腎病の漢方治療について1年余続けていましたが、一旦、区切りをつけて、2年前に戻り、アトピー性皮膚炎のその後の臨床経験についてご報告します。11報とした理由は、2012年7月30日までに10報を記載したからです。<o:p></o:p>
患者:25歳 神○○之 初診年月日 2014年1月6日 主訴:アトピー性皮膚炎の悪化。<o:p></o:p>
初診時までの治療経過:某漢方クリニックで写真のような処方薬を2013年2月18日より受け始め、症状が軽快せず悪化傾向が出現したため当院受診。
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顔面が赤く腫れ上がり、口回、頬、下顎部にはじくじくとした滲出性病変が観察される。頚部、前胸部の痒みが強く、色素沈着も強い。
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典型的な肘部湿疹(痒みのために引っかき傷が顕著)と体幹部の痒疹と色素沈着が目立つ。<o:p></o:p>
某漢方クリニックでの処方内容 以下<o:p></o:p>
意味不明の内容と断定します。矛盾点を挙げれば、補中益気湯(処方箋最下)の君薬は黄耆、臣薬は人参-健脾益気、白朮-健脾益気、炙甘草-健脾益気、次いで理気薬の陳皮、養血薬の当帰、昇挙清陽の升麻、柴胡です。処方箋の生薬部分を上から追えば、黄耆(オウギ)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)、柴胡(サイコ)という具合に、升麻を除き補中益気湯そのものであるにも関わらず、エキス剤として、再度、補中益気湯が加えられているのです。これほど、バカバカしい処方箋は稀です。補中益気、昇陽挙陥が効能である補中益気湯の証はどこにも無いのです。自汗、疲れやすい、面色が白っぽい、舌質淡、苔薄白などの脾胃気虚の証も、慢性の軟便や脱肛などの清陽下陥、中気下陥の証も無い。次に疑問なのが祛風止痒剤の配伍が全く無いことです。ただちに中止するように言う。<o:p></o:p>
清熱解毒(燥湿)、祛風止痒、養陰潤膚の治療原則に沿って、治療開始3週間後の所見。
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治療継続4ヶ月後(上)。顔面の腫れ上がりは大いに改善、口回、頬、下顎部の滲出性病変の消失。顔面の炎症性浮腫が改善した。腫れが引いて顔が小さくなっているのが一目了然。<o:p></o:p>
アトピー性皮膚炎の漢方治療では使用すべきでない薬剤と目的別に使用すべき薬剤があります。<o:p></o:p>
以前の2012年7月10日の記事をご参照ください。<o:p></o:p>
アトピー性皮膚炎:中国での生薬の使用状況<o:p></o:p>
http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120710<o:p></o:p>
使用すべきでない薬剤がご理解いただけると思います。青年は本来血気盛んなのです。補気薬を重ねて服用させれば、気の余りは熱に変化するのです。<o:p></o:p>
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ドクター康仁<o:p></o:p>
2014年7月18日 記<o:p></o:p>
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