本日の漢方市民講座でも、張琪氏の糖尿病性腎症の弁証論治をご紹介します。飽きないで、漢方治療の実際をご覧になって下さい。( )内に随時、コメントを入れます。医案に進みましょう。
患者:王某、61歳 男性
初診年月日:2005年5月29日
主訴:糖尿病歴20余年、腰酸乏力一年。
病歴:
糖尿病歴20余年、2年前尿蛋白が出現2+、腰酸乏力一年、系統的な治療を受けていない。近日中薬湯一ヶ月、腰酸乏力加重を自覚、Cre402μmol/L(4.54mg/dL)、さらなる治療を求め氏を受診。
初診時所見:
近日体が痩せてきた。眼瞼浮腫あり、身熱を自覚する、舌辺紫、脈象沈。
中医弁証:虚労、脾腎両虚、濁毒内蘊
西医診断:糖尿病性腎症、慢性腎不全(失代償期)
治法:補腎健脾、活血化濁
方薬:
熟地黄20g 枸杞子20g 何首烏20g 巴戟天(補腎助陽、袪風除湿)20g 胡芦巴(温腎助陽、逐寒湿)25g 太子参(生津益気)25g 茯苓20g 白朮20g 大黄10g 草果仁15g 紫蘇20g 砂仁(化湿行気和中)70g 黄芩15g 黄連15g澤瀉20g 土茯苓50g 薏苡仁25g 益母草30g 葛根20g
水煎服用、毎日2回に分服
(草果仁は氏が愛用する脾胃の寒湿を除く辛温壮烈な性質を持つ生薬です。湿濁を化熱させる可能性も有りますが、苦寒大黄にて泄熱し、化熱を防止する組み合わせとも考えられます。それにしても砂仁の70gにはビックリしました。何かの間違いでしょう。)
二診:2005年6月29日
患者嗜眠4h/d(日中眠る)、入睡困難、腹部多汗、手足麻(手足がしびれる)、下肢攣急(下肢のこむら返りがある)、胃痛、時に軽度の悪心あり、食欲尚可、大便3回/日、量少、質軟。舌紫、脈滑。尿蛋白3+、尿潜血+、尿RBC2~4個/HP。総コレステロール8.10mmol/L(313.47mg/dL)、トリグリセリド1.73mmol/L(147.05mg/dL)、BUN20.86mmol/L(125.16mg/dL)、Cre372.8μmol/L(4.21mg/dL)。治療は清熱降逆止嘔、活血降濁、補腎を補佐として、半夏瀉心湯加味を行う。
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