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ネフローゼ症候群 麻辛附子桂甘姜棗湯(ましんぶしけいかんきょうそうとう)加減治療 張琪氏漢方治療2(

2014-01-24 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

患者:趙某 28歳 女性

初診年月日:1984年5月6日。

主訴:反復性浮腫1年余。

病歴:患者はネフローゼ症候群1年余、副腎皮質ステロイド治療の効果不十分。

初診時所見

全身浮腫、頭部から顔面頚部に比較的甚だしい、24時間尿量300ml程度、面色蒼白無華、形寒肢冷、全身酸痛。尿蛋白3+、顆粒円柱1~2個/LP、血清蛋白4.2/dL、アルブミン2.3/dL、総コレステロール10.1mmol/L390.9m/dL)。脈沈、舌潤苔滑。

中医弁証:属肺腎陽虚、肺失通調、腎失開

西医診断:ネフローゼ症候群

治法:宣肺温腎利水法

方薬麻辛附子桂甘姜棗湯

麻黄15g 附子15g 細辛5g 桂枝15g 甘草10g 生姜15g 益母草50g 川椒15g 紅棗3

三剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

(付記:原方に活血利水消腫の益母草と温裏散寒の川椒が配伍されています。少し観念的表現ですが、水瘀互阻という感覚から益母草が配伍されたものと思います。川椒には温中燥湿の効能があるために、寒証の利水効果が期待できますね。)

二診 1984年5月9日。

服薬3剤で尿量増多、24時間尿量約1500ml。前方を継続。

方薬麻辛附子桂甘姜棗湯

麻黄15g 附子15g 細辛5g 桂枝15g 甘草10g 生姜15g 益母草50g 川椒15g 紅棗3

5剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

三診 1984514日。

継続服用5剤で水腫は全消、形寒肢冷減軽、全身酸痛消失、尿蛋白2+、顆粒円柱(-)、ただし全身乏力、腹張納呆、腰酸腰痛、脈沈緩。

益気健脾利湿を以って治療する。

張氏経験法 方薬:

生黄耆30g 白朮20g 茯苓20g 澤瀉15g 猪苓15g 紫蘇15g 砂仁(化湿行気和中)10g 檳榔(行気利水消積殺虫)15g 大腹皮下気寛中、行水消腫、止瀉)15g 木香行気止痛、健脾消食、止瀉)7g 木瓜(酸/温 行気止痛、健脾消食、止瀉、平肝舒筋、和中袪湿)15

30剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

四診 1984614

患者連続服用上方30余剤、尿蛋白±、血清総蛋白6.8/dL、アルブミン3.4/dL、総コレステロール4.8mmol/L185.8m/dL)。患者は快癒し、退院後は益気健脾補腎の法による方薬を継続服用した。現在に至るまで8年間の追跡調査でネフローゼ症候群の再発は無く、治療効果が固められた。

ドクター康仁の印象

初診から8剤の宣肺温腎利水法の麻辛附子桂甘姜棗湯加味方で寒証は除かれ、利尿がつき、陽虚症が減軽し、浮腫も消失しました。乏尿の急場を凌いだわけです。

肺失通調とは肺の通調水道作用が失われたことを意味します。

再度、肺の中医学的生理論をご覧下さい。

http://kojindou.no-blog.jp/happykanpo/cat12325512/

ところが、三診では、全身乏力、腹張納呆、腰酸腰痛、脈沈緩などの脾腎の気虚症状が表面に現れてきました。気虚になれば水湿の運化は低下し、湿邪はさらに脾を困らせ、結果さらに気虚が悪化するという悪循環になります。気滞水停に陥ります。そこで、益気健脾利湿法を氏が採用したわけですね。檳榔、大腹皮などは行気利水の効能があります。四診からは補腎法を加え治療効果を固めたわけです。見事な治療結果でした。

2014124日(金)


ネフローゼ症候群 麻辛附子桂甘姜棗湯(ましんぶしけいかんきょうそうとう)加減治療 張琪氏漢方治療1(

2014-01-23 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

麻辛附子甘姜棗の読み方から始めましょう。麻黄の「ま」、細辛の「しん」、附子はそのまま「ぶし」、桂枝の「けい」、甘草の「かん」、生姜の「きょう」、大棗の「そう」で、続けて「ましんぶしけいかんきょうそう」と日本語では発音します。麻黄 附子 細辛から成る麻黄附子細辛湯は日本でもエキス剤があります。桂枝、甘草、生姜、大棗を加味した名称になっていますので覚えやすいでしょう。

医案中に私の印象を付記します。

患者:張某 19

初診年月日200114

主訴:水腫反復発作2年余

病歴

ネフローゼ症候群病歴2年余、水腫反復発作。近日感冒により水腫再発。

初診時所見

全身の四肢関節酸痛、悪寒発熱、咳嗽、小便不利、頭部から顔面の浮腫、舌苔白、脈沈滑、尿蛋白3~4+。

中医弁証:風寒犯肺、肺気不宣、脾腎陽虚

付記:顔面皓白などの陽虚証を伴っていたのでしょう。

西医診断:ネフローゼ症候群

治法:宣肺解表温陽利水

方薬麻辛附子桂甘姜棗湯

麻黄15g 細辛5g 附子片15g 蒼朮15g 杏仁15g 生石膏50g 生姜15g 紅棗5個 玉米須(ぎょくべいしゅ 利水消腫 退黄)50

三剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

付記:原典の金匱要略の麻辛附子桂甘姜棗湯から桂枝を除き、清熱瀉火の生石膏、利水消腫の玉米須、止咳平喘の杏仁、燥湿健脾の蒼朮が加味された組成になっています。麻黄と言えば、発汗解表だけではなく、宣肺利水消腫作用も見逃せませんね。ちなみに、麻黄 杏仁 甘草は止咳平喘の三拗湯(さんようとう)になります。桂枝を除いた理由は過度に発汗させる必要が無いと氏は判断したのでしょうか。或いは製本の段階で脱落したのかも知れません。

二診 200117日。

服薬3剤で尿量増加、24時間尿量は150mlから2000mlまで増加、水腫は消退、咳嗽悪寒発熱四肢関節痛は均しく除かれた。この後、加味清心蓮子飲治療2ヶ月行う。

付記:たった3日で尿量が増加、浮腫が消退する、宣肺清熱温腎利水法が功を奏したわけです。

方薬加味清心蓮子飲

黄耆30g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 黄芩15g 土茯苓20g 麦門冬15g 車前子15g 白花蛇舌草50g 甘草10

60剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

三診 200137

尿蛋白は4+から±へ、氏の病院製の清心蓮子丸にて、継続治療4ヶ月、尿蛋白は転陰し、自覚症状無し、体力増強、引き続き治療効果を固めた。

ドクター康仁の印象

初診時の所見は、「肺気不宣、水湿不得下行、肌膚に溢れ、風水を成す」という中医理論そのままです。肺の中医学的生理に関しては、西洋医学とは趣を異にしています。以前の記事を熟読して理解を深めてください。

要薬考 No10 白前 前胡 紫菀 款冬花 旋覆花

http://kojindou.no-blog.jp/happykanpo/cat12325512/

国際中医師免許をすでにお持ちの日本人でも忘れていることが多いと気が付くはずです。一般の読者は軽くご覧になる程度で結構です。

初診から3日で急場を凌いだわけです。

二診から、清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)加味が投与されています。氏は気陰両虚、湿熱内蘊が本来の姿であると弁証したのでしょう。柴胡(疏肝理気解熱)、土茯苓(清熱解毒泄濁)、白花蛇舌草(清熱解毒利湿 免疫調整)の加味となった訳ですね。

2014123日(木)


ネフローゼ症候群 清心蓮子飲加減治療 張琪氏漢方治療5(腎病漢方治療243報)

2014-01-22 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

患者:姜某 47歳 男性

初診年月日19901120日。

主訴:蛋白尿1年余

病歴

患者はネフローゼ症候群を患うこと1年余、ステロイド治療により、尿蛋白は一時転陰したが、ステロイドの減量中に再発、病情が加重し、尿蛋白(3~4+)が持続し半年余消失しない。

初診時所見

腰酸腰痛、気短乏力、手足心熱、口干咽干、尿黄赤、眼瞼軽度浮腫、脈滑、舌苔白、血清総蛋白3.9/dL、アルブミン2.2g/dL、グロブリン1.7g/dL、血清総コレステロール10.1mmol/L390.9m/dL)、腎機能、血圧正常。

中医弁証:気陰両虚兼湿熱下注

西医診断:ネフローゼ症候群

治法:益気養陰兼清利湿熱

方薬:清心蓮子飲加減:

黄蓍30g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 菟絲子20g 柴胡15g 茯苓15g 黄芩15g 麦門冬15g 車前子15g 白花蛇舌草50g 益母草30g 甘草10g 土茯苓20g

7剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用

二、三、四、五診

連続4回再診、前方を服用30余剤、諸症は顕著に好転、体力増強、尿蛋白1+。

六診 19911227日。

偶に腰酸を覚える他に自覚症状無し、諸症消失、尿蛋白は続けて2回陰性、血清総蛋白6.8/dL、グロブリン3.0g.dL、総コレステロール4.4mmol/L170.3m/dL)、完全緩解した。追跡調査一年来再発無し。

ドクター康仁の印象

素晴らしい治療効果でしたが、今回も、しつこく、清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)の今回の加減を分析してみましょう。菟絲子(補腎陽)が加味されています。柴胡の加味も目立ちますが、柴胡(疏肝理気 解熱)はともかくも、黄芩と一緒になる小柴胡湯の方意は感じられません。白花蛇舌草50gとは大量ですね。前案では二診の方薬から除かれた白花蛇舌草が50gと大量に配伍されていること、活血利水消腫の益母草が配伍されており、氏がいつもカップルで使用している土茯苓 萆薢のカップルの萆薢の配伍が無いことで、結論は、お恥ずかしい話ですが、解析困難ということです。本案は1990年の医案で、近年のそれは2005年の症例です。張琪氏の方薬の進化と言えばそれまでですが、進化の数式が老いた頭では考えられないのです。何方か、頭脳明晰な解析をお願いしたいものです。

泣く子と地頭はなんとか誤魔化すことは出来ますが、老化には勝てません。

2014122日(水)


ネフローゼ症候群 清心蓮子飲加減治療 張琪氏漢方治療4(腎病漢方治療242報)

2014-01-21 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

患者:馬某 35歳 女性

初診年月日2006826日。

主訴:乏力二年間。

病歴

ネフローゼ症候群を2年余患い、ステロイド、シクロフォスファミドの投与を受けるが明らかな効果なく、中西薬治療を二年余受けた。尿蛋白は3+から減少しても2+程度。

初診時所見

近日僅かに感冒に罹り、軽度の咳嗽、咽部不快、明らかな浮腫は無く、全身乏力、双膝酸軟、腰酸、手足心熱、舌淡、脈象沈弱。血圧130/80mmHg。尿蛋白2+、血清総蛋白5.4/dL、アルブミン2.5g/dL、グロブリン2.9/dL

中医弁証:気陰両虚、挟熱邪。

西医診断:ネフローゼ症候群

方薬:清心蓮子飲加減:

黄蓍40g 太子参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 金銀花30g 連翹20g 白花蛇舌草30g 杏仁止咳平喘、潤腸通便)15g 牛蒡子疏散風熱、解毒透疹、利咽散腫)15g 黄芩15g 山薬20g 甘草15g

24剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用

二診 2006917日。

服薬24剤で、咳嗽、咽痛は共に癒え、全身は前に比べ明らかに有力、腰腿も前に比べ力量が増強した。尿検査数回、早朝尿蛋白+、午後には転陰した。血清蛋白は既に回復し正常値となり、脈象は前に比べ有力となった。

益気陰清熱を継続し、さらに補腎陰の剤を加えた。

方薬:清心蓮子飲加減:

生黄蓍50g 太子参20g 石蓮子1520g 地骨皮1520g 柴胡15g 茯苓1520g 麦門冬15g 車前子15g 熟地黄20g 山茱萸20g 山薬20g 金銀花30g 連翹20g 蒲公英30g 金桜子(酸渋/平 固精、縮尿、渋陽止瀉)20g 甘草15g

90剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用

三診 20061219日。

上方を服用するにつれ、患者は体力が回復して正常になるのを感じ、腰腿酸痛無く、血清蛋白は既に回復して正常範囲になり、体力活動が重なった場合に微量の蛋白尿が偶に出現する程度になり、仕事復帰していた。この患者はステロイド、シクロフォスファミド治療無効の難治性ネフローゼ症候群であったが、腎生検を検討したが、患者は受けなかった。

ドクター康仁の印象

再度、清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)の今回の加減を分析してみましょう。

初診時には外感咽痛咳嗽(外感風熱 肺気上逆)が合併していたので、金銀花30g 連翹20 杏仁止咳平喘、潤腸通便)15g 牛蒡子疏散風熱、解毒透疹、利咽散腫)15g 黄芩15gを配伍したものです。(黄芩は清心蓮子飲原典にも配伍されています)24剤(3週間服用)で、全身は前に比べ明らかに有力、腰腿も前に比べ力量が増強、尿検査数回、早朝尿蛋白+、午後には転陰。血清蛋白は既に回復し正常値と、予想以上?の効果が出現した訳です。

二診では、さらに治療効果を固める意味で、黄蓍は生黄蓍50gと大量に、石蓮子地骨皮はそれぞれ石蓮子1520g 地骨皮1520gと増量し、茯苓も茯苓1520gと増量しています。本虚に対する治療として補腎陰の熟地黄20g 山茱萸20gを加味し、益気健脾増強の目的で山薬20gを加味したことになるでしょう。初診時の外感咽痛咳嗽(外感風熱 肺気上逆)に対する金銀花30g 連翹20 杏仁15g 牛蒡子15g 黄芩15gの配伍から杏仁、牛蒡子、黄芩を除き、金銀花30g 連翹20を残し、蒲公英(清熱解毒利湿)を加味し、蛋白の尿中への漏れを固精する目的で金桜子が配伍された姿が二診の90剤(3ヶ月分)ということになります。

第一案から本案(三案)まで共通の白花蛇舌草は除かれていますね。代わりに蒲公英なのでしょうか?

清心蓮子飲加減については飽きもせず明日もご紹介いたします。

新妻のエイドリアンがロッキーに頼んだセンテンスを最後に。

「私を飽きないでね。」「清心蓮子飲を飽きないでね

2014121日(火)


ネフローゼ症候群 清心蓮子飲加減治療 張琪氏漢方治療2(腎病漢方治療240報)

2014-01-19 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

患者:譚某 27歳 女性

初診年月日20051011日。

主訴:全身無力を伴う顔面浮腫の反復発作6ヶ月

病歴

半年前、ハルピン医科大学付属病院に入院「ネフローゼ症候群」の診断を受け、尿蛋白3+、血圧160/100mmHg、甲?尼(メチルプレドニソロン)及び降圧剤の投与を受け、血圧は130/80mmHg、尿蛋白は一度は転陰、ステロイド減量6錠時に蛋白尿が再発、尿蛋白+~2+、シクロフォスファミドを加えたが無効、中医治療を求めて氏を受診。

初診時所見

顔面浮腫、全身乏力、尿色深黄。舌質淡、苔白、脈滑。尿蛋白2+、血清アルブミン低値。

中医弁証:気陰虚、湿熱内蘊。

西医診断:ネフローゼ症候群

治法:補脾腎之気陰、清利湿熱

方薬:加減清心蓮子飲:

生黄蓍40g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 金銀花30g 蒲公英30g 生山薬20g 熟地黄20g 山茱萸20g 芡実15g 白花蛇舌草30g 甘草15g

56剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用

付記)参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)の暗記分から上方を分析すると、先ず黄蓍が生黄蓍となり量が40gとやや多めになっています。柴胡(疏肝理気 解熱)、金銀花 蒲公英(清熱解毒燥湿)、芡実(補脾祛湿、益腎固精)、熟地黄、山茱萸(補腎陰)、生山薬(益気健脾)の組成となっています。白花蛇舌草は前案と同じ30gです。原典の黄芩は配伍されていません。今回は活血作用のある益母草や赤芍も配伍されていません。

二診2005127日。

服薬56剤後、尿蛋白転陰、血清蛋白は上昇し正常域、血圧は経口剤にて正常を保つ。舌淡紅苔白脈滑。方薬は効果があり、やや加減して調補脾腎、清利湿熱の法で治療継続、標本兼治、再発を防止し、患者の抵抗力を上げるようにした。

三ヵ月後再診、尿蛋白陰性、自覚症状なし。病は再発無し。

ドクター康仁の印象

これも見事なネフローゼ症候群に対する清心蓮子飲加減治療でした。

第1案と2案の参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)の加減の違いは何処から来るのでしょうか?

明日も、加減に注目してみましょう。

急ぐことは無いのですから。

2014119日(日)