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卵巣がんの漢方治療 続編

2006-11-11 11:31:11 | うんちく・小ネタ

手術後に再発を予防する漢方生薬

漢方抗がん生薬の使われる時期

卵巣がんの術後には、西洋抗がん剤による強力な化学療法を行うのが常である。この時期の漢方療法は、西洋抗がん剤と一緒になって、癌細胞を殺傷する抗がん生薬を使わないのが普通である。西洋抗がん薬の副作用を軽減することや、骨髄抑制を防止、あるいは骨髄抑制からの早期の回復を漢方治療で行う。もちろん、西洋抗がん剤が効きにくいタイプの卵巣がんに対しては、同時に使う場合もある。

抗がん生薬を使い始めるのは、むしろ、西洋医学の抗がん剤治療の合間、あるいは、何クールかの抗がん剤投与が終了して、「やれるだけの抗がん剤の治療は終わりました。あとは様子を見ましょう。再発するかも知れないし、再発しないかも知れない。定期健診を忘れずに」と主治医に言われて、なにやらほっとした反面、将来の不安がぬぐいきれないという言わば「病院を離れてある程度自由になった時」から、本格的な漢方抗がん生薬を使い始める。

卵巣がんに使われる漢方抗がん生薬

白花蛇舌草、半枝蓮、夏枯草、山慈姑、半辺蓮、拳参、土茯苓、黄薬子、楼根、露蜂房、龍葵、威霊仙などがある

これらの薬剤は、西洋医学的な抗がん剤に近い薬物である。その意味で、毒性や中毒反応も十分に予想される薬剤である。中国医学のすばらしいところは、これらの薬剤(抗がん生薬)だけの組み合わせにしないで、免疫力をアップする補気薬、血液を増加させる養血薬、血(おけつ)を除く活血薬、癌体質である陰虚を補正する補陰薬、気の流れを良くする理気薬、体を温める温裏薬などを、おのおのの患者さんの体質に合わせて、種々の生薬を同時に配合することである。

もし、抗がん生薬のみの組み合わせの薬湯を服用すれば、胃腸障害も生じやすいし、体の免疫力も低下することになる。そうなってしまえば、癌の再発を防止する働きを持つ生体側の免疫システムを却って損ねてしまうからだ。

抗がん生薬と一緒に服用する大切な漢方薬

前回紹介した、上海の王○○さんはStage3cの卵巣がん術後、西洋抗がん剤治療の後でも、漢方抗がん生薬を服用した。漢方抗がん生薬と同時に彼女が服用した大切な漢方薬をご紹介する。

ロシア産あるいは中国長白山産出の野山人参、天然紫霊芝および霊芝胞子粉、チベット産冬虫夏草、莪?、郁金、牛黄(牛の胆石)、何首烏、枸杞子である。

野山人参、霊芝および霊芝胞子粉、冬虫夏草は代表的な免疫力を増強させる薬剤であり、莪?、郁金はそれ自体抑癌作用のある活血行気薬(血液をさらさらにするとともに、気のめぐりを良くする組み合わせ)であり、牛黄(牛の胆石)は清熱解毒作用とともに体内の異常な「痰」を除くものである。西洋抗がん剤による脱毛の回復に養血剤である何首烏を服用し、さらに陰虚体質を枸杞子で補正改善した。

彼女にとって、腫瘤科(ガン治療部)に知人の教授がいたのは幸いであったが、忠実に、食事療法を守り、漢方薬を飲み続けた彼女の素直さに私は驚いた。これもお国柄の違いなのだろうか?

                       続く