腎Ⅱ号錠の組成については知りません。益気養陰補肝腎が基本思想でしょう。

御蔭様(おかげさま)でという言葉が、御影様に聞こえるように精進したいものです。私の医院は神戸市東灘区御影(みかげ)にあります。

Photo_2

昔昔、上海留学中に曙光病院に隣接する食堂で100食以上腹にした蘭州牛肉麺です。当時は大盛り4元40円程度でしたか。パクチーの香が懐かしい。

(写真 wikipediaより)

201345日 記


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